腸が心(脳)や免疫システム、健康に与える驚くべき影響

2018年12月11日

消化器官といえば、おそらくほとんどの人が、口から入った食べ物を分解して吸収し、いらないなものを排泄する程度の働きだと考えているかもしれません。

しかし今や、「腸は第二の脳」、「健康のカギを握るのは腸だ」といわれるほど消化器系は、身体的な健康から、メンタルヘルスや幸福感などにまで、私たちが考えるよりもはるかにさまざまな影響を及ぼすことが分かってきました。

ここでは、腸がどのように心の健康を保っているのか、また、腸に住む何十億もの微生物たちが及ぼす免疫システムやその他の体の部位への驚くべき影響力について分かりやすく紹介します。

消化器系の健康が血液に及ぼす影響

食べ物は胃や腸で消化吸収された後、血液によって、その栄養素を必要とする体内の組織へ運ばれていきます。

そのため、何を食べたか、または、消化器系の健康がそのまま血中のコレステロールレベルや心臓の健康状態に影響を与えます。

コレステロールは脂肪の一種で、それ自体が恐ろしい存在ではありませんが、コレステロールが血中に多すぎた場合、血管の壁にくっついてプラークと呼ばれる塊を形成してしまいます。これが、心臓病への第一歩です。

コレステロール値は食事より腸の影響が大きい

意外にも、コレステロール値は、食べた物の量との相関関係よりも、消化器官の健康状態による影響が大きいといわれています。

コレステロールは、胆嚢から腸に分泌される消化液「担汁」を作る時に必要な材料として使われているのです。

実際に、食べ物を消化するときの腸内のコレステロールの多くは、食べた物よりも胆汁に由来するものが多いといわれています。

また、食事中の他の成分によっても吸収率は影響を受けるため、食物繊維のような特定の食べ物を摂取することで、再吸収するコレステロール量を減らして、血液中の総コレステロール値を低下させることもできます。

コレステロール値を正常に保つカギ

食物繊維は、全ての炭水化物に含まれ、基本的に消化液では消化吸収しにくいもの全般を意味します。そして、水に溶けやすい水溶性食物繊維と水に溶けにくい不溶性食物繊維があります。

特に、水溶性の食物繊維は、水分を吸収して粘り気のあるゲルを形成するため、膨れて便のかさや水分量を増して腸内を通りやすくし、規則的でスムーズな排泄を促すことから、便秘の予防や改善役立ちます。

不要物の排泄を促し悪玉コレステロール値を低下させる食物繊維

粘り気のある水溶性食物繊維のなかでも注目を集めているが「オオバコ」です。

それは植物の種皮由来の食物繊維で、臨床試験では、食事に加えると、悪玉コレステロール値を6%から24%低下させることが示されました。

これはおそらく、オオバコの水溶性食物繊維が、腸内のコレステロールを吸着して、消化されずにそのまま排泄されるため、それが体内へのコレステロールの吸収を抑えると考えられています。

食物繊維はまた、食事からの栄養素の吸収に影響を与える良い腸内細菌のレベルを高めるのにも役立つといわれています。

腸と免疫システムの関係

実のところ、食べた物は、あなたの体内に住む小さな微生物たちに影響を及ぼしています。これが、食べ物が免疫システムに大きな影響を与えるといわれる理由です。

腸は、私たちの体内にあるにもかかわらず、外の世界にもさらされており、そこは厄介な感染源たちとの闘いの最前線でもあります。

ゆえに、体内の免疫細胞の半分以上が消化器系に集中しているのです。

そして、幸いなことに、私たちには、感染源たちと闘う隠れた兵士たちがいます。腸内に住む微生物「腸内細菌」です。

腸内細菌は、大腸菌やジアルジアのような外部から侵入した病原体から守ってくれるのです。

研究によると、健全な微生物は、あらゆる種の感染症の予防に役立つことが示されています。例えば、腸内細菌が腸内の免疫細胞を刺激して、呼吸器系の細胞に伝えることで、呼吸器感染を発症する可能性も減らすことができます。

実際にどのような食べ物が、腸内細菌に有効かを詳しく知るにはまだまだ研究が必要ですが、食べ物が腸内細菌に大きな影響を及ぼす可能性があることはさまざまな研究によって明らかにされています。

そのため、食生活や消化器系の健康に少しでも変化があれば、それは免疫システムを弱体化、および強化させることに直結するといえます。

腸と心の関係

腸の健康は、メンタルヘルス(精神的健康)の重要な要素にもなります。

もちろん、脳組織の働きを正常に保つには、十分な栄養素が必要ですが、腸は、それ以上に脳の健康に影響を与えているのです。

私たちは、腸管神経系と呼ばれる「第二の脳」を持っています。それは、いわば腸が脳をコントロールしているといっても過言ではないほど優れた存在でもあります。

実際に腸では、食べ物を「噛み」、排泄物として出すまでの消化システムが全てスムーズに行われるように、1億以上の神経が協力し合っています。

そして、この「腸の脳」は、頭の中の脳とも密接に意思疎通をはかり、気分や不安をもコントロールしているのです。

胃の調子が悪くなると、精神的健康が乱れ、うつ病や不安障害のようなものにつながる可能性が高いことはよく知られています。

これは、単に「気分がすぐれない」といったものではなく、腸や腸内細菌の健康状態が、迷走神経を介して脳に送られるメッセージに影響を与え、主要タンパク質や神経伝達物質といったあらゆる種の値を変化させることができるためです。

認知機能(知性)や感情の抑制(理性)への影響

マウスの研究では、腸内によい細菌が増えた場合、感情の抑制と相関関係がみられました。

ストレスホルモンとして知られるコルチゾールレべルが減り、社会的なプレッシャーや恐怖心、気分の落ち込みなどの兆候が軽減するだけでなく、認知機能や記憶の改善もみられたのです。

そのため、神経医学の分野では、精神障害への取り組みとして腸内細菌の再配列の見直しについての研究に期待が高まっています。

また、腸内細菌と自閉症、その他、慢性疲労症候群との関係についての研究でも、腸内環境の改善が、精神医学の病気を扱う分野で大きな可能性を秘めていることが示されています。

最後に

食べた物と消化システムの関係が、その他の体やメンタルの健康にどれほど影響を与えるのかについてを完全に理解するにはまだ学ぶべきことがたくさんあるかもしれません。

しかし、一つ確かなことは、より幸せで健康的な腸が、あなたをより幸せで健康的にすることです。そして、その健康的な腸は、腸内の細菌たちによって日々コントロールされているのです。

ゆえに、日々の食事によって、よい腸内細菌を増やし、腸内環境を整えることは、心身の健康や知性、理性のコントロールにも効果が期待できそうです。

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