実は、善玉コレステロールはそれほど体によくない理由

長年にわたり、医療分野では、悪玉コレステロールが動脈の詰まりの原因となり、それによる心疾患のリスクを軽減するのに善玉コレステロールが役立つと考えられてきました。

しかし、近年の新しい研究によって、その考え方が覆されてきています。

ここでは、善玉コレステロールが、実際には私たちが思うほど体に有効ではないといわれる理由について、最近の研究をもとに、Tech Insiderから分かりやすく紹介します。

コレステロールについて

コレステロールは、ヒトが生きていくうえで必要不可欠な脂質のひとつであることは、科学者の間では周知の事実ですが、実のところ、その存在は思った以上に複雑であることが分かってきました。

現在、コレステロールは、2つの役割によって分類されています。

一つめは「LDL(悪玉コレステロール)」、もう一方は「HDL(善玉コレストロール)」です。

悪玉コレステロール

悪玉コレステロールは、正常値であればそれ自体に問題はありませんが、値が高くなったり、活性酸素によって酸化したものがたまったりした場合、動脈にプラークと呼ばれる血栓のもと(血管にできるコブのようなもの)を作る原因となります。

動脈にプラークができると、必然的に動脈の壁が厚くなって血管が狭まるため、血小板がそこにたまっていく恐れがあります。

さらに、プラークが破れてしまうと、それを修復するために血栓と呼ばれる血の塊ができて、血流が妨げられてしまいます。

それは直接、動脈硬化や心筋梗塞などの心疾患や循環器疾患のリスクを高めることを意味します。

善玉コレストロール

対して善玉コレストロールは、動脈からプラークを取り除いて、心疾患のリスクを下げる働きがあると信じられてきました。

そのため、これまでは、健康でいたいのであれば、悪玉コレステロール値を低く、そして、善玉コレステロール値を高く保つ必要があるといわれていました。

ところが、最近の研究で、この当たり前のように認識されてきた論理には、大きな見落としがあることが分かりました。

善玉コレステロールは本当に体によいのか?

2012年に、科学者が善玉コレステロール値が高い人びとを調査した研究によって、善玉コレステロール値が高いことが、今まで考えられてきたほど有効ではないことが分かりました。

科学者の論文では、次のように示されています。

仮に、善玉コレステロールが心疾患を防ぐ働きがあるのであれば、高い値の善玉コレステロール値を保持している人は、心疾患の発症率が低くなるはずです。

しかし、調査の結果、悪玉コレステロールと同様に心臓病を発症する可能性が高いことが分かりました。

他の研究においても、薬物によって善玉コレステロール値を上げた場合に、心疾患のリスクを低下できるという結果が得られませんでした。

以上のことから、確かに善玉コレステロール値が高いことは、心臓が健康的である指標にはなるかもしれませんが、それが悪玉コレステロールが体に与える有害な影響と闘う力に直接結びつくかどうかは、疑問視される結果となりました。

もし、この新しい見解が真実であるなら、これまでのコレステロールの治療法に対して大きな影響を与えることは避けられないでしょう。