子供の発熱の対処法・解熱剤の正しい使い方とは

2012年3月12日

なぜ子供は、よく熱を出すのでしょうか?

残念ながら子供の免疫がついてくるのは6歳くらいで、特に母親からの「免疫」が切れる生後6ヶ月から3歳までは、免疫力が不十分なためにウィルスや細菌などの病原体に感染しやすく、よく発熱します。

兄弟がいたり、保育園や幼稚園に通っていると、それだけ病原体にさらされやすいのでなおさらです。

そうはいっても、39度や40度といった高熱が出ると「脳細胞がダメージを受けるのでは?」と不安になるかもしれません。

しかし、子供は私たちが思っている以上に、熱に対して強く、熱が高いからといって重症であるわけでも、熱そのものが直接的に脳を損傷させるというわけでもありません。

大切なのは、発熱状況を把握したうえで、それに応じて温度管理や水分補給、衣類の着脱などで適切に対応してあげることなのです。

ここでは、子供によくみられる発熱の原因や発熱状況に応じた家庭での正しい対処法、解熱剤の使用方法や注意点などについて、小児科医Dr.Bob Sears氏のアドバイスを中心に分かりやすく紹介します。

子供の発熱と体の状態

子供の体の異変に早く気づくためには、こまめに体温を測り、どれくらいの熱があるのかを把握することが大切です。

熱が出るのは、体がウィルスや細菌など外的要因に対して、防御反応を起こしているからです。

人間は、体温を高くすることで、ウィルスや細菌の増殖を防ぎ、免疫機能(白血球の働き)を活性化させるような環境を自ら作ります。

そして、体温が逃げないように血管を縮めて血流を減らし、汗をかかないようにします。この体温の放散を防ぐ過程で、顔色が悪くなったり、手足が冷たくなったり、寒気を感じることがあります。

37.5度から38度
細菌やウィルスと闘いはじめているサインです。体内にウイルスや細菌が入った(感染)ことで、免疫細胞が反応して発熱物質を放出し、それが脳に伝わったことで体温が上昇し始めます。
38.3度から38.9度
脳で体温調節の中枢が、体温を上げるように指令を出したことによって、血管は収縮し、筋肉がふるえを起こして熱を発生させます。熱が上がり始めた段階で解熱剤を使用すると、かえって治りが遅くなる可能性があります。
39.4度から40.6度
細菌やウィルスと闘っている真っ最中です。熱の上昇がピークを迎えると、次に、体はそれ以上体温が上がないように汗をかいて熱を逃がし始めます。

よく発熱時に、脳がダメージを受けることが心配されますが、それは、熱そのものが原因では(体温が42度以上の場合は除く)、ウィルスや細菌への感染によって脳が炎症を起こす「髄膜炎」や「脳炎」といった違う病気である可能性があります。

子供の発熱の対処方法

子供が急な発熱をした場合、まずは温かく保ちながら様子を見ます。この段階では、無理をして病院に連れていく必要はありません。

アメリカでは、症状の悪化を防ぎ、長引かせないために、まだ体力がある発熱初期段階のうちに、熱すぎない湯で、体力が消耗しない程度に体温を高める方法も勧められています。

水分補給と安静を心がける

熱がある時は、できるだけ水分補給を心がけて、体力が消耗しないように安静に過ごすのが基本です。特に睡眠は最優先させましょう。寝ている子供を起こしてまで水分をとらせる必要はありません。

一日に摂取する水分量の目安としては、体重x30グラム(最低値)以上といわれます。

呼気や汗などで水分が失われやすいので、体内の水分が足りなくなると、熱が上がりやすかったり、脱水症状を引き起こしたりする恐れがあります。

水分補給は、できる限りジュースではなく、水やイオン飲料、麦茶などを選びましょう。また、寒いようなら体温を温めるような温かい飲み物を飲ませてもよいでしょう。

赤ちゃんの場合は、一度にたくさんの量を飲ませることが難しいので、少しずつの量を頻繁に飲ませるようにします。

水分が取れないほど弱っているようなら早めに受診しましょう。

体を温める

子供が熱っぽい状態(まだそれほど高くない状態)や熱が高いのに寒気があるような場合は、できる限り体を暖かく保ってあげましょう。手足が冷たいなら温めてあげるなどして、熱が上がりきるまでは、安静を保てるように布団に寝かせて、体力の消耗を防ぎます。

熱が上がり切ったら、次は、熱がこもらないようにする

子供は、大人よりも体温調節機能が未熟なので、厚着のさせ過ぎには十分に注意してください。

発熱後の体は、熱が上がりすぎないように、血管をゆるめて血流を増加させ、汗を流して熱を逃がそうとしています。

このときに厚着をさせると熱がこもってしまい、下がらなくなったり、さらに上がったりする原因になります。

もし、部屋が暑すぎる場合は、窓を開けて温度を下げましょう。

そして、汗をかいたら体が冷えないように、綿素材や通気性のよい服に、こまめに着替えをさせてください。温かいタオルで素早く体を拭いてあげるのもよいでしょう。

冷やして熱を冷ます

冷やす場所は、おでこやわきの下、首や足の付け根などの動脈(血流の多いポイント)が効果的です。水枕を使うときは、血流の多い首のつけねを集中的に冷やすようにしましょう。

夜中に発熱した場合

病院が閉まった後や夜中に発熱した場合は、すぐに救急外来ではなく、上記の対処法を参考にしてしばらく様子を見ます。2時間経過してもまだ熱が高い状態が続く、または、嘔吐を繰り返す、ぐったりして呼吸がおかしいなど、いつもと様子が違うときは、救急に電話をして、相談するのもよいでしょう。

仮に、夜間の救急施設に行ったとしても、応急処置程度で十分な処置ができないことも多いので、緊急を要さない場合は、朝一番にかかりつけの小児科で受診した方がよいこともあります。

解熱剤の使用方法

熱が上がりきる前に、解熱剤を使用して体温を無理やり下げるのはよくありません。

もし、熱が39度を超えて、消耗がはげしくつらそうな場合は、病院が処方した解熱剤(賞味期限以内のもの)を適量飲ませて楽にしてあげるのも一つの方法です。アスピリンは16歳以下の子供には使わないでください。

しかし、解熱剤は、つらい症状を一時的にやわらげて楽にするための薬であり、ウィルスそのものを退治して病気を治すものではありません。

熱に対して強い子供は、熱が高いわりに元気がよいこともよくあるので、顔色が良く、水分や食事、睡眠がとれているようなら解熱剤を服用する必要はなく、自然治癒に任せて様子を見ましょう。

熱以外で、咳や鼻水などの風邪の症状がある場合は、服を着たままお風呂場に座らせたり、抱っこをしたりして、湯の蒸気に15分から20分当てると、症状が楽になります。

安易に解熱剤を使用したからといって、病気が治るわけでも、熱けいれんを防げるわけでもないのでくれぐれも注意してください。

赤ちゃんの体温について知っておきたいこと

個人差はありますが、赤ちゃんの一般的な平均体温は、36.5度から37.5度と大人よりも高めです。

赤ちゃんは、泣くと体温が上がることも考慮に入れて、37.5度から38度までは衣類の着脱で温度調節し、それよりも体温が高い場合は病院で受診してください。

逆に36.5度を下まわる場合は低体温といわれ、ミルクを飲まないで寝続けることがあります。この場合は、暖かい衣類を着せて、足を湯たんぽで温めるなどして、体を暖かく保ってあげましょう。

赤ちゃんの発熱の注意点

一般的に、乳幼児は37.5度までは平熱と考えらていますが、生後6週間以内の赤ちゃん(日本では生後3、4ヶ月未満といわれる)は例外で、37.8度以上の熱が出るようなら早めに受診しなければなりません。赤ちゃんは、合併症を起こしやすいので、髄膜炎や脳炎といった他の病気の可能性もあります。

また、赤ちゃんは、熱によって熱性けいれんを引き起こすことがよくあるので、早めに病院で診てもらい、発熱状況に応じた対処法を確認しておきましょう。

体温計について

一般的に、医師が推奨しているのは、脇に挟むタイプのデジタル体温計ですが、赤ちゃんは、じっとするのが苦手なので、1分以内で測れるものを選びましょう。

耳で測る種類のものは、手軽なイメージがありますが、挿入する深さによって正しい数値がでないことがあります。迷ったら、種類の違うもので2回計測してみましょう。

最後に

赤ちゃんは、生後半年頃には、母親からもらった免疫がなくなってくるため、そこからは、少しずつウィルスや細菌に感染しながら、自らが免疫系を発達させていかなければなりません。

幼いうちは、熱が出やすいので、心配になることが多いかもしれませんが、「熱が出る」のは、免疫がついて体が強くなっていく過程では避けられないことでもあります。

そうして、熱が出るごとに免疫力を高めていき、小学校に上がるころには熱もあまりでなくなっていくのです。

そのため、普段から栄養管理につとめて、発熱の度に適切に対処していくことが、免疫力を高めるサポートになります。

その他の参照元:
1, Child Care & First Aid : How to Bring a Fever Down
2, What to Do If Your Baby Has a Fever | Infant Care
3,How to Take a Baby's Temperature | Infant Care