実は、断食は体によい?断食の本当の効果とは!

イスラム教徒は、イスラム歴の9月(ラマダーン)になると、一日に平均8時間から12時間の断食を1ヶ月にわたって行います。また、宗教に関係なく、健康上の理由やダイエットを目的に断食を行う人もいます。

しかしなかには、断食をするという考え方が理解できず、それを危険だとさえ感じる人もいるかもしれません。

科学は、こういった断食に対して人々が抱く思い違いやうわさ話を、解明するためにあります。

ここでは、断食をすると、実際に身体に何が起きるのかについて、科学的に解明されたことを、分かりやすく紹介します。驚いたことに、断食をすることで、身体の悪い細胞が処分されて、新しく細胞が生まれ変わり、免疫力がアップする効果もあるようです。

宗教的な断食について

いくつかの宗教団体は、信者に対して、一日に何時間も断食することを要求し、それは数日から数週間に及ぶこともあります。

例えば、イスラム教は、「ラマダーン(イスラム歴の9月)」になると1ヶ月間、日の出から日没までの間、飲食を一切しないことを義務としています。

ラマダーンは、新月をもとに計算されるので、毎年行われる月は異なりますが、その多くが夏の日の長い期間にあたり、一日に15時間以上も断食することもあります。

断食は、イスラム教徒だけではなく、キリスト教徒やユダヤ教徒、儒教徒、ヒンズー教徒など、様々な宗教で1000年あまり続けられている慣習です。

断食は、自然界ではよくあること

もし、一日に8時間から12時間飲食をしないことを断食と考えるなら、多くの人が毎晩、翌朝にかけて断食をしていることになります。

実は、それが英語で朝食を意味する「BREAK-FAST(直訳:断食をやめる)」の由来です。

断食は、地球上の生き物にとって、完全に正常なことで、多くの生き物は、一日に一度、またはそれ以下しか食事をしません。特に肉のような高カロリーなものを食べる生き物はその傾向が強くあります。

特にヘビのような肉食の変温動物は、体温を保つ必要が無いため、数日間も食事の間隔をあけることができ、コヨーテやオオカミのような恒温動物(周囲の温度に左右されることなく体温を一定に保つことができる動物)のように毎日狩りをして食事をする必要はありません。

人間に関しても、短期間の断食ならできるようになっています。

人間が断食をすると、身体はどうなるのか?

人間は、一日中食事をしなかったぐらいでは、体に悪影響はありません。

いくつかの研究によると、短期間の断食は、免疫力や精神機能を向上させて、寿命を延ばす可能性があるとさえいわれています。

断食をすると免疫系の細胞を自己再生する効果がある

学術誌「Cell Stem cell」によると、一度に2日から4日間続けて断食すると、白血球が減少することがありますが、これは、身体に悪いことではなく、実際にはよいことだと分かりました。

なぜなら、白血球の細胞は、老化によって弱ったり、損傷を受けているものから優先的に分解(処分)されていくからです。

私たちの体は、飢えた状態になると、細胞を再生する役割をもつ幹細胞にスイッチが入り、免疫系の細胞を新しく作り替えていきます。

断食を開始すると、まず、エネルギーを節約するために、不要な免疫細胞(老化、または、ダメージを受けているもの)を大量に処分し、それから、幹細胞が新しく健康的な免疫細胞を作り出します。

すなわち、断食によって、免疫系全体が自己再生されるわけです。

一度に行う断食は、最大で3日間までにしましょう

私たちの身体は、生命活動に必要なエネルギーを、主に脂肪や糖の形で蓄えようとします。理想的には、毎日の食事によって、この蓄えを補充しています。

しかし、断食を開始すると、24時間から48時間経った後には、肝臓や筋肉に貯蔵されているグリコーゲンは空っぽになってしまいます。そうなると、身体は、自分自身を養うために、筋肉や脂肪の組織を分解してそこから栄養を補充し始めます。

3日間の断食自体は、体に悪いことではありませんが、72時間もの間水を飲まないでいることは医学的に脱水状態となり危険です。とにもかくにも、断食をしている間でも水は飲んでください

断食は、ダイエットとしてはあまり効果が無い

断食ダイエットをすると、一時的に体重が落ちるかもしれません。しかし、問題は、本当の意味でのダイエット効果はないということです。

なぜなら、断食によって一時的に落ちた体重のほとんどが水分であり、それは再び食べ始めた途端に元に戻るからです。

断食後の身体の変化と食事

コーネル大学の研究者が、大学生に18時間の断食を依頼した後、完了後にブッフェスタイルの食事を提供したところ、最も人気のある食べ物は、高カロリー食や炭水化物、でんぷん質のものでした。

それは、私たちの細胞が、再び起こり得る飢えに備えて、炭水化物や脂肪をできるだけ摂取することで、飢えを回避しようとするためです。

私たちの意識は、「断食は終わり、また再び食べられる状態になった」ことを知っていますが、身体や脳はそれを知ることができないのです。

それが、断食後に、脂肪や炭水化物が無性に食べたくなる理由です。

しかし、胃腸のことを考えると、断食後すぐの食事では、野菜や果物を食べるのが理想的で、脂肪分の少ない赤味肉や炭水化物に関しては、少量なら加えてもよいのですが、たくさん食べてはいけません。

結論:断食は適切に行うと危険性はなく身体によい効果を生む

断食は、身体のシステムにストレスを与えますが、低レベルのストレスであれば、体に悪影響はなく、逆に免疫システムを強くします。これは、エクササイズによって、身体にストレスを与えて、筋肉を作りだすのと同じようなものです。

断食をする場合は、期間を考えて、水分補給を適切に行うことが大切です。そして、健康的な食事や運動と連動して取り入れることで、よりよい効果を生みます。