テスト勉強に向けて記憶力を上げ、一夜づけを科学的に効率アップさせるテクニック

2019年3月12日

一夜漬けは、勉強方法としては決して理想的なものとはいえません。

しかし、この記事を読んでいる人のなかには、翌日、さらには数時間後にはテストをひかえている人もいるかもしれません。

もしそうであるなら、まずはテストに向けて、残された数時間内にできる最も効果的な勉強のやり方に集中してみましょう。

テストまで勉強時間はあまり確保できないかもしれませんが、その限られた時間を効率的に使って短期記憶にたくさんの知識を保存していき、テスト本番では覚えたことをできるだけ脳から引き出すためのテクニックを身につけると記憶の底上げが期待できます。

ここでは、テスト勉強に役立つであろう記憶の「保存」「定着」「引き出し方」に関する科学的に考えられたテクニックを分かりやすく紹介します。

記憶の宮殿

「記憶の宮殿」とは、紀元前80年までさかのぼる昔ながらの有名な記憶術です。古代ギリシャ人やローマ人は、記憶を2つのタイプに区別していました。

ひとつ目は、誰もが本能的に使用する「自然の記憶」。そして、二つ目は学習やトレーニングを通じて開発していかなければならない「人工的な記憶」です。

記憶の宮殿は、後者の記憶を向上させるために意図的に使用されてきた戦略のひとつで、覚えておきたいことを、特定の「場所」に関連付けて記憶する方法です。

やり方

「場所」は、なじみ深い所であれば自分の家でも部屋でも構いません。とにかく頭の中にできるだけイメージしやすい記憶の宮殿を思い浮かべてください。

たとえば、ある研究では、医学生がインスリンの作用について覚えるために、自分の居間に解糖系を、そして台所にケトン体を保存しました。

すると、この医学生は、インスリンの作用について思い出したいときに、頭に描いた自分の家へ記憶の旅に出ることによって、各部屋にある解凍系やケトン体を想起することができます。

研究の結果、記憶の宮殿を作成して医学の試験に挑んだ人は、それをしなかった人よりも優れたパフォーマンスを発揮できたことが分かりました。

記憶を保つ力が向上した理由

私たちの視覚的、および空間的な記憶は非常に強いもので、それを既存の記憶(既に知っている知識や既に長期記憶に保存された情報)と結びつけることが有効な手段であることは、科学的にも証明されています。

ニーモニックメソド

覚えたい語句の頭文字をとって新たな文章や単語を作ったり、歌を創作して記憶するおもしろいテクニックです。子供がアルファベットを覚えたいときに活用する「ABCの歌」はそれに値します。

単語でいうと、虹の七色を暗記するために使われる「VIBGYOR(ヴィブジオー)」や五大湖の名前( Huron, Ontario, Michigan, Erie and Superior)のために考えられた「HOMES」などがアメリカでは有名です。

これは、いくつかの研究によって、知識をしっかりと脳内に送り込んで記憶させるのに有効な方法であることが証明されており、文章や単語がユニークなほど効果的だといわれています。

やり方

たとえば、下記の「クエン酸回路」の順番について覚えたい場合、

クエン酸(Citrate) → イソクエン酸(Isocitrate) → α-ケトグルタル酸(Ketoglutarate) → スクシニル(Succinyl) → コハク酸(Succinate) → フマル酸(Fumarate) → リンゴ酸(Malate) → オキサロ酢酸(Oxaloacetate)

のそれぞれの頭文字をピックアップして、文章をつくります。

英語では、上の大文字の部分が頭文字となるので、

'Can I Keep Singing Songs For My Oscars?(訳:オスカーのために歌い続けることができますか?)'という文章がつくれます。

これにメロディーやリズムをつけることもできます。

教科書やメモを読み直す効果はうすい

さて、あなたは、試験勉強として、教科書やノート、参考書などを読み直していませんか?

これは、多くの人が行っているかもしれませんが、期待するような効果が得られにくいようです。

ある研究では、参加者に参考書を読んでもらい、選択問題や要約問題、または、簡単な質問形式のテストを行ったところ、1回読み直したグループと2回読み直したグループでは、記憶を保持する能力に大差がなかったことが判明しました。

これは、参考書を再読しても試験には明らかなメリットがないことを示しています。

試験へのストレスはよくない理由

試験は、とてもストレスの多いものですが、実のところ、このストレスを抑制するために、試験中や勉強中におけるあなたのエネルギーは余計に浪費されているのです。

私たちは、ストレスを感じると、アドレナリンが放出されて、心拍数が上がり、汗をかくことがあります。

そして、ストレスを感じてから約20分間経過した頃から、体は遅れてストレス反応を被り、コルチゾールと呼ばれるホルモンを放出します。

コルチゾールは、脳の大脳辺縁系の一部である海馬の受容体に付着します。海馬は、短期記憶を長期記憶に変える役割のある脳の領域です。

コルチゾールが海馬に結合すると、脳での記憶の検索を妨げてしまいます。そうなると、試験中に答えを思い出すのが難しくなるでしょう。

したがって、試験中や勉強するときには深呼吸をして、できるかぎりストレスを解消する必要がありますが、言うは易く行うは難しというように、残念ながらストレスは簡単には無くならないかもしれません。

試験中のストレスを軽減するための取り組み方

科学者は、自分でテストを行う「模擬試験」を取り入れた勉強をすすめています。

模擬試験は、脳に保存された記憶から特定の記憶を思い出す力を向上させる科学的な手段であるだけでなく、ストレスの大きい状況への耐性をつけてくれるからです。

研究でも、模擬試験を利用して大きなストレスに置かれていた人は、実際の試験ではストレス刺激をほとんど受けていない人と同じようなパフォーマンスを発揮したことが示されています。

MRIを利用して脳活動を調べた研究では、模擬試験によって、脳内で海馬と他の領域の接続能力が高まることも分かりました。なんと、コルチゾールが脳の一部の経路を妨げたとしても、模擬試験を取り入れた勉強によって、その阻害を回避する新しい経路がつくられる可能性があるというのです。

勉強中にどうしても気が散るときの対処法

勉強中に気が散って、どうしても集中できないときは、少し体を動かしてみてください。

研究によると、15分間運動してから暗記した人は、しなかった人よりもはるかに早く記憶できます。そして、それは、ちょっとした散歩でも効果に違いが出ます。

しかし、忘れてはならないのは、自分に最適な勉強方法について知ることです。

勉強にもメタ認知が大切

研究では、自分を客観的に認知する能力が低い学生、つまり、自分の長所と短所への評価意識が低い学生は、試験のパフォーマンスが低下することが分かっています。

第三の目(客観的な目)で、計算や文章題が苦手といった自分の問題に気付き(把握)、その解決にむけて、図を描いたり式の書き方を変えたりなどうまくいく方法を考え出すだけでなく、自分にあった効果的な勉強スタイルを見つけ出すことも大切なのです。

たとえば、以前に一人で勉強した方が効果が高かったのであれば、それを戦略として実行してみてください。

睡眠は学習において重要な要素

試験の前夜、あなたはどちらのタイプですか?

・「ほとんど試験勉強してないから、夜遅くまで勉強中」
・「ある程度勉強したから、知識を記憶として確かなものにしたい」

もし、後者の既に勉強しているタイプなら、迷わずに寝てください。

1世紀以上にわたる研究によって、睡眠が記憶の保持に不可欠であることが結論づけられています。

しかし、既に寝る時間があとわずかしか残されていないのであれば、ロッキングベッドを試してみるのもひとつの方法です。

最近の研究によると、穏やかに揺れるように設計されたベッドで眠った参加者は、より早く寝入り、そして、より深い眠りにつくことができ、翌朝の記憶テストでより優れたパフォーマンスを発揮できることがわかりました。

そして、次からは一夜漬けしないために、戦略的に勉強をしてください。

参照元
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