夜の方が気温の上昇スピードが増しているってどういうこと?

温暖化の非対称性地球温暖化

今、地球の陸地の半分以上で、昼よりも夜の方が温暖化がすすんでいるといわれています。

これは、「温暖化の非対称性」と呼ばれる奇妙な現象で、その理由は、どうやら雲に関係しているようです。

そして、この温暖化の非対称性は、動物や植物へも大きな影響を与えています。

世界の半分以上の陸で昼より夜間の温暖化が進んでいる

1800年代に産業革命が始まって以来、地球の平均気温は、今もなお上昇し続けています。

特に2005年以降にかけては、記録的な温暖化が10年続き、異常気象や山火事など、あらゆる問題を引き起こしているます。

しかし、ここで注意しなければならないのは、地球が同じ速度で温暖化しているわけではないこと。

これに関する研究が、イギリスのエクセター大学から発表され、2020年にGlobal Change Biology誌に掲載されました。

研究チームは1983年から2017年までの気候変動データを調べました。

その結果、昼も夜も平均して暑くはなったが、地球の陸地の半分以上では、夜の方が温暖化が速くすすんでいることがわかりました。

これらの場所では、34年の間に、昼間の気温に比べて夜間の気温がさらに1/4℃以上上昇したのです。

研究チームはまた、他の傾向も発見しました。

夜間の気温が昼間より0.5度上昇した場所では、雲や湿度、降水量もより多くなっていたのです。

温暖化は雲の量に影響をおよぼす

例えば、夜間の最低気温が日中の最高気温よりも平均1.2℃高くなったチベット高原では、日中と夜間に平均以上の雲量が観測されています。

一方、雲の少ない地域では、日中の気温が高くなる傾向がありました。

例えば、東アフリカでは、日中の最高気温が夜間の最低気温よりも平均で約0.4℃高くなったのです。

雲の量の変化は何に影響するのか?

なぜ雲が重要なのかというと、日中は白いふわふわした雲が日傘のような役割を果たし、太陽の光を反射して地表が熱せられるのを防いでくれます。

しかし、太陽が沈むと、雲は逆に働きます。

雲は日傘から毛布に変わるのです。

夜には、日中に地面が吸収した熱がすべて宇宙に向けて放出されますが、雲が多いとその熱が逃げずにこもり、地表付近の気温が上昇するのです。

これが、曇り空の地域で夜間の気温が大きく上昇する理由だと考えられています。

放射熱の行き場がないのです。

一方、雲がないところでは、なぜ日中の気温が高くなるのか、その理由は以下です。

雲がないと、夜間は放射熱を宇宙空間に逃がすことができますが、日中は太陽光を遮るものがないので地表が熱せられます。

温暖化の悪循環

実のところ、このこと自体は、必ずしも悪いことではありません。

しかし、そこに気候変動が加わると、温暖化の悪循環に陥る可能性があります。

温室効果ガスも、夜間の雲と同様、熱を宇宙空間に逃がさないようにする働きがあるため、増えすぎると熱を地上にどんどんためてしまいます。

温室効果ガスとは、私たちが自動車に乗ったり、電気をつくったりするときに出る二酸化炭素やメタンなどガスです。

温室効果ガスは、地表の熱を吸収して大気中に放出し、気温をさらに上昇させるのです。

また、余分な熱が地表にとどまるだけでなく、熱が地表の水分を蒸発させるので、空気中の湿度が高くなる傾向があります。

水蒸気が増えた結果、雲が増え、夜にはさらに放射熱を閉じ込め、といった具合です。

夜間温暖化による動植物への大きな影響

このサイクルは、蒸し暑い眠りをもたらすだけではありません。

植物や動物にも大きな影響を与える可能性があるのです。

例えば、エクセター大学の研究によると、夜間の温暖化は通常、環境の湿度上昇につながるため、夜行性の動物にとって食料の確保や交尾、コミュニケーションが難しくなる可能性があるといいます。

昼間に湿度の高い環境が、エネルギーを消耗し、疲労のリスクを高めるだけでなく、夜間の温度上昇というダブルパンチで体の回復機能を低下させる可能性もあります。

また、雨の多い地域では、植物の成長が制限されたという報告もあります。

日中に雲が多くなり、日朝時間が減った結果、植物に必要な日光が届かなくなったからかもしれません。

そうなると、その地域の草食動物が手に入れられる食料は少なくなってしまっうのです。

このような気温の変化は、植物が花を咲かせる時期や方法にも影響を与え、外来種は新しい地域に進出しやすくなります。

日中温暖化による動植物への影響

一方、日中の気温が高く、雲の少ない地域では、ヒートショックにかかる動物が増える可能性があります。

外気温が高くなり、体温調節ができなくなると、動物は免疫力が  低下し、食べ物の代謝がうまくいかなくなります。

また、大気は乾燥し、降水量は減少るため、日中温暖化も植物の成長に大きな打撃を与えてしまうのです。

まとめ:夜間や昼間に温暖化がすすむことへの動植物のリスク

とはいえ、ここで少しニュアンスが違ってきます。

このような傾向も、世界中でまったく同じというわけではないようです。

例えば、夜間の温暖化が植物に与える影響は、季節や地域によって大きく異なる場合があります。

この温暖化は、植物の種類によって逆の影響を与えることさえあり、食料供給にとって有益にも有害にもなりえます。

例えば、中国の南京農業大学の研究によると、小麦の収量は夜間の温暖化によって約18%増加した一方で、米の収穫量は約4.5%減少しました。

しかし、全体的なテーマとしては、夜間や昼間の温暖化が進むことは、動物や植物にとって良いことではないという結論にたどりつきます。

わずかな変化と思われるものでも、生物の成長や生存を困難にし、種を脆弱にさせることがあるからです。

そして、私たちはすでにその影響のいくつかを目にしています。

参照元:
Why Our Nights Are Getting Hot
Weird Asymmetry: Nights Warming Faster Than Days Across Much of the Planet