マスクでできることとできないこと、シュリーレン映像で分かるマスクの効果


新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大によって、これまでマスクの効果を軽視してきた国々の間でも、今や感染症の予防には、マスク着用が当たり前となりました。

しかし、「マスクがどれほどの効果をもたらすのか」と改めて聞かれるとはっきり答えられず、前から気になっていた人もいるのではないでしょうか。

たとえば、

「マスクで何ができて、何ができないのか」
「着け方で効果は違うのか」
「べストなマスクはどれか」
「マスクによる低酸素は体によくないのか」

もしあなたが、こういった疑問を抱いているなら、ここで紹介する記事がきっと役に立つはずです。

ご存知の通り、新型コロナウイルスは、私たちが話す時、または、くしゃみや咳をする時、さらには息をする時にも、微小な飛沫(ひまつ、水滴)とともに放出されます。

マスクについての混乱は、このようなくしゃみや咳で飛ばされる水滴があまりにも小さすぎて、目では確認できないために生じたものです。

しかし、日々進化する科学の力で、ウィルスがどのように運ばれるのかを調べると、コロナが流行し始めた数ヶ月前よりも数段多くのことが分かってきました。

今回は、新たな研究結果をもとに、マスクが本当に感染拡大防止になるのかや、マスクの種類や着け方による効果の違いなど、目には見えない空気の流れの世界を覗く画像技術を用いて分かったことを中心に紹介します。

計算で分かるマスクの感染リスクへの効果

感染者の近くの人が感染する可能性を半分にするマスクを持っているとしましょう。

いいかえれば、このマスクには50%の効果があるということです。

しかし、計算すると、全ての人が50%の効果があるマスクを着用した場合、病気の感染率は75%も低下し、装着者にも社会全体にとっても50%以上の効果があります。

なぜなら、私たちはみなマスクの効果を一方向から考えがちですが、実際には2人の間に2個のマスクがあり、2重の役割(フィルタリングとリダイレクトの組み合わせ)を果たすからです。

ただし、全体の半数が50%の効果的なマスクを着用した場合、感染率は25%低下するのにとどまります。

マスクの魔法の計算が見えましたか?計算で示すと、マスクは私たちが思っている以上に社会の全体的な感染率の低下に効果があることが分かります。

新型コロナウイルス(COVID-19)については、疫学的には、一人の感染者が平均2.5人を感染させると示されています。

もしその数を1人以下にすることができれば60%以上の感染率の減少となり、感染拡大を食い止められる可能性が高くなるわけです。

見えない世界を覗く画像技術で空気の流れを見る

マシュー・ステイメイツ氏(Matthew E Staymates)は、 新型コロナウイルスの影響でステイホームが長引くなか、自宅のガレージを研究室にしました。

流体力学者であり、国立標準技術研究所の機械エンジニアでもある彼は、そのガレージでシュリーレン撮影法と呼ばれる技術を使って、目には見えないゆらめきのような空気の流れを、直接「見る」ことのできる信じられない画像の撮影に成功。

あなたは今まで、熱い道路の上にもやもやとしたゆらめきを見たことはありますか?

それは、温度と密度が異なる空気が混ざり合って、通常はまっすぐに進むはずの光を、液体レンズのように曲げて、陽炎(かげろう)が引き起こされる現象で、シュリーレン現象と呼ばれます。

空気は、温度が変わると体積が増えたり減ったりして、密度が変化します。

私たちが話すとき、私たちの口から暖かい空気(密度が低い)が流れ出てきて、周りの冷たい空気(密度が高い)に出会うとき、空気の流れに乱れが生じます。

シュリーレンでは、光線を凹面鏡に向けて当て、跳ね返った光をカメラに向けて集めることで、密度の違いによって曲がった光を撮影し、画像に影や明るい点を作り出して、わずかな大気の乱れでも見ることができるのです。

マスクは空気感染の抑制に効果的

調査の結果、シュリーレン撮影による映像によって、ロウソクから立ち上る熱や衝撃波をはじめ、毎秒250フレーム(コマ数)の映像でマスクが空気感染を遅らせる理由を正確に示すことができました

さて、覚えておかねければならないのは、これらの画像ではウイルスの粒子を見ることはできないこと。

粒子が小さすぎるからです。

しかし、川が魚を運ぶのと同じように、ウイルスは呼吸によって運ばれるのを考えると、空気の流れは感染対策を考えるうえでとても役立ちます。

ウィルスの粒子は、マスクの織り目より小さいのになぜマスクに効果があるといえるのか?

実は、個々のウイルス粒子は、ほとんどのマスクの織り目よりも小さいといわれています。

では、なぜマスクが感染対策として機能するのでしょうか?

マスクの機能には、2つの興味深い効果があります。

第一に、ウイルスは単独では浮遊しないことが関係

ウィルスのほとんどは、くしゃみや咳による水分の飛沫の中を飛んでいきます。

そして、ほとんどの飛沫は水滴の重さのために2メートル以内に落ち、その距離内にいる人や物は何でも直接ウイルスを浴びることができます。

しかし、くしゃみをした人がマスクをしていない場合、飛沫の一部が蒸発して、超微小な感染粒子となり、口や鼻から遠く離れたところまで気流に乗って浮遊する可能性があります。

この飛沫は、どんなマスクでもろ過するのが困難なほど小さいため、他の人が吸い込んで感染を広げてしまうのです

一方で、くしゃみをした人がマスクをつけた場合、口とマスクの間の暖かく湿った空気によって、飛沫粒子の蒸発が抑えられて、蒸発する前にマスクの織り目で感染粒子を捕らえることができます

つまり、マスクをすると、高温多湿だと感じるなら、それはマスクが効いているということです。

第二に、マスクは飛沫粒子が飛び散る範囲を抑える

マスクを通過した飛沫粒子は、運動量が減ります。

映像調査の結果、くしゃみによって飛び散った水分は、気流に流されるのではなく、渦巻き状に分散して、遠くには飛ばないことが分かりました。

では、マスクにはさまざまな種類がありますが、どのマスクを選ぶのがベストなのでしょうか?

マスクの種類やつけ方によって効果は違うのか?

分かっているのは バンダナでもN95マスクでも、手製のマスクでも、飛沫の水滴を防ぐ力はあるということです。

しかし、そのマスクはフィットしてなければなりません

よくマスクを下にずらして鼻を出した状態でつける人がいますが、これはマスクをしていないのと同じです。

また、きつすぎたり、生地が厚すぎたりするマスクは、実際にはくしゃみや咳の度に、上の隙間から勢いよく飛沫を飛ばし、より多くの感染粒子を強制的に外にまき散らす結果となることも分かりました。

マスクの効果を知る方法

レーザー光を使ったシュリーレン画像によると、話す時にマスクをすると、放出されるつば(飛沫粒子)が飛び散らりにくいこともわかりました。

これは、人との対話においてマスクが効果的であるという明確な証拠です。

さらに、実験を重ねて科学的に検証をしてみましょう。

微生物学者が、マスクをしたままシャーレに向かってくしゃみ(1回)をしたり、歌ったり(1分間)、話したり(1分間)、咳(2回)をしたりしたところ、単純なマスクでほぼ全ての細菌をブロックできました

咳に関しては、60cm、120cm、180cmと異なる距離で実験しましたが、どれもほとんどの細菌のブロックに成功。

この実験は、ウイルスではなく細菌を検出しましたが、両方とも同じ呼吸器の飛沫で気道から出るという共通点があるため、マスクは、感染者の飛沫抑制に効果的だといえます。

なぜ感染者ではない人がマスクを着用する必要があるのか?

「マスクは病気からあなたを守るものではない」かもしれませんが、「他の人が病気になるのを防ぐ」ことができます。

皆がマスクを着用することで、新型コロナウィルスを広める可能性を劇的に減らすことができるのです。

なかには、「私は免疫力が強いのでマスクをつける必要はない」という人もがいるかもしれません。

しかし、残念なことに、ただ新型コロナウィルスが検出されてないだけで、実際には、感染症の半分は症状のない人から感染しており、あなたもその一人かもしれないのです。もしかすると、隣の人かもしれません。

どうですか?

もしそうなら マスクをつけて欲しいと思いませんか?

あなたの周りの人も、おそらくあなたと同じように感じているでしょう。

マスクは健康を害するの?

マスクをすると、体の酸素濃度が下がって健康によくないといったうわさがありますが、それは間違いです。

マスクを一日中つけると、体内の酸素濃度が変わるのかといった健康へ影響は、医療従事者によって何度もテストされ、問題が無いことが確認されています。

マスクはお互いを尊重し、思いやる気持ち、新たな時代の象徴

マスクだけでは、人類を脅かす感染症のパンデミックには太刀打ちできません。

ソーシャル・ディスタンスを守る(人と距離を置くこと)、手洗いとうがいなど、他の安全対策と組み合わせて取り組むのがベストです。

新型コロナ流行当初は、マスクに抵抗感がある「マッチョ」な人、メガネが曇るからマスクをしたがらない人、鼻がかゆかったり、顔が汗ばんだりするからあまりつけたくない人なども多くいましたが、今やほとんどの人がマスクを着用しています。

これは、雨傘と同じです。

過去には傘も雨の日にさすとおかしな目で見られてしまう時代がありました。

もともと傘は、富の象徴や女性的なアクセサリーだったからです。

ある日、雨に濡れるのが嫌になったいかつい男達が、女性が日よけとしてさす傘を差し始めたことをきっかけに、雨傘として使う人が増え、社会的に受け入れられるようになったのです。

同様に、ほとんどの人はHIVやその他の性感染症の危険性が高まるまで、性的関係の中でコンドームを使用しませんでした。

歴史的に、感染症は人々に行動を変えるように強要し、新しい習慣を根付かせてきました

そして、今では、マスクは人を尊重し、お互いを守りたいという気持ちの表れでもあります。

これが、あらゆる人の日常生活の一部になるのが早ければ早いほど、私たちは、通常の生活に戻ることができるのです。

歴史上のすべてのパンデミックでは、個々の人々の行動と選択が結果を左右しました。

マスクはウイルスを止めるだけでなく、私たち全員が今、毎日聞く必要があるメッセージを送っているのです。

パンデミックに、皆で力を合わせて立ち向かうために、マスクはある意味で象徴ともいえるでしょう。

参照元:

How Well Do Masks Work?