窒息は、赤ちゃんの死亡の上位を占める非常に身近な事故です。
目の前で、我が子が何かを喉に詰まらせて苦しそうにしている姿を、想像してみてください。
もし、その状況に遭遇した場合、救命処置として必ずやらなければならないことや決してやってはいけないことがあります。
心肺の蘇生は最初の4分が勝負です。しかも赤ちゃんに対する救命処置は、子供や大人に対するものとは異なるので注意が必要です。
「まさか我が子が窒息事故に遭遇することはないだろう」という安易な気持ちは捨て、いざというときに最善の対処ができるように、ここでは、窒息時の救命処置法(CPR)の流れを、救命士がアドバイスした動画を分かりやすく紹介します。
窒息とは
窒息は、喉に異物が詰まって呼吸困難になった状態です。健康な赤ちゃんでも時と場所を選ばずにいつでも起こり、生命を脅かす危険性が高いため注意が必要だといわれています。
特にハイハイを始めた頃からの窒息事故が多くなります。
窒息事故を予防するためには
窒息事故を予防するためには、ペットフードや兄弟のおもちゃ、お金など誤飲の危険性が高いものは、周囲から全て取り除いておくことが大切です。
心肺蘇生法
人間の脳は、酸素を保存しておくことが不可能であるため、窒息時は、最初の2分から4分までが勝負です。これを過ぎると心肺蘇生を施しても生存率が低くなります。
下記より、赤ちゃんが喉に食べ物や異物をつまらせて、咳や泣くことすらできない窒息状態になったときを想定した救命処置の流れを紹介します。
赤ちゃんの抱え方のポイント
赤ちゃんは、脇に抱えます。そして、顔が下向きのときは顎を、上向きでは後頭部を手で支えます。
やり方
- 安全確認
- 救命処置中に新たに事故が起きないように、周囲の安全を確認し、万が一の二次災害に備えて、ぬいぐるみや毛布、枕など再度、窒息につながるようなものは遠ざけます。
- 赤ちゃんを抱きかかえる
- 左手で後頭部を支え、右手で顔や喉を覆わないように注意しながら親指と人差し指でVの字を作ってあごを持ちます。そのまま、抱きかかえながら右腕に乗せるようにうつ伏せの状態にして右脇ばらにひきよせて頭を低くします。
- 背中を叩く
- 手根部(しゅこんぶ:手の平のつけ根の固い部分)で背中を5回叩く。
- 心臓マッサージ
- 赤ちゃんの心臓の位置を把握するために非常に役に立つのが乳首の位置です。左手で赤ちゃんの後頭部をしっかりと支えながら上向きにして、左脇に抱え直し、乳首の中央を5回押して心臓マッサージを施す。
- 背中を叩く動作と心臓マッサージを繰り返す
- 交互に体勢を変えながら、背中を5回と心臓マッサージ5回を繰り返す。
事態がより深刻になった場合の対処法
- 意識の有無を確認
- 耳元で声をかけても何も反応が無い場合、体をゆすらないように注意して、手足を刺激します。
- 救急に電話
- ぐったりしているなら、救急車を呼びます。電話をする人は、現状を正しく落ち着いて伝えるように心がけ、救急車を待つ間に救命処置を施します。
- 窒息させた物を確認
- まずは、人差し指で下唇を軽く引き、何を喉につまらせたかを調べる。無理やりのどに指を入れて窒息させた物をとろうとすると、のどやその周辺に取り返しのつかない損傷を与えることがあるため絶対にしないでください。
- 呼吸の確認
- 口元に顔を近づけながら、胸元を見て、息をしているかを確認。10秒たっても呼吸が確認できないようなら、額に片手を当てて、人差し指と中指をあごに当て、軽く傾けて気道を確保し、人工呼吸をします。大人とは違い、気道がストローのように細いので、やさしく傾けましょう。
- 人工呼吸
- 赤ちゃんの鼻と口を自分の口で完全に覆い、やさしく軽く息を2回吹き込む。
- 心臓マッサージ
- 乳首の中間を人差し指と中指の2本で30回押す。再度口をのぞき込んで窒息させた物を確認する。
- もし、窒息させた物が出てきたのが見えたら、小指で細心の注意を払いながらひっかけて取り除きますが、変化が無いようなら、人工呼吸2回と心臓マッサージ30回を救急隊員がかけつけるまで必ず続けます。