なぜ血液型が違う人には輸血できないのか?

2018年7月30日

私たちの血液は、AやB、O、または、Rh(プラス、マイナス)というようにいくつかのタイプに分かれています。

実のところ、血液型は、少なくとも2千万年前から存在していたといわれています。

しかし、医師たちが血液に型があることを知ったのはわずか116年前。 それまで(1900年以前)は、間違った血液を注射されて、血液型不適合によって数え切れないほどの人々が、命を落としていました。

それでは、ある血液のタイプに適合する人がいれば、適合しない人もいるのはなぜでしょうか?

それには、血液中の赤血球の表面にある「抗原(こうげん)」と呼ばれるタンパク質が関わっています。

それらが異なる血液型の赤血球と混ざり合うと、それを異物として排除しようとし、ウィルスや細菌と戦うときのように反応して、血液を凝集(結合してかたまりをつくる)させてしまうためです。

ここでは、血液型の分け方や地域性、役割などについて、さまざまな研究をもとに科学的に分かりやすく紹介します。

血液型の分け方

血液型を決めるのは、赤血球の表面にある抗原と呼ばれるタンパク質です。

血液にAタイプの抗原があればA型になり、Bタイプの抗原があればB型に、AとBの両方があればAB型、どちらもないのがO型となります。

また、赤血球から分かる血液型には、上のABO型の他に、ある特定の抗原の有無によって分けられたRh型(プラス、マイナス)もあります。

輸血する際には、基本的に、このABO血液型とRh型(特定の抗原の有無)をもとに、適合な血液が選ばれます。

間違った型の血液を輸血すると何が起こるのか?

仮に、注射によって異なるタイプの抗原が血液中に混ざり込んでしまった場合、血漿(けっしょう:血液の55%しめる液体成分)に含まれている抗体が、危険物が侵入したと判断して、体を守るために働き始めます。

その結果、赤血球中の抗体同士が結合して、塊のような集団を作り(凝集反応)、血管を詰まらせて循環を妨げたり、赤血球を破壊したりして、致命傷となる可能性があります。

この深刻な抗体反応は、わずか数ミリリットルの間違った血液で引き起こされる可能性があるため、輸血を行う場合には、自分でも血液型を把握しておくのが望ましいといわれています。

血液は多くの型に分かれる

血液型を細かく分けていくと、世界には35種のグループ系統がありますが、最も一般的なのは、上に挙げたABO型とRh型の2つ分類で、おそらくほとんどの人がこのグループに入るでしょう。

この2つのグループには8つのタイプ(A+ A- B+B- C+ C- O+ O- AB+ AB-)があり、これだけで世界の人口の約90%を占めています。

奇妙なことに、そのなかでもO+ とA+は全体の65%という高い割合でみられています。

しかも、血液型には地域性もあり、西半球ではO型が、そして、A型やB型は東半球でよく見られます。たとえば、インドでは、 B+(プラス)の血液型が、アメリカの4倍も存在します。

その一方で、驚いたことに、AB-(マイナス)型は世界中の2%以下だといわれています。

そのため、科学者は、なぜ、どのようにしてこのような異なる血液型が存在するのかについて研究を進めています。

血液型の役割

実は、血液型があるのは、人間だけではありません。

犬や猫、馬、サルといった動物にもあります。しかし、動物は、人間とは異なる抗原をもつため、いくらペットが家族同然だとしても、人間の血液を輸血することはできません。

今、さまざまな研究によって、特定の病気に対する血液型の役割などが調べられています。

たとえば、A型の人は特定のすい臓癌や白血病、心疾患、重度のマラリアなどを発症するリスクが高く、疱瘡(ほうそう)といった天然痘ウイルスにかかりやすいといわれています。

一方でO型は、重度のマラリアを発症するリスクがはるかに低いものの、潰瘍(かいよう)やアキレス腱を損傷しやすい傾向があることが分かってきました。

このような血液型による病気の発症リスクの違いや抗原の役割などもふまえて、世界各地で血液型についての研究が進められています。

最後に

血液は、体の中をただ流れているわけではありません。

体中の細胞に酸素や栄養を運び、老廃物を排出するだけでなく、病原体から体を守る(免疫機能)など、人間が生きていくためになくてはならない働きをしています。

しかし、人間の血液は複雑で、赤血球や白血球、血小板、血漿などさまざまな構成要素がそれらの役割を果たしているため、最新の科学をもってしても未だに人工血液による献血は実現できていません。

そのため、病気や事故、災害などで負傷した人のために、献血によって安定して血液を蓄えていくことは必要不可欠だといわれています。

ぜひ、次に献血するときには、あなたの血液が最終的に同じ抗原をもつ別の人間に入って働き、命をつなぐ姿をイメージしてみてください。

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