科学者たちは、米を低カロリーにする方法を見つけたとアメリカ化学会で発表しました。
米を炊く時にココナッツオイルを入れて、食べる前に半日ほどご飯を冷蔵庫に入れておくという方法です。
米そのもののカロリー減少だけではなく、「オイル + 冷やす」によって腸で分解する酵素に耐性のある「レジスタントスターチ」と呼ばれるデンプンが増えるため、吸収量が減少するというもの。
すでに英国の研究者たちによって、パスタを調理してから冷やすと、(再び温めたとしても)ブドウ糖の吸収率が抑えられることは示されています。
そして、スリランカの研究者たちは、同じことが米にも当てはまると考え、以下のように食品に手を加えて体内へのカロリー吸収量を少なくする方法を発表。
ココナッツオイルと冷温はご飯のカロリーを減らす
米のようなでんぷん質の炭水化物は、私たちのエネルギー源となります。
炭水化物は、体内に蓄積され、必要に応じてブドウ糖に変換されます。
しかし、血液中を循環するブドウ糖が多すぎると、最終的には脂肪として蓄積されることになります。
そこで、スリランカの科学者らは、血糖値や消費カロリーを低く抑えるために、38品種の米に手を加えて実験を行い、
2015年、米にココナッツオイルを加えて冷蔵庫に入れると、米による摂取カロリーの影響を減らすことができることを発見。
「レジスタントスターチ」を増やす方法
研究チームは、小さじ1杯のココナッツオイルで40分間米を煮込み、その後冷まして、12時間冷蔵庫で保存しました。
その結果、特定の種の米については、約10%のカロリーの減少、1カップあたり約25キロカロリーの減少が報告されました。
さらにこの研究から分かったことは、カロリー減少だけではなかったのです。
ご存じのとおり、米のカロリーの大部分はデンプンと呼ばれる一連の糖のつながりによるものですが、オイルと冷温の組み合わせが、これらの一部をレジスタントスターチ(大腸に届くまで消化されないデンプン)と呼ばれる消化に耐性のあるデンプンへ再配置を促すことが発見されました。
「オイル + 冷やす」によってお米が小腸までは消化されなくなる理由
それは、2つの異なる方法で起こると研究者のSudhair James氏は考えられています。
1つ目は、オイルに含まれる脂肪が米の主要カロリー「デンプン」の1つであるアミロースと結合することです。
それは、米デンプンのアミロース・脂質複合体と呼ばれるもので、ある程度は米自身で起きますが、米を油と一緒に加熱することでその生成が促進されます。
脂肪は、腸の消化酵素から複合体を保護するので、それらは分解されることなくあなたの小腸を通過するのです。
また、オイルを加えなかったとしても、食べる前にご飯をしばらく冷やしておくことで、カロリーは減少すると考えられています。
高温から低温への移行は、「老化」と呼ばれる過程で、アミロースやアミロペクチンのような他のデンプンの分子間のつながりを弱め、これらのデンプンがより規則的になるにつれて水素結合を形成し、レジスタントスターチに変わるのです。
このようにしてきつく結合したデンプンのつながりは、通常のデンプンのように小腸では分解されません。
これらの水素結合が消化酵素の接近を妨げるからです。
それによって、食後すぐに糖分が血流に代謝吸収されなくなり、大腸で一部のカロリーだけが吸収されます。
結果的に、消化に耐性のあるデンプンによって、いくらかのカロリーは減少するというものです。
また、Sudhair James氏は、冷却した米は再び加熱しても問題なく、レジスタントスターチのレベルには影響を与えないだろうと述べています。
研究チームは、米の品種や他の油でも効果があるかどうかなどもこれから調べていく予定です。
研究の課題
さまざまな調理法の研究が行われているのは素晴らしいことです。
しかし、この実験については、人間での研究は行われていません。これらの炭水化物の健康への影響を検証するためには、まだより多くの研究が必要であることも確かです。
また、栄養学の専門家は、ごはんを冷却して温め直すプロセスでの食中毒のリスクを危惧する人や体重を減らすのに即効性のある方法はないと注意を促す人もいます。
残念ながら、ゼロカロリーになるような魔法の力までは見つかっていません。