なぜ、ボーナスは働く人をやる気にさせないのか?

2016年11月25日

お金、ごほうび、感謝。

人は一体何からやる気が生まれ、どうやったらモチベーションを高く維持できるのでしょうか?

ここでは、「Payoff: The Hidden Logic That Shapes Our Motivations/給料日:やる気を形作る隠れた論理」の著者、ダン・アリエリー教授が発見した、人のモチベーションに関わる奇妙な法則について紹介します。

報酬の効果は一時的なものにすぎない

多くの人が、勉強や仕事、習い事などに取り組むとき、モチベーションを継続するには、ご褒美や報酬が効果的だと思っています。

しかし、実際には、そういった環境要因による効果は一時的なものでしかなく、それだけでは長期的なやる気を維持することは難しいことが明らかになりました。

それよりも、達成感や周囲から褒められるなどといったポジティブな精神的経験が重要な要素になります。

ノルマ・報酬型に関する(行動経済学的な)実験

ダン・アリエリー教授は、成績に応じて、「従業員に特別ボーナスを与えた場合」と「上司からの誉め言葉や感謝を伝えられた場合」で、その後の仕事の生産性の違いを調査しました。

その結果、ノルマを達成して報酬を受け取った従業員は、翌日の生産性を飛躍的に向上させたものの、それはすぐに低下し続け、会社は、投資に見合った結果を得ることはできませんでした。

それに比べて、誉め言葉や感謝を伝えられた従業員は、より一層頑張って働くようになり、長期的にみると生産性を向上させていくことが分かりました。

また、ある学校では、学力格差是正のためにアメリカで取り組まれた「落ちこぼれを作らないための教育法(No Child Left Behind Act)」の考えのもと、子供がよい成績を残した場合に、教師に報奨金を用意したところ、教師のやる気が全体的に下がる傾向が表れました。

以上のことから、労働にみあったお金を公正に与えることは大切なことですが、従業員からもっとやる気を引き出すためには、報酬が最良の手段とはいえないようです。

モチベーションを上げるのはお金ではなく、感謝が生む信頼感

ダン・アリエリー教授は、次のように指摘しています。

ボーナスは、感謝の心や責任感、貢献をうまく引き出すことはできません。

ノルマや成績に基づく報酬を与える会社では、従業員が「これは私のアイデアだ」と、お互いにしのぎあっていますが、誰のアイデアかなんて、実は取るに足りない問題です。

どうしてお互いに信頼しあわないのか不思議でなりません。

どうして人は、人とのつながりを感じ、それを楽しむことをしないのでしょうか?

感謝の心は、人と人の間に信頼関係を生み、人の満足感ややる気の形成に大きな役割を果たします。

ボーナスにはお金がかかりますが、感謝を示すことはタダです。それなのに、会社経営者は、ボーナスを与えるのは簡単にできても、従業員に感謝(敬意)を示すことが難しいようです。