私たちはどうして腐ったものを食べるのか?

2017年9月 8日

人は昔からあえて腐ったものを好んで食べる習慣があります。ここでいう腐ったものとは、微生物によって発酵されたものです。

珈琲やチーズ、ビール、ワイン、パンやチョコレートでさえ数百万もの微生物のすみかのひとつで、これらの小さな小さな細菌や真菌によって、私たちが愛してやまない食べ物の味や香り、食感などがもたらされています。

ここでは、人はどうして腐ったものを好んで食べるのかについて、身のまわりの微生物が食品や食文化に与えている素晴らしい影響について分かりやすく紹介します。

身近にたくさんいる微生物

世界中に存在する莫大な微生物のほとんど、およそ99%は、人間に無害なものです。そして、残りの1%の細菌が、人間やほ乳類、鳥類などに祖先の代からずっと忌み嫌われてきた厄介な病原菌です。

食べ物に関しても、腐った物は、見た目が悪く、嫌な臭いがするものだと考えられていますが、古いものが全てだめなわけではありません。

幸運にも、最初に食品についたのが体によい微生物であれば、この微生物たちが、病原菌から食べ物を守ってくれることがあるのです。

微生物の働き

台所に置きっぱなしの肉は、病原体にとって繁殖するのに完璧な条件を提供しています。それは、温かくて湿気があり、タンパク質が豊富な、つまり私たち人間の体のような環境です。

しかし、このような環境下でも、いくつかの微生物の働きによって、肉に病原体が繁殖するのを防ぐことができます。

たとえば、肉にたくさん塩を加えると、ラクトバチルスのような塩への耐性が高い微生物(塩分濃度が濃い環境に生育する乳酸菌)が病原菌に打ち勝つことができます。こうして、数ヶ月間も冷蔵庫に入れないでできたものがサラミです。

食文化と発酵の歴史

何千年も前からに、私たちの祖先は、幸運なめぐりあわせや絶望的な状況(食糧難や自暴自棄など)によって、これらの腐敗した食べ物が食べられることを偶然みつけ、それ以来、人は意図的に口にするようになりました。

そして今日(こんにち)、微生物の働きは、食べ物を安全に保つだけでなく、魔法のような素晴らしい風味に変身させ、私たちの食文化を変えるほどに影響を与えています。

身近な微生物による発酵食品

たとえば、イースト菌(酵母)と呼ばれる真菌は、生地に含まれるショ糖やデンプンを分解し、発酵するときに炭酸ガスを排出してパン生地を膨らませています。

よりエキゾチックな働きをする細菌もあります。カカオを発酵させて、苦みのあるポリフェノールを熟成させ、複雑でおいしいチョコレートの味を作り出しているのも微生物の力です。

また、チーズは、カビ(真菌)の胞子によって小さな穴や亀裂が作られた後、大きなタンパク質分子と脂肪分子が小さな芳香化合物に熟成されて、風味豊かで滑らかな食感と香り豊かなチーズに仕上げられています。

しかし、なかにはチーズの香りが、どうしても足の臭いのように感じてしまう人もいるかもしれません。実はそれは、あながち間違いではなく、細菌には、チーズを強烈な臭いにするものがあり、それは、足の臭いを引き起こすものと同じものだといわれています。

しかし、そうであったとしても、これらの香りは、人に受け入れられ、現実に私たちの食文化に深く浸透しています。

食文化に深く浸透している発酵食品

私たちは、母親の羊水の中にいたときから、特定の微生物による化合物に多くさらされるほど、その風味を好む傾向が高くなる傾向があり、各地方で生まれた食文化は、長い年月をかけて引き継がれています。

そして現在、微生物で食品を発酵するさまざまな料理のアイデアが世界中にあふれています。どのような食文化でも、食品の発酵を取り入れており、実際に食べ物を少しは腐らさないとザウアークラウト(塩漬け発酵キャベツ)や醤油、ピクルス、ハムなども作ることはできません。

ケフィアヨーグルトやクミス(乳酒)、キムチ、かつお節など数多くのおいしい食材がありますが、これらも全て発酵によって風味が魅力的に変化したものです。

最後に

私たちの祖先たちは、獲物を求めてさまようのをやめ、落ち着いて穀物を育てる道を選んだときを経て、パンやビールを発見しました。

いずれにしても、微生物による発酵なしには、私たちの食文化は恐ろしく未熟で寂しいものとなっていたことは確かです。