どこの大学に行くかが将来の成功に関係するわけではない理由

2017年12月25日

学校で一生懸命に勉強すると、いい大学に行ける。

これは、誰もが一度は耳にするセリフですが、果たして、いい大学に行くことには、本当にあなたにとって大きな意味があるのでしょうか?

ここでは、実際にどの大学に行くのかが、将来的な成功とどのようにかかわっているのかについて、アメリカのトップ5に位置する大学の学生とその他の学生を比較した調査結果をもとに分かりやすく紹介していきます。

大学のレベルと学位の取得率

まず、SATスコアを見てみます。SATとは、米国で、大学進学のために、最もよく受験されている学力テストで、日本でいうセンター試験のようなものです。

平均的な大学のスコアを見ていくと、800点満点中、上位1/3の学生の平均が569点、中間が472点、下位1/3の平均が407点です。そして、成績上位者は、これらの学校で学位を完了した人々の50パーセント以上を占めています。その一方で、スコアの低い人は、約18パーセントにすぎません。

実は、ハーバード大学のようなトップクラスの学校においても全く同じ現象が起きています。有名大学の中で、SATスコアが低い学生は、平均的な大学の上位者よりも高得点であるにもかかわらず、学位を完了する人は、15.4パーセント程度なのです。

これは一体どういうことなのでしょうか?

小さな池の大きな魚効果

この現象は、「小さな池の大きな魚効果」と呼ばれる心理学的効果のひとつで、英語では「Big Fish Little pond Effect」として知られています。小さな池に、大きな魚ばかりがいると、小さな魚はより一層自分を小さく感じてしまうというものです。

簡単にいえば、われわれは、広い世界に目を向けるのではなく、自分と同じ学校にいる人や身近な人と自分自身を比較する傾向があるということです。

その結果、トップクラスの学校に属する学生は、自分自身を周囲の才能あふれる仲間と比較し、そのなかで成績がクラスの半分以下であると、劣等感や自分の無能さを感じる傾向が高くなります。たとえ他の学校の学生と比べると、優秀であるにもかかわらず。

周囲の環境が与える影響

自殺の発症率が高い国はどこだと思いますか?

先進国のなかでも、スイスやデンマーク、カナダのように自分自身をとても幸せだと感じている人が多い国でしょうか?それとも、イタリアやギリシャ、スペインのように、幸せでないと感じている人が多い国でしょうか?

「小さな池の大きな魚効果」をもとに考えると、もしあなたが気落ちしていたとしても、幸せな人に囲まれている場合と比べて、周囲の人が自分より不幸せである方が、自分は普通だと感じるようになります。

言い方を変えると、エリート校で成績が悪い場合の、(「小さな池の大きな魚効果」によって感じる)底辺にいるかのような感覚は、あなたの自信を失わせ、最終的にモチベーションの喪失にもつながる可能性があります。

もっと多くの統計情報をみていきましょう。

STEMプログラム(科学、技術、工学、数学を重要視した米国の教育方針)の米国学生は、全体の50パーセントが1、2年生の間に、退学や休学をするのに対して、学校のSATスコアの平均が10点ずつ下がるごとに、学位を完了する生徒の割合が2%上昇するといわれています。これは、レベルの高い学校に行かない方が、学位を完了しやすいことを意味します。

それでは、「現実の世界」で成功する人は、どのような人なのでしょうか?

成功する人とはどのような人か

経済学者による出版業界の研究によれば、米国でトップ5に入るような学校(ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学、イェール大学、プリンストン大学、スタンフォード大学)で上位の優秀な成績をおさめて出版業界に入った人は、卒業後6年以内に、驚異的な出版量を生み出しています。

しかし、全体の上位1/4あたりの人からは、出版量が伸び悩んでいることが分かりました。彼らの出版量は、米国トップ5の大学の上位1/4以内で卒業しているにもかかわらず、低いレベルの大学をトップクラスで卒業した人よりも低い業績を示しています。

もちろんこの調査結果が、全てのトップランクの大学をカバーしているというわけではありません。

いい大学にいくことは必要か?

米国でトップレベルの大学の学位を取得することは、(学位を完了させて卒業した場合)名誉のバッジを手に、仕事が見つけやすくなるという事実はあるかもしれません。

しかし、大学への進学を考えているなら、学力レベルの高い大学か、低い大学かを選ぶことによる成功への道筋は一通りではないことも覚えておいてください。

大切なのは、自分の力を信じ続けることであり、ときには、大学がどこかよりも、小さな池で大きな魚になることの方が重要なこともあるのです。