なぜ赤ちゃんは水を飲んではいけないのか?

2018年11月14日

人間には、「水を飲む」ことによって命を失いかねない時期があります。

それは生後6ヶ月未満の乳児期。赤ちゃんにとっては、ほんの数十ミリリットルの水でさえ、命を奪われる可能性があるのです。

私たちの体は、大部分が体液と呼ばれる水分からなり、健全な成人なら平均して体の55%から60%を水分が占めています。

一方で、赤ちゃんの体の水分量は、平均して約75%です。

実は、この数値の違いが、少なくとも生後6ヶ月以内は水を飲むべきでないといわれる理由なのです。

この時期は、ただの水道水や井戸水、湧き水が悪いというわけではなく、ミネラルウォーターなど水と呼ばれる類のものは全て注意が必要です。

ここでは、なぜ生後6ヶ月未満の赤ちゃんが水を飲んではいけないのかについて、その理由を体内の水分量や腎臓の機能などをもとに分かりやすく紹介します。

過剰な水分の血液への影響

みなさんの腎臓には、 体液の量や濃さを調節し、余分な水分を老廃物とともに尿として排泄する役割があります。

しかし、腎臓が扱える水分量には限界があり、その限界を超えた場合、余分な水分は再び血流に戻り、そこであなたの血中の塩分、すなわちナトリウム濃度を薄めてしまいます。

たとえば、夏などに大量に汗をかいた後や嘔吐や下痢などによって水分とともにナトリウムが失われた後、それを大量の水だけで補給すると、当然のように血中のナトリウム濃度は低下します。

その他にも、腎疾患や肝硬変などの病気によってナトリウム濃度が低下することもあります。

そして、血中のナトリウム濃度が、1ガロン(3.7 リットル)あたり約0.4オンス(11グラム)未満にまで達すると、低ナトリウム血症と呼ばれる危険な状態にさらされる可能性があります。

低ナトリウム血症になると何が怖いのか

血中のナトリウム濃度が低下しすぎると、体細胞は、急激に増えた水分を自ら吸収することによって正常な濃度レベルまで戻そうとします。

その過程で細胞が水風船のように膨らむと、筋肉のひきつけやけいれん発作、嘔吐、錯乱状態などの合併症を引き起こすことがあります。

この低ナトリウム血症は、レース中に、血中の塩分バランスを考えることなく、急激に大量の水分補給を行ってしまったマラソン選手によく見られます。

そのまま水を飲み続けると、最終的に余分な水分は、脳細胞にまで達し「水中毒」と呼ばれる危険な状態を引き起こします。アメリカでは、毎年20万人がこの水中毒になるといわれています。

そして、脳細胞が水中毒によって腫れ、頭蓋骨の内部を圧迫し始めると、脳の損傷や発作が引き起こされます。まれなケースですが、昏迷状態に陥ったまま死に至ることもあります。

赤ちゃんの命を脅かす「水中毒」

重度の水中毒は、命を脅かす危険性があります。

しかし、心配しないでください。一般的な成人の場合、水中毒で命を落とすことはほとんどないといわれています。

なぜなら、大人が水中毒になるには、数時間ごとに2.5ガロン(9.4リットル)から5ガロン(18.9リットル)の水を飲まなければならないからです。

しかし、生後6ヶ月未満の赤ちゃんにとっては話が別です。

赤ちゃんの腎臓は成人の約半分の大きさしかないので、扱える水分量の限界が低く、わずか数十ミリリットルで水中毒が引き起こされるリスクがあるのです。

さらに、彼らの腎臓は水のろ過機能も未熟なので、体内に入った水が循環系にとどまり、血液を希釈して水分を7%から8%増加させるといわれています。

実のところ、赤ちゃんにとっては水を飲むだけが脅威ではないようです。

実際に、乳児の水中毒症のほとんどが、調乳ミルクの水分量を誤って薄めすぎたり、プールで赤ちゃんを上下に揺らしすぎたり、プールの水を飲みすぎたりしたときに引き起こされています。

そのため、もし、赤ちゃんが水中毒の兆候を示しているような場合は、すぐに病院に連れて行くことが大切だといわれています。

病院では、乳児の血中ナトリウム濃度を正常戻すために、静脈内に体液のような生理食塩水を入れてゆっくりと濃度を上昇させる試みが行われるでしょう。