ヒトの唾液はモルヒネの6倍も鎮痛効果があるのを知っていますか?

2016年12月14日

モルヒネは、がん治療にもよく使われる痛み止めのひとつで、痛みをおさえる強力な作用(鎮痛作用)がありますが、重い副作用や依存性が高いことから問題視されてきました。

しかし、最近の研究によって、このモルヒネに代わる期待の物質が発見されました。それは、ヒトの唾液で作られる自然な物質で、鎮痛効果はモルヒネの6倍にも及ぶといわれています。

もしかしたら、怪我をした時に「舐めたら治る」と言われたり、動物が傷口を舐めたりするのは、無意識的に体が痛みを和らげる方法を知っていたからかもしれませんね。

ここでは、モルヒネの6倍も有効な鎮痛剤として期待が高まっている唾液の物質「オピオルフィン(OPIORPHIN)」について、モルヒネが生む副作用とあわせて紹介します。

モルヒネの副作用

モルヒネには、激しい腹痛や頭痛、立ちくらみ、吐き気、息苦しさ、排尿時に痛みを生じるなど、数多くの副作用が報告されています。

特に、心理的な副作用が強く、不安感や不眠、幻覚、精神錯乱などの望まない症状が表れることもあります。

適切に使用しないと、依存症や中毒にもなりかねないため、医師の指示のもと、正しい処方が必要とされる鎮痛剤です。

モルヒネに代わる鎮痛剤「オピオルフィン」の発見

フランスのパリにある研究所(Pasteur Institute)のCatherine Rougeot氏らは、モルヒネの6倍有効な鎮痛剤を人体が作り出すことを発見しました。

それは、「オピオルフィン」と呼ばれるヒトの唾液から作られる自然な成分です。

わたしたちの体は、痛みを感じた時に、体液中に「エンケファリン」と呼ばれる痛みを減少させる化学物質を放出します。エンケファリンは、時間が経つと自然に分解されてしまいますが、オピオルフィンは、このエンケファリンの寿命を伸ばし、痛み止め効果が持続する時間を長くできることが分かっています。

実験では、ねずみの足にオピオルフィンを注射した後、針山の上に立たせて、痛みの度合いが調べられました。

結果的に、ねずみが痛みを麻痺させるためには、オピオルフィンの6倍のモルヒネを必要とすることが分かりました。

オピオルフィンの効能

オピオルフィンは、強い鎮痛作用だけでなく、うつ病や気分の落ち込み、不安等を改善する「抗うつ効果」や気分を高める「精神刺激作用」もあると考えられています。

しかし、ヒトの治療に応用していくには、まだ問題が多く、副作用や効能についても研究を引き続き継続して行う必要がありますが、いつの日か、オピオルフィンを唾液から採取するのではなく、大量合成できる日がくることに期待が高まっています。