いくら汗をかいても実際はデトックスできていない理由

2019年6月12日

インターネットに費やす時間が多い人なら、おそらくこのような奇妙なフレーズを一度は目にしたことがあるでしょう。

「美容とダイエットのための発汗デトックス」
「体内デトックスプログラム」

これらは、体にたまった老廃物や毒素を排出するために行動を促したもので、ある意味で間違いではありませんが、正解とはいえません。

なかにはそれを見て、慌ててデトックスジュースやデトックスウォーターなるものを手に取る人もいるかもしれません。あるいは、イオンフットバスや遠赤外線サウナで大量の汗をかいて毛穴から毒素を出そうとする人もいるでしょう。

仮にあなたが、「そんなのデトックスの常識だよ」と既にどちらかの方法を取り入れているとしたら、残念ながら悪い知らせがあります。

研究がすすむにつれて、デトックスジュースで体は解毒できないこと(参照:デトックスジュースには効果がない理由)や、いくら汗をかいたところで期待するようなデトックス効果は得られないことが分かったのです。

しかし、悲観的になる必要はありません。

幸いにも私たちは、サウナに頼らなくても、有毒物質や老廃物を排出する役割をになう臓器をすでにもっているからです。

ここでは、汗をかくのがデトックスにはならない理由について、体の解毒作用の仕組みをもとに分かりやすく紹介します。

そもそも体内の毒素とは何か?問題視されるあいまいなデトックスの実態

厳密に言えば、毒素は生物によって作られた毒です。

しかし、通常、私たちはその毒素がどこから来たのかにかかわらず、体にとって悪いものといったあいまいな定義でしか捉えていません。

実のところ、人体は、服用薬やアルコール、農薬、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、水銀にいたるまで、たくさんの毒素を処理しなければなりません。そして、どうがんばっても、これらを避けて生きていくことはできないのです。

なぜなら、生命活動を続けるためにあなたの体からも、毎日代謝の副産物として毒素が作られているからです。

たとえば、体内でタンパク質を分解すると生じるアンモニアや尿素。破壊されては新生している赤血球は毎秒200万個を超え、それに伴って「ビリルビン」と呼ばれる代謝物も出されています。他にも、呼吸によって体内から吐き出される二酸化炭素などさまざまなものがあります。

これらの代謝の副産物は、通常の濃度なら有害ではありませんが、蓄積してしまった場合、体に問題を引き起こす可能性があります。

その点に限っては、先に述べた「あなたの体は毒素を取り除かなければならない」というデトックス商法は間違いではないかもしれません。しかし、汗を大量にかくことでそれらの有害物質が取り除けるわけではないのです。

なぜなら、体内の解毒作用をになっているのは、肝臓と腎臓であって、それ以外は科学的な正当性がみとめられないからです。

体の主なデトックスをになう肝臓

なかでもデトックスの原動力になるのが、人体において最も大きな臓器「肝臓」です。

肝臓は、アンモニアのような有毒な代謝老廃物を化学的に修正して、尿素のようなより毒性の低いものに変換する助けとなります。

実際に肝臓には、薬物や食品添加物といった有害な化学分子をより害の少ないものに分解する(解毒)ための、強力で多用途な酵素が何百種と存在します。

古くなった赤血球の破壊によって生じたビリルビンのような老廃物においては、肝臓で処理された後、胆汁(たんじゅう)の材料となって、そのまま担汁を介して便として体外へ排泄されています。

ちなみに、このビリルビンは、肝臓で生成された胆汁を色付けている色素で、つまり、うんちを茶色にしているものです。

その他の肝臓からの老廃物は血流に入り、最終的には腎臓に行きます。

腎臓の役割

腎臓も肝臓と同様に、毒素を排出するためのすばらしい働きをします。

いわば血液内臓フィルターのようなもので、血液をろ過して必要なものを体内にとどめて、老廃物や毒素を尿として排出してくれるのです。

腎臓は、尿素といった老廃物をはじめとする肝臓からの分解分子だけでなく、微量に含まれたホルモンや薬物などの一連の有害物質も除去します。

そして、血中のミネラル、水分、電解質などの成分を、健康なレベルに維持しています。それらはどれも多すぎると致命的になる恐れがあるからです。

このように肝臓と腎臓は、あなたの体の「毒素」状態を常にコントロールしています。

汗でデトックスできるという誤解

汗が、ろ過フィルターとして不要物を排泄するために重要であるという考えは、汗腺の目には見えない構造と能力が、腎臓にかなり似ているという事実からきたものかもしれません。

いいかえると、汗も尿も、濃縮した液体としては同じものですが、ただ汗に溶け込んだ物質のほとんどは塩分やミネラルで、その他の老廃物や重金属、薬物、BPA、農薬などといった汚染物質は含まれていても「ごく微量」です。

これは、サウナやはげしい運動で大量に汗をかいたとしても同じで、つまり、汗に含まれる有毒物質の量は、それらを汗として出す健康上のメリットを無視できるほどわずかであることを意味します。

汗腺が、肝臓や腎臓の役割をになうことはない

まれに、汗が臭うことがありますが、それは汗腺がデトックスの仕事をしているからではありません。

一般的に、汗をかくのは、ストレスや緊張からくるものもありますが、主な理由は体温を下げるためであって、毒素を排出するためではないのです。

実のところ、尿として出るはずのものが汗として出る、つまり、皮膚が腎臓機能の一部を担うこともありますが、これらの症状は、主に腎不全やコレラなどが要因となって引き起こされます。

そのため、もし皮膚が腎臓の働きをするような場合、それは体に大きな問題があると疑った方がよいでしょう。

基本的に、汗は、肝臓や腎臓が行う以上に有害物質を体から取り除くことはありません

最後に

発汗によるデトックス療法を売りにしたもは、残念ながら正当性はみとめられません。すでに体に組み込まれている毒素排出機能以外には、淡い期待を抱かない方がよいでしょう。

たしかに、サウナやホットヨガ、その他の運動などによって汗をかくことは、血流をあげて代謝が促されるといった健康上のメリットがあるかもしれませんが、それによって余分な毒素が排出されるわけではないのです。

あなたが健康な肝臓と腎臓を持っているなら、それだけで自然に毒素をろ過して排出していけます。

重金属や農薬の影響が心配でも、普通の生活で害がおよぶまで取り込まれることは考えにくく、健康的な恩恵を受けるには今すぐ排出すべきとは科学的に示されていません。

BPAにおいても、排出の心配よりも、予防的な取り組みを行う方がはるかに効果的です。(くわしくはこちらを参照:「プラスチック製品を食品用に使うのは今すぐやめるべき」といわれる理由

カギとなるのは、肝臓と腎臓を健康的に保つこと。

それには、適度な運動や水分摂取、十分な睡眠に気を付けて、暴飲暴食や偏った食事ではなく、複合炭水化物や良質な脂質を含むバランスのとれた規則正しい食生活に勝るものはありません。

参照元
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