ヴェネツィアの運河に突如現れた巨人の手

2017年5月25日

水の都とうたわれるイタリアのヴェネツィア(英語名ではベニス)。

ヴェネツィアは、アドリア海に面し、100以上もある島を400以上の橋でつないだ運河都市です。かつては、海洋貿易で繁栄し、「アドリア海の女王」の名でも知られていました。

車やバスはなく、市内の交通手段はゴンドラのみ。

ゴンドリエーレ(漕ぎ手)が船を操り、建物の間の運河を行きかう光景はあまりにも有名で、ゴンドラに乗って運河から眺める石造り街並みは、多くの観光客を魅了しています。

そんな水の都の運河に、突如巨大な手が現れました。まるで、石造りの建物が倒れないようにしっかりと支えているかのように。

この30フィート(約9.1m)にも及ぶ巨大な手の像は、あるアーティストによって作られました。

巨大な手の正体

ヴェネツィア(ベニス)の主要運河カナル・グランデに巨大な手を取りつけたのは、アーティストとして活躍しているLorenzo Quinn氏。

手は、ゴンドラで運ばれ、運河からホテルの正面に設置されました。

これは、イタリアで開催される美術の祭典「ヴェネツィア・ビエンナーレ」に出展するために作られたLorenzo Quinn氏の新作で、2017年11月まで展示される予定。

ヴェネツィア・ビエンナーレは、絵画だけでなく、建築物やモニュメント、映像美術などが、運河や道、建物の壁など街中のいたるところで展開する、まさにヴェネツィア全体がアートと化する芸術の祭りです。

巨大な手の作品名は「SUPPORT(サポート)」

アーティストLorenzo Quinn氏が、作品のコンセプトに「手」を選んだのには、大変興味深い理由があります。

それは、地球の気候変動に関する重要なメッセージを送るためのものでした。

ヴェネツィアは、今、地盤沈下や地球温暖化による海面上昇などによって、水没の危機が懸念されています。近年では、毎年定期的に発生するアクア・アルタと呼ばれる異常潮位現象によって、市内のほとんどの道が1メートル以上も水浸する現象が起きています。

Lorenzo Quinn氏は、次のように語ります。

「私にこの考えが浮かんだのは、気候、すなわち、ベニスが地球全体の海面上昇によって、危機的な状況にさらされているためです。

運河から伸びた手は、Ca' Sagredoホテルの正面を(水没や傾きから)「支えて」います。

私の彫刻作品は、大切なメッセージを伝えるものがたくさんあります。それは、愛であったり、家族であったり、普遍的なメッセージです。

私は、3人の子共の父親です。一番下の子は、アンソニーといい、この手は彼の手を彫刻で再現したものです。

人類の創造力、そして、破壊力を表しています。」