噛まれたら死亡することも!危険なヘビ毒の採取方法

2018年1月12日

「コスタリカでは、毎年人がヘビに噛まれる事件が500件から600件起こります。しかし、それによる死亡率は0.01%以下です。これは、ヘビに噛まれて死ぬ人が、毎年1人しかいないことを意味します。

この値は、中央アメリカ諸国だけでなく、世界の他の地域と比較しても、非常に低い値です。」

ヘビの飼育や研究を行う施設「サーペンタリウム」の調整官であるアーロン・ゴメス氏は、上記のように述べています。

研究所では、人を死にいたらしめるほどの恐ろしい毒物質を、「ミルキング(搾乳)」というプロセスでヘビから抽出(搾り出す)し、抗毒血清(こうどくけっせい)を生成することによって、ヘビによる咬傷(こうしょう)者の死亡率を減らすことに大きく貢献しているのです。

ここでは、500種類以上のヘビを飼育している「クロドミロ ピカド研究所」で、日々どのように危険なヘビ毒を採取しているのか、その興味深いやり方を紹介します。

ヘビ毒の採取方法

コスタリカの首都サンホセにあるクロドミロ ピカド研究所では、ヘビ毒を安全に採取するために、次のような手順で「ミルキング」を行っています。

ヘビの種類のうち、いくつかは二酸化炭素(CO2)で鎮静することができるため、ミルキングを行う前に、大きめの容器の中にヘビを閉じ込めておきます。

この作業によって、ヘビは5分間はおとなしくなるため、その間に研究者は、毒液を抽出する作業が行えるというわけです。

まず、トングでヘビの口を大きく広げて、頭を搾るようにして毒牙から毒を出します。ヘビは、牙の根本にある「毒腺(どくせん)」と呼ばれる分泌腺から毒を出すので、頭をマッサージすると、毒が出やすくなります。

採取した毒は、冷凍室で保管され、抗毒血清の生成やその他の研究に使われます。

ただし、ヘビのなかには、二酸化炭素では鎮静できない種類もいるので、その場合は、細心の注意が必要だといわれています。

ヘビ毒の抗毒血清の作り方

抗毒血清には、ヘビに噛まれたときに、毒素を無害化して、毒が全身に巡るのを防ぐ役割があります。

この抗毒血清は、毒ヘビから毒を採取した後、それを馬や羊などの動物に注射し、できた抗体を採取して作られています。

一人分の抗毒血清を生成するためには、何匹分ものヘビの毒が必要になるだけでなく、それを致死量に達しないように少しずつ何度も、数週間かけて動物に注射し、動物の体内の抗体量がピークに達するまで待たなければなりません。それには数ヶ月間を要します。

そして、数ヶ月が経過した後、動物の体内から抗体を取り出すために、頸部(頚静脈)から約6リットルの血液が採取されます。それを「ろ過」して不純物を取り除いた後、濃縮するとやっとできあがるのです。

抗毒血清の生成における問題

このように、抗毒血清の生成には、大量なヘビ毒に加えて、多大な労力とコストがかかっていることが分かります。そのうえ、ヘビに噛まれた人が、毒から完全に回復するには、多大な手間とコストをかけて生成された抗毒血清のガラス瓶が、20個から30個分も必要になってくるのです。

さらに、より多くの種類のヘビ毒に効く血清を開発するには、より多額な研究資金も必要となります。

発展途上国では、上記のようなコスト的な問題に加えて、ヘビの抗毒血清を冷凍保存しておくための電力不足から、抗毒血清が不足しているのが現状です。

過去には、なんと自分の体内にヘビ毒を入れて抗体を作り、それで作った抗毒血清を輸血して、21人の犠牲者を救った人物もいます。彼の名は、ビル・ハーストといい、100年の生涯で、172回もヘビに噛まれたにもかかわらず、指を1本失っただけだといわれています。

その他の参照元:
How To Make Antivenom