「暑い時には冷たい飲み物ではなく熱い飲み物」といわれる理由

2019年8月26日

夏の暑さが本格的に始まると、人々はこぞってビーチに押しかけたり、 涼を求めて山や高原に向かったりします。

しかし、世界の乾燥地帯には、暑い日を快適に過ごすために、熱い飲み物を飲む習慣をもつ人々がいます。

たしかに、寒い雪の日にホットココアを飲むと体が温まるのは分かりますが、真夏にホットドリンクを飲むと涼しく快適に過ごせるなんて少し考えにくいことですね。

ましてやそのような習慣のない人にとっては、それは意味がないどころか、逆効果にすら感じてしまうかもしれません。

しかし、条件が適切であれば、この乾燥地帯に暮らす人々の習慣が間違いではないことを裏付ける証拠があります。

ここでは、暑いときに温かい飲み物を飲むと暑さがやわらぐ理由について、研究結果をもとに科学的に分かりやすく紹介します。

飲み水の温度と体温上昇の関係

2012年に発表された研究では、飲み水の温度と体内の蓄熱量の関係についておもしろい結果が示されました。

まず、被験者に、エアロバイクで運動した後、氷点下から摂氏50度までの温度範囲で水を飲んでもらい、75分後に被験者の体に蓄えられた熱量を研究者が測定しました。

そして、体内の蓄熱量を飲んだ水の温度によって比較したところ、驚いたことに最も温度の高い水を飲んだときの蓄熱量が最低値を示したのです。

ここで重要なのは、研究者が被験者の皮膚から汗が完全に蒸発する条件を作り出したことです。

それは、相対湿度が低く、ファンによって風を起こした(蒸発を促す)環境で、被験者が身に着ける衣類は最小限のものでした。

このような状況下では、参加者は蒸発熱の原理によって、体に蓄積した熱を失います。

蒸発熱とは、液体が気体になる際に周辺から吸収する熱のことで、この場合、汗によって蒸発熱が奪われるために、体は冷やされるのです。

体温を下げる役割がある蒸発熱(気化熱)の原理

水が蒸発するとき、液体から気体に変化するためにはエネルギーが必要になります。

正確には、液体が接している周囲の環境から熱エネルギーを引き出します。汗の場合、皮膚から体温(熱エネルギー)をうばって蒸発しようとします。

夏に庭に水をまいて涼をとる「打ち水」も、この汗と同じ原理で、土や石にかけた水が、周辺の蒸発熱を奪って庭の温度を下げます。

熱い飲み物が体温を下げる仕組み

熱い飲み物は、発汗を刺激します。それらは、主にあなたの内臓にある温度センサーを作動させます。

温度センサーが作動すると、脳に「もっと汗をかくように」メッセージを送信します。

温かい飲み物は、文字通りあなたの体の内部を温めますが、その温め効果は、汗の蒸発量の増加によって十二分に相殺されます。

2018年に公開された記事によると、いくつかの研究データをもとに、冷たい飲み物にはこの逆の効果があることが結論づけられました。

冷たい飲み物は、発汗を抑えるので、暑い時に飲むとかえって体の熱を逃がしにくくなるいうのです。

しかし、ここで温かい飲み物に手を伸ばす前に、下記のことを覚えておいてください。

発汗が体温を下げないケース

冷却効果は、汗が完全に蒸発できる場合にのみ発生します。つまり、汗がちゃんと蒸発できる条件に限った話なのです。

たとえば、湿度が100%の環境にいる場合は、温かい飲み物を飲むとかえって暑くなってしまいます。フロリダのように、暑い日に熱い飲み物を飲む習慣がない地域があるのはそれが理由です。

また、汗が蒸発しやすい環境であっても、温かい飲み物には注意すべきケースがあります。

あなたが脱水状態になっている場合です。

熱い飲み物が引き起こすであろう発汗による水分の損失を抑えられなくなってしまうからです。

また、発汗量が汗の蒸発速度を超える場合も、汗による冷却機能が十分に発揮されないことがあります。

たくさん汗をかいて、すでに皮膚から滴り落ちているような条件下では、いくら汗を追加しても冷却効果は望めません。

熱い飲み物よりも冷たい飲み物の方がよいケース

着ている衣類の量や生地の種類も重要です。

汗による冷却効果は、衣服からではなく、皮膚から蒸発するときに最も高くなります。

したがって、アメリカンフットボール選手や活動服を着た消防士のように、しっかりと皮膚を覆った服を着ている場合は、間違いなく熱い飲み物ではなく、冷たい飲み物を選ぶ必要があります。

このような条件下では、冷たい飲み物が、体の内部から熱エネルギーを吸収するためです。

さらに心理的な要素も関係しています。

私たちの多くは、冷たい飲み物をより爽快だと感じる傾向があるためです。

最後に

専門家は、最もおいしいと感じる温度に飲料を保つことを推奨しています。

そして、暑い日や運動中は、発汗速度に合わせて十分な水分を摂取することが重要です。

特に飲み物がおいしいと感じるときは、十分に飲んでください。それは、熱に関連した病気から、身を守るのに役立つでしょう。

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