「天才児」は人と何が違うのか?成長するとどうなっていくの?

2016年12月 2日

3歳までは、なかなか言葉を話せなかった子供が、3歳にしてピアノでモーツァルトを演奏できることがあります。

このような子供は、天才と呼ばれ、世界中に存在します。

彼らは、芸術、音楽、数学などの分野での並外れた能力を示し、信じられないほどの高い記憶力をもっています。

まだ幼い子供が、このような卓越した能力をもっているのは、不自然に感じる点があるかもしれませんが、どのようにして天才が生まれるのかは科学的に解明されつつあります。

ここでは、「天才とはなにか」や「どのように生み出され、何が人と違うのか」、また、「天才の子供が成長するとどうなっていくのか」について近年の研究で分かってきたことをSeekerをもとに紹介します。

天才とはなにか?

まずは、天才とはなにかについて、明らかにしていきましょう。

心理学者の一部は、「特定の領域において、驚異的な能力をもつ10歳以下の子供」を天才とみなしています。

IQの概念を作った心理学者のルイス・ターマン氏によると、平均的なIQは100で、110を超えると優秀知能、140を超えると天才の領域です。

数学の天才と呼ばれる子供の多くは、134から147のIQを持っており、音楽の天才は108から142、そして、IQが高い人だけが入会できる国際組織「メンサ」は、IQの平均値がそれ以上だといわれています。

しかし、実際には、天才はIQだけでは測れないものがあり、天才とはなにかを科学でつきとめていくのはとても難しい問題です。

それは、天才がどうして生まれるのかについての研究が、それほど多くないことからも分かります。

自閉症と天才には関連性がある

遺伝子(Human Heredity)誌で発表されたある5組の家族についての研究によって、分子遺伝学的に、自閉症と天才にはなにかしらの因果関係がある可能性が見つかりました。

オハイオ州立大学の心理学部のジョアン・ルスサッツ(Joanne Ruthsatz)准教授は、自閉症と天才には潜在的な関連性があり、それは、脳の記憶を保持する部分がカギを握っていると信じています。

私たちは、主に、脳内にある海馬と前頭前皮質の2か所で記憶を保存しています。

海馬では、事実や日付、名前などの長期的な記憶を保存しており、前頭前皮質では、自転車の乗り方や靴ひもの結び方など、基本的に筋肉の記憶を保存しています。

ジョアン・ルスサッツさんによると、自閉症の一部の子供や天才は、長期的な記憶も筋肉の記憶をつかさどるはずの前頭前皮質で保存しています。そのため、事実や名前、楽曲を覚えることが、文字通り、自転車に乗るような感覚で行われます。

これが、ジョアン・ルスサッツさんによる子供が天才と呼ばれる所以(ゆえん)です。

天才の子供が成長するとどうなるの?

天才と呼ばれた子供たちは、大人になると、それぞれがコンピューターや医学などの様々な分野で、優秀な人材として働いています。しかし、そういった分野には、才能豊かな人が多いため、3歳の頃のように目立つことはなくなっていきます。

心理学者エレン・ウィナー(Ellen Winner)さんは、ニューヨーク・タイムズ誌で、次のように述べています。

天才と呼ばれる子供のうち、後に、革命的な創造者となることができるのはごく少数に限られており、その他多くの天才児たちは、成長するにつれて、プロフェッショナルな世界に埋もれていき、次第に注目されなくなります。

その背景には、高い創造性をもつ若者が、規律にしばられすぎることがあり、それがマイナスな影響を及ぼしていると、学術雑誌「Creative Behavior(創造的行動)」で発表されました。

ある研究者が、アメリカの各学区内の上位5パーセントのクリエイティブな子供と、その他の生徒との子育てを比較したところ、一般的な家庭の子供にあるルールの平均は6個であるのに対して、クリエイティブな子供に課せられたルールは、1個あるかないか程度であることが分かりました。

もし、天才児にたくさんのルールを与えると、彼らの創造性は抑制されて、クリエイターとしての才能の開花が妨げられてしまいます。

天才児たちは、ルールを守り、優秀な医師になることはできるかもしれません。しかし、もはや子供の頃のように人よりも抜きん出て注目されることはなくなります。

ルールに従うことは、10歳までにカーネギー・ホールでモーツァルトを演奏したいなら役立つかもしれませんが、モーツァルトになる助けにはなりません。

以上のことから、もしあなたが好きな道を探求するのであれば、練習だけでなく、情熱と自由が必要であることが分かります。