ダイエットの大敵は脂肪(脂質)ではない 見直すべき脂質のとり方

2018年5月 7日

ダイエット中だから、ドレッシングはライトタイプだし、牛乳はいつも低脂肪乳を選んでいる。

そんなふうに太ることを心配して、脂肪分を控えている人はたくさんいるかもしれません。

しかし、近年「脂質の摂取」が、必ずしも「太る」原因ではないことが少しずつ分かってきました。

驚いたことに、実際の研究では、脂質を控えた食事は、高脂肪食と比較しても、体重の減少や病気のリスクを軽減するのにはあまり役立たないとさえ示されています。

それどころか、脂肪分を控えるために、それを炭水化物で補った方が、かえって大問題です。

ここでは、健康であるためには脂質が必要な理由や、炭水化物(糖質)の落とし穴について分かりやすく紹介します。さて、脂質と糖質では、どちらが太る原因になると思いますか?

脂質 vs 炭水化物

人間は、基本的に、糖質や脂質、タンパク質を分解して、エネルギーとして代謝していますが、それぞれに異なる消化吸収の仕組みを知ることで、体脂肪の蓄積を防ぐことができます。

たとえば、脂肪分の多い食品は、体脂肪の敵というイメージが強いかもしれませんが、実際にはそうではなく、脂質は、体に不可欠な栄養素のひとつで、適切に摂取すれば健康的とさえいえます。

脂質がどのように健康を支えているのかを知るためには、まず、炭水化物を摂取した場合に、体内で何が起きるのかを考えて比較していくと分かりやすいので下記で紹介していきます。

炭水化物は体内でどうなるのか?

あなたは、白い食パンや白米を食べた後に、満腹感が十分に得られなくて、すぐにおなかがすいてしまったり、食べ過ぎてしまったりした経験はありませんか?

それには、血中のブドウ糖の量が深く関わっています。白いパンのように、ほぼ単純糖質である食品を食べた場合、唾液に含まれる酵素がすぐにその食品をブドウ糖に分解し始めます。

炭水化物が太りやすい理由

少し専門的な話になりますが、炭水化物に含まれる糖質には、甘味があって体内への吸収が早い単純糖質(白米や食パン)と消化に時間がかかる複合糖質(食物繊維が含まれている玄米や全粒粉パンなど)の2種類があります。

複合糖質と違い、体内への吸収が早い単純糖質では、摂取によってブドウ糖が急増すると、体が、インスリンと呼ばれる血糖値を保つためのホルモンをたくさん分泌して、血中のブドウ糖を脂肪組織などに取り込んで、エネルギー源として蓄えようとします。

その結果、血中のブドウ糖は減りますが、また空腹感が増してしまうため、ついつい食べ過ぎてしまう傾向が高くなるのです。

しかし、脂質の場合は、炭水化物と同じ方法で消化吸収されているわけではありません。

体内で脂質(脂肪酸)はどうなるのか?

脂質の多くは、唾液では分解できません。主には肝臓で作られる胆汁酸の働きによって、腸内で分解吸収されています。そのため、炭水化物に比べて消化の始まりがはるかに遅く、吸収されるのにも時間を要します

脂質は、ホルモンの分泌と複雑に関わりあって時間をかけて消化吸収されるため、炭水化物とは違ってインスリンの大量分泌が起こりにくいのです。

それどころか、良質な脂質は、体を適切に機能させるために不可欠だとさえいわれています。

脂質は健康の敵ではない

たとえば、オレイン酸を主成分とした「一価不飽和脂肪酸」は、炎症を抑え、悪玉のLDLコレステロール値を低下させるのに役立ちます。

必須脂肪酸として注目を集めている「多価不飽和脂肪酸(DHAやEPA、オメガ3脂肪酸など)」においては、高血圧や悪玉コレステロールの抑制、心疾患の予防、または、善玉コレステロールを増やす効果があることが分かっています。

しかし、同じ脂質でも、バターやチーズなどの乳製品や肉類(動物性脂肪)に含まれる「飽和脂肪酸(ほうわしぼうさん)」には注意しなければなりません。

注意すべき脂質

大規模に行われた研究で、飽和脂肪を摂取しすぎると、肝臓でコレステロールが合成されやすくなることが分かっています。

そのため、食事では、バターやチーズなどの乳製品、または、肉類の摂取量を減らす代わりに、不飽和脂肪酸を取り入れることによって、心臓病や神経変性疾患のリスクが低下することも示されています。

効果的な脂質の取り方

ある研究では、全乳製品の方が、低脂肪の乳製品よりも糖尿病のリスクが低く、健康であることが示されています。

また、不飽和脂肪酸を全くとらないのが、ダイエットに有効とはいえません。

女性を対象に行われた研究において、低脂肪食を8年間行った後の調査では、乳癌や結腸直腸癌、または心臓血管疾患のリスクが低減したという結果は見られませんでした。

そして、2017年に行われた炭水化物と脂質を比較した調査では、食事における脂肪摂取量と心臓病の関係よりも、過剰な炭水化物摂取の方がより高い死亡リスクに結びついていることがわかっています。

まとめ

これまでの研究をまとめると、脂質の摂取が必ずしも肥満に直結するわけではなく、心臓病のリスクを高めるわけでもないことが分かりました。

そして、炭水化物においては、おなかがすきやすく、過剰摂取した場合や偏った食事は、より高い死亡リスクにつながります。

しかし、科学者たちの研究が、本当に伝えたいことは別にあるようです。

それは、良質な脂質と複合炭水化物を取り入れたバランスのとれた食事を心がけることです。

研究者らは、複合炭水化物(食物繊維が豊富で、玄米や全粒粉製品のように精製されていない穀物)、そして、肉や糖分が少ない食事が、体重増加のリスクを減らすことを示しています。

幸いにも、健康的な脂質や複合炭水化物は、魚やオリーブ油、アボカド、ひまわりの種やクルミといったナッツや種子類など身近な食品で簡単に見つけることができます。加えて、サツマイモやリンゴ、豆類なども、血糖値の急上昇を防ぐ食品として役立ちます。

ぜひ、良質な脂質の摂取、バランスのとれた食事を考えたうえで、適度な運動を取り入れて、健康的な毎日を送ってください。