「スマートフォンの光が目に害を及ぼす」のは本当か?

テレビ、パソコン、ゲーム、電子書籍。現代社会において、私たちは電子的なスクリーン(画面)の前で多くの時間を費やすようになりました。

そして、これらの画面から放たれる不自然な光に眼がさらされることは有害であると心配する声であふれています。

実のところ、これらの光は本当に私たちを傷つけているのでしょうか?

過去の研究を見ていくと、たしかに、パソコンやモバイル端末などのスクリーン(画面)の光によって、頭痛のような一時的な被害が引き起こされる可能性はあるようですが、それらが永久的な障害をもたらすことに関してはいまだに明らかではありません。

ここでは、ブルーライトが目に及ぼす有害な影響について、過去の研究をもとに科学的に分かってきたことを紹介します。

スクリーン(画面)を見ると目の疲れや頭痛が生じる理由

長い時間、パソコンやモバイル端末などのスクリーン(画面)を見続けた場合、視界がぼやけたり、目の疲れや頭痛、首や肩に痛みなどを感じることがあります。

これらの症状は、コンピューター視覚症候群と呼ばれ、長時間画面を見続けたことにつながりがあることが明らかになってきました。

しかし、液晶をみている間はまばたきが著しく減ったり、細目になりがちになったり、また、ブルーライトと呼ばれる光にさらされることで瞳孔の反応に影響が出たり、一点を見続けたことによる眼の筋肉が緊張するなど、潜在的要因は多岐にわたります。

もしかしたら、ただコンタクトやメガネのレンズが合っていなかったり、乱視が見逃されていたりすることで、目への負担がかかっているだけの可能性も考えられます。

このように、基本的に、スクリーン(画面)を見ると目の疲れや頭痛が生じる理由として考えられることはひとつとは限らないようです。

コンピューター視覚症候群対策

幸いにも研究では、これらのコンピューター視覚症候群のような症状は、目に適切な休養を与えることである程度防げることが分かっています。加えて、習慣的にデジタルスクリーン(画面)にさらされる人に関しても、これらの症状の長期的な影響は示されませんでした。

実際に医師も、20分おきに20秒間の休憩を取ることや、画面端末から6メートル離れることが、これらの症状を防ぐのに効果的だと勧めています。

しかし一方で、そういった対策を行ってもなお、画面から放たれる青い光に関しては、目の細胞を傷つけ、ときには視細胞を死滅させかねない可能性があるといわれています。

ブルーライトの問題

ブルーライトと呼ばれる青い光は、短い波長によるもので、眼の網膜の細胞を傷つけ、最終的には殺すことができるほどの高いエネルギーを有するといわれています。

この光は、特定の分子と反応し、それらの一部に打撃を与え、あらゆるものと結合する有害な活性酸素(かっせいさんそ)を生成します。

その結果、細胞が自己のもつ遺伝的なプログラムによって、なかば自殺的に破壊されるアポトーシスと呼ばれる現象を引き起こし、細胞死をもたらす可能性があるというのです。

ブルーライトが目の網膜を傷つける可能性

これまで、ブルーライトは、目の網膜を傷つけ、視力低下や失明につながるおそれがあると信じられてきました。

しかし、これは、研究者らが、人間の目で直接実験したわけではなく、ペトリ皿で育ったヒト網膜細胞やラットのような動物モデルで行った多くの実験によって分かってきたことである点には注意しなければなりません。

さらに、これらの研究のほとんどは、極端に強いLEDランプの光を投射しており、時には長時間にわたってその光に被写体をさらすこともありました。

したがって、強いブルーライトの光が網膜の細胞死を引き起こすことは間違いないかもしれませんが、日常的にあるスクリーン端末から出たブルーライトの危険性にそれがそのまま当てはまるかまでは明らかにはされていません。

また、研究がすすむにつれて、人の目には、それらの有害物質と闘う抗酸化物質が存在することも分かってきました。

日常的にさらされるブルーライトについて

2017年、私たちの周りにある一般的なスクリーン端末によるブルーライトの影響を調べた研究が行われました。

具体的には、強度の異なる3つの波長のブルーライトの影響について調べられた結果、449nm(ナノメートル)のブルーライトが、有害な活性酸素の増加を最も引き起こすことが発見されました。

しかし、不思議なことに、それよりもわずかに長い470nmの波長の光は、それほど細胞に大きなダメージを与えなかったのです。ちなみに、人間の目がとらえられる光は400nmから700nmくらいまでで、可視光と呼ばれています。

ナノメートル(nm)は10億分の1メートルであることを考えると、わずか20nmの波長の変化などあまり違いがないような気がしますが、この結果の違いは2色の光が異なるエネルギー量を持つことに関係しています。

470nmの波長は、一種のターコイズ色のような光で、分子を分解するのに効果的なエネルギーを十分に持っていません。

つまり、これは、眼球を守るには、スクリーンから出る短い波長の光を減らすのが有効であることを意味しています。

しかし、それは1つの大切なことを無視した結果に過ぎません。ブルーライトというと、おそらくほとんどの人が、パソコンやスマートフォンなどの電子機器端末を思い浮かべるかもしれませんが、実のところ、昼間の太陽の光や照明の光などにもブルーライトは含まれています。

晴れた日に外に出ると、私たちはたくさんの青い光を目にします。その青い光は、パソコンの画面よりも、はるかに強烈な光です。

これに関しては、2016年に発表された論文で、大変興味深いことが公式に発表されています。

それは、電子的なスクリーンからのブルーライトの量に関して、単純な昼の光によってさらされる青い光の量とを比較検討したところ、「ブルーライトが人体に及ぼす危険性は示されず、それは長時間画面を見ていた場合でも同じ」というものでした。

最後に

たしかに、パソコンやスマートフォンなどから出るブルーライトは、私たちの睡眠を妨げることがあります。しかし、眼の細胞の損傷に関しては、それを明らかに裏付けるような科学的な根拠はいまだに見いだせてはいません。

そして私たちには、「免疫体」という網膜の細胞を守るために闘う心強い味方もいます。

免疫体として働く抗酸化物質は、加齢とともに弱まって、視力を低下させることはあるかもしれませんが、画面を見る時は、長い時間見続けないで適度な休憩を入れ、遠くを見て目を休ませるといった今できることから取り組むことによって、目への負担を軽減することもできるのです。

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