走ると痛くなる脇腹痛の治し方と予防方法

2014年2月26日

走っている最中に、脇腹(助骨の下)が急に痛くなった。

実のところ、そんな覚えがあるのはあなただけではないようです。

2000年の研究では、過去1年間に69%のランナーが運動中の一時的な腹痛として知られる「脇腹の痛み」を経験したことがわかり、水泳や自転車競技など他の運動方法でもそれは見られました。

脇腹の痛みを経験したランナーからは「始めは我慢して走れたとしても、呼吸をするごとに痛みが鋭く感じるようになり、そのまま走り続けるのさえ困難になった」と報告されています。

そうなると「走るペースが速すぎたのか?」「呼吸が不規則だから?それとも、朝食を食べ過ぎたのか?」「このまま痛みがなくならないのか?」などさまざまな考えや不安が頭をよぎるでしょう。

しかし、幸いなことに、脇腹の痛みの原因はまだ完全ではありませんが、科学的に解明されてきており、予防方法も少しずつ分かってきています。

ここでは、
走ると脇腹(助骨)が痛くなる原因や、痛くなった時の対処法、どうやったら痛みを防げるのかについて、


  • ストレッチ方法

  • 栄養補給のポイント

  • ランニング中の呼吸法

  • ウォーミングアップ方法


などを中心に、USAトライアスロン認定コーチのStephanie Coburnさんをはじめ、スポーツ科学の専門家たちがアドバイスしたものを分かりやすく紹介します。

脇腹の痛みの主な原因

一般的に、脇腹の痛みは主に横隔膜腹膜が原因だと考えられています。

横隔膜が伸ばされたときに負担がかかる

横隔膜は、胸部と腹部の間にあるドーム型の筋肉で、伸縮して呼吸を助ける働きがあります。この筋肉が収縮すると肺が空気が満たされて膨張し、拡張すると空気が強制的に排出されて肺は小さくなります。

どうやら運動するときに、この筋肉を過度に伸ばしすぎてしまうことが痛みを引き起こす原因となっているようです。

たとえば、息を吐くときにこの筋肉が最も伸びた状態になりますが、走行中にこの状態で地面に足が当たると、(圧力の作用に応じて)横隔膜に負担がかかり、けいれんを引き起こすことがあるのです。

また、ランニングのような内臓への刺激の強い上下運動は、腹腔の中で内臓の位置を安定させるために靭帯に負担がかかりやすくなるのも要因のひとつとなっています。

腹膜の摩擦によるもの

その他にも、腹部の臓器を覆っている2層の薄い膜「腹膜」が原因だと指摘する専門家もいます。

通常2層の膜の間には液体があり、膜同士がこすれる摩擦による痛みを生じさせないために潤滑油として働いています。

しかし、たくさん食べて膨らんだ胃が内側の層を押し出したときや、発汗によって脱水状態になったときなどに、2層の間の液体が少なくなると、運動による身体の動きで膜同士がすれてしまい痛みが生じることがあるのです。

それでは、このような脇腹の痛みは、どのように対処していけばよいのでしょうか。

呼吸法を変えて脇腹の痛みを防ぐ方法

スポーツ科学の専門家Tim Noakes博士による、呼吸法を変えるだけで、脇腹痛を取り除く方法です。

まず、脇腹(助骨)が痛くなる時の傾向を考えてみてください。多くの人が、右足を着地しながら息を吐いた時に痛みを感じるようです。

もしそうなら、原因は、息を吐く時に体の右側にある肝臓が圧迫されて、横隔膜が引っ張られることで、脇腹(助骨)を急激に刺すような痛みが引き起こされている可能性があります。

その場合、左足を着地する時に、息を深く吐くように試みてください。呼吸法を改善することによって、脇腹(助骨)痛の症状が楽になる可能性があります。

呼吸のリズムを見直す

走行速度が速くなると、体はより多くの酸素を必要とします。対して、不規則で浅い呼吸では、横隔膜への血液量が減り、酸素供給量が減少していくので、横腹の痛みにつながりやすくなります。

その場合、胸部ではなく腹部から深く呼吸するように意識しましょうてください。より多くの空気が取り込めるように口から吸い込って吐き出してください。

特に寒い季節に走る場合は、空気の取り込みが低下するので、走る前にネックウォーマーを着用するか、首の周りにスカーフを巻くなどして十分な呼吸を確保しましょう。

ランニングでは、効率的なステップの踏み方と同じように、呼吸のリズムも重要です。適切な呼吸は、横隔膜や呼吸筋をリラックスさせることができるため、特に、腹呼吸(腹部での深呼吸)は有効だと考えられています。

人それぞれに自分に合った呼吸法はあるかもしれませんが、「2つのステップで息を吸い、3番目のステップで息を吐く」と、呼吸の深さや筋肉の弛緩が改善されやすいといわれています。

栄養管理で脇腹痛を予防する方法

カリウム
脇腹(助骨)の痛みは、電解質不均衡から起こると指摘する専門家もいます。そのため、朝食にバナナやアボカド、キウイなど、カリウムの多い食品を摂取するように心がけると痛みの予防につながります。
ナトリウム
走ることで汗をかき、それに伴ってナトリウムが減って脇腹(助骨)の痛みが引き起こされることもあるので、その場合は、スポーツ飲料で失ったナトリウムを補いましょう。
腸内環境を整える
腸内ガスが原因の場合や急に運動をして脾臓(ひぞう)に負担がかかった場合は、左脇腹が痛くなることもあります。
普段から、芋類やりんごなどの食物繊維、また、ヨーグルトや納豆などの発酵食品を摂取して、腸内環境を整えたり、腹部のマッサージでおなかにガスがたまらないようにするのもよいでしょう。
マラソン大会や試合当日、また、トレーニングの朝は、運動開始の2、3時間前に、繊維や脂肪、糖分(果物を含む)を控えめにした軽い朝食を食べましょう。走る前に甘い飲み物やフルーツジュースを飲んだり、おなかがいっぱいになるまで食べたりすると脇腹の痛みが生じやすくなるので注意してください。運動前1時間はできるだけ食べないようにして、どうしても食べたい場合には、バナナでエネルギーをチャージしておく程度にしましょう。
以前は、走っている途中で、飲料水やスポーツドリンクを飲むと脇腹痛の原因になると考えられていましたが、ある研究で、筋肉の電気的活動に差がないことから、その考えは科学的には証明されていません。

上半身を鍛えて脇腹痛を予防する方法

脇腹の厄介な痛みは、誰にでも引き起こされやすいといわれていますが、特に上半身が深く関わっているスポーツ(ランニング、スイミング、乗馬)で頻繁に生じるようです。

そのため、上半身や体幹を鍛えて、走る時の振動を内臓が受けにくくすることで、靭帯や膜などへの負担が少なくなり、横隔膜のけいれんも防ぎやすくなります。その他にも、体幹を鍛えておくと、走行効率を向上させるだけでなく、けがの予防にもつながるなどのメリットもあります。

また、ある研究では、腹斜筋(おなかの横の筋肉)を鍛えると、横腹の痛みの予防に役立つことが示されています。毎日、5分から10分の腹筋トレーニングを取り入れてみましょう。

脇腹の痛みの治し方とウォーミングアップの注意点

脇腹の痛みは、肺を保護する肋骨の間にある筋肉の痛みが原因であるとも考えられます。

その場合は、体が走る準備ができていないうちからスピードを出すと余計に痛みが生じやすいので、必ずウォーミングアップをして、各部位の準備ができてからゆっくりとトレーニングをスタートし、徐々にスピードアップして体を慣らしましょう。

ウォーミングアップは、筋肉だけでなく、呼吸の安定にも貢献します。

筋肉を活性化させるために、動的(ダイナミック)ストレッチや5分間のウォーキング、軽いジョギングから始めましょう。

もし、走る途中で脇腹(助骨)が痛くなったら、横隔膜を強制的に下げるために、できるだけ深く息を吸った後、数秒間息を止めてから吐いてみてください。また、痛みを伴うところを手で圧迫するのも有効だといわれています。

それでも治らない場合は、動きを止めないでペースを落として軽くジョギングをしたり、歩いて休憩を取りましょう。また、一度呼吸を落ち着かせ、ストレッチをして対応します。

脇腹(助骨)が痛い時のストレッチ法

深く呼吸をしながら痛みのある側の脇腹を伸ばすように、手を高くあげて身体を反対側へ反らす「体側ストレッチ」が効果的です。

また、両腕を上げながらゆっくりと息を吸った後、上半身を前に倒しながら息を吐いて、腕をぶらんとたらすストレッチも、横隔膜と腹腔をリラックスさせてくれます。

最後に

脇腹の痛みは、基本的に無害なものですが、しばしば強い痛みを引き起こす厄介なものです。

原因としては、上記のように心身の緊張状態や不適切な呼吸、走る時の姿勢(呼吸を妨げる猫背)や走り方の問題(ランニングフォーム)、(ウォーミングアップなしに)いきなり走り始めたこと、満腹状態などさまざまな問題が関わっているようです。

痛みがひどくなると、トレーニングや大会の出場に支障をきたすことさえあるので、上記を参考にぜひ自分にあった対策を見つけてみてください。

実のところ、脇腹の痛みを予防する最善の方法は日々の「ランニングを続けること」だといわれています。

ランニングを続けることで、自然と横隔膜と呼吸筋が鍛えられて、体に耐性が生まれ、脇腹の痛みが生じにくくなるというわけです。

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