歯の矯正はどのような方法で歯を動かして歯並びに働きかけるのか?

2019年7月24日

歯の矯正についての印象を聞かれると、おそらく「痛そうで怖い」というのが本音かもしれません。

実際に、矯正装置をつけた人は、噛むときや装置が舌にあたる痛み、歯が動く痛みなどをうったえることがよくあります。

そもそも歯はそのように動くようにはできていないのですから、このような痛みが起きるのは、決して不思議なことではありません。

実のところ、歯列矯正は、歯を動かすといった表面的なものだけではなく、目には見えないところで、あなたの想像以上のことを引き起こしているのです。

驚くかもしれませんが、矯正装置の役割は、まず、顎の骨を破壊することから始まります。

ここでは、アメリカで一人当たり最大7500ドルも費やすほど価値があると考えられている歯列矯正について、「どうやって矯正で歯を動かしているのか」を骨が本来もつ代謝機能に基づいて分かりやすく紹介します。

歯の矯正の役割

歯の矯正は、ただインスタ映えするような笑顔を手に入れるためのものではありません。

歯並びやかみ合わせが悪い歯をもつと、歯のでこぼこ部分の歯磨きが難しく、きれいに磨いたつもりでも虫歯や歯周病になりやすくなります。

その他にも、歯並びは咀嚼(噛む、すりつぶすなど)や発音の機能とも関係が深く、さらには歯の喪失などさまざまな問題のリスクを高めると考えられています。

そして、このような問題を改善するために歯に装置をつけて、歯を正しい位置に移動させるのが歯科矯正の目的です。

しかし、歯を動かすのは簡単なことではありません。私たちの体のシステムはそう単純なものではなく、それを邪魔するものがあるからです。

それは、「顎の骨」。

そのため、歯列矯正医は、ドリルで顎の骨を壊すことはしませんが、代わりに、あなたの体をだますためにあることを行います。

どうやって矯正で歯が動くのか?

歯並びを整えるために使われる矯正装置がワイヤーです。

医師は、歯を支えている歯茎に圧力をかけるために、ワイヤーで歯を締めつけます。

言い換えると、その圧力は、歯をその位置に固定している組織細胞の血流を圧迫します。それは、水道につないだホースの途中を折り曲げたり、ひねったりして、水の通りを妨げるようなものです。

当然ながら、栄養や酸素を運ぶ血液が流れなくなれば、細胞組織は死に始めます。

それまで歯を支えてきた細胞組織が死んでなくなってしまうと、歯が抜け落ちるおそれがあるため、通常ならそれは大きな問題です。

しかし、医師がワイヤーをつける目的はまさにそこにあります。ここで、ちょっとしたトリックによって、歯を支える組織を土台から改造し、歯を動かしていくのです。

骨がもつ代謝機能をうまく利用して歯の土台を改造

歯を支えている細胞組織が矯正装置による圧迫でダメージを受け始めると、私たちの免疫システムは救助を急ぎ、破骨細胞という特別な細胞を送り込みはじめます。

基本的に、破骨細胞は、損傷した骨や古くなった骨を吸収する(破壊)役割があります。私たちの骨は、この破骨細胞による破壊と新しく骨を作り出す骨芽細胞によって常に生まれ変わっているのです。

矯正では、まず、この骨の新陳代謝を利用します。圧迫されて窮屈になった顎の骨組織を吸収して取り除くことによって、最終的に歯の支持組織にかかっている圧力を和らげて、血流を元通りにしていくのです。

それは、文字通り、骨の溶解を意味します。

「骨を溶かす」と聞くと、おそらくあなたは、歯並びやかみ合わせの問題に対する解決策としては少し極端すぎると感じるかもしれませんが心配はいりません。

歯を支える骨の吸収と形成によって動く仕組み

医師は、歯の健康に支障をきたさないレベルの弱い圧力を長期間かけるために、矯正装置の力を適切に調整していきます。

すると、時の経過とともに、顎骨に、歯が移動するためのスペースが作り出されます。付け加えると、そのスペースは、歯の土台となる組織が、すべての圧迫から逃れて血流を回復させるためのものです。

そして、この破骨細胞によってつくられたスペースに歯が移動すると、反対側(歯と骨の間をつなぐ細胞組織が引っ張られている側)のもともと歯があった場所には骨芽細胞が新しい骨をつくります。

最終的に、細胞組織は生き続けることができ、歯は抜けないというわけです。

最後に

歯の矯正装置は、一度つけてしまえばよいわけではありません。

矯正医は、歯が定位置に移動できるように、定期的にワイヤーを締め直して、矯正装置の圧力を調整する必要があるからです。

歯列矯正にかかる期間が長いのには、他にも理由があります。体が本来もつ代謝機能によって歯が移動する速さは非常にゆっくりなものだからです。

さらに、動かさなければならない歯が多いほど期間も長くなります。通常は数ヶ月から2、3年はかかり、抜歯をした場合など歯の移動距離が大きいほどより長い期間を要します。

しかし、そういった長い期間を乗り越えて、ワイヤーを取り外したときには、きっと新しい笑顔を楽しむことができるでしょう。

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