医療界に革命か?「夜間より昼間にした怪我ややけどの方が治癒が早い」理由

近年、科学者たちは、医療界に衝撃を与える研究結果を、トランスレーショナル医療誌(Science Translational Medicine)で発表しました。それは、怪我をしたのが昼か夜かで皮膚細胞の治癒にかかる時間が異なるというものでした。

トランスレーショナル医療誌とは、基礎的な研究で分かったことや成果を、臨床研究につなげて、技術開発への成果を出していくために、世界の研究者同士が情報を相互に提供しあう科学誌です。

ここでは、科学者たちが発見した驚くべき研究結果「人は、昼間に怪我ややけどをした場合の方が、夜間に怪我ややけどをした場合に比べて傷の治癒が早い」ことについて分かりやすく紹介します。

医学的な大発見「昼と夜での傷の治癒にかかる時間の違い」

最近の研究によって、怪我ややけどをしたのがいつか(昼か夜か)によって、傷の治癒にかかる時間が、10日以上も違うことが分かってきました。

それは、科学者たちを非常に驚かせる新発見でした。

やけどによる怪我の記録によると、傷の程度が同じ場合、昼間に怪我をした場合は約17日で治癒するのに対して、夜間に怪我をしてしまうと治癒に28日間も要することを示しています。

科学者たちは、それが概日リズム(がいじつリズム:一定の周期で繰り返される体内時計)と関係していると考えています。

皮膚の細胞にも体内時計が関係している

概日リズムとは、生物学用語で、人間をはじめ、動物や植物がもつ、生理活動のサイクルのことです。それは、夜になったら眠くなったり、花が閉じたりするといった自然な現象で、ほぼ24時間周期で繰り返されています。

いままで、人間の概日リズムは、脳だけが関係していると考えられていました。しかし、この研究によって、皮膚細胞も、体内時計に従って活動していることが新たに分かったのです。

この理論を試験するために、科学者たちは、線維芽細胞(せんいがさいぼう)と呼ばれる皮膚細胞に注目して研究を続けました。

線維芽細胞とは、皮膚の機能を保っているとても重要な細胞です。ちなみに、真皮層の主な成分であるコラーゲンやヒアルロン酸などを生成、分解しているのもこの細胞で、近年では、肌のシワやたるみをとって、弾力を増すことを期待して、美容成分としても注目されています。

線維芽細胞は、できたばかりの新鮮な傷口に入り込み、治癒過程を急速に開始していきます。

この研究では、夜間にできた傷と比較すると、2倍にもおよぶ線維芽細胞が昼間にできた傷に集中しました。これは、夜間の場合、傷が治癒するために必要な初期細胞数が少ないことを意味します。

科学者は、次のように語っています。

今までは、ペトリ皿やマウスで研究を行ってきましたが、結果を確認するためにはまだより多くの研究が必要であるだろう。しかし、本当にこの研究結果が確認されれば、医療界に革命を起こすことになる。