妊娠中の健康的な食事について

2013年1月22日

妊娠すると、ホルモンバランスの変化によって血液量の増加や精神状態が不安定になりやすいなど、女性の体には大きな変化があるため、それにあわせて摂取を心がけたい栄養素も変わります。

また、妊娠中は、胎児の発達への影響や早期産、流産の予防を考えて食べない方がよい食品があることも頭に入れておかなければなりません。

ここでは、妊娠中の健康的な食事について、妊婦が食べない方がよい食品やおすすめの食べ物を中心に、小児科医師のアレングリーン氏によるアドバイスを紹介します。

胎児の発達を促し、出産を無事に迎えるためにも、妊婦は栄養バランスのよい食事を心がけなければなりません。

妊娠中に食べない方がよい食品

妊娠中に食べると、食中毒を起こしたり、胎児の発達に悪い影響を与えたり、早期産や流産を引き起こす恐れがあるので注意が必要な食品を下記に紹介します。

乳製品

加熱殺菌されていない乳製品は、食中毒菌に感染しやすいので避けましょう。

特に、作り立てのカマンベールやブリ・チーズ、フェタ、ゴート、ブルーチーズは、リステリア菌やバクテリアを多く含むといわれます。

サラダドレッシングにも加熱処理がされていないチーズが含まれることがあるので注意してください。

心配な場合は、泡が出るほどしっかりと加熱をしてから食べると安心です。

肉類

生ハム、スモークサーモン、肉や魚のパテは、リステリア菌を含むことが多い食品です。

妊娠中は、できる限り前日の残り物は食べないことが望ましいのですが、もし、食べる場合は、十分に加熱しましょう。リステリア菌は冷蔵庫の中でも、緩やかに増殖し続けますが、十分な加熱によって、食中毒の予防ができます。

ステーキ肉やひき肉を使った料理や卵料理は、サルモネア菌が存在する可能性があるので、食べる時は、中までしっかりと火を通す必要があります。

ビタミンA

ビタミンAは、胎児の免疫力向上や成長促進を促す大切な栄養素のひとつですが、一日1500mgの摂取を越えないことが大切です。ビタミンAを含むビタミン剤は極力飲まないようにしましょう。

特に妊娠初期にビタミンAを大量に摂取しすぎると赤ちゃんの先天性異常につながる恐れがあります。

また、レバー(特に鶏と豚)にはビタミンAが多く、一切れで1500mgを越えてしまうので、妊娠中は週に1、2回程度で1回の量を少なめ(60gを目安)に調節しましょう。

魚は良質なたんぱく質やDHA、EPAを効率よく摂取できる優れた食品です。

しかし、なかには、食物連鎖の過程で水銀含有量が増え、それが胎児の成長に悪影響を与える可能性が高い魚もあることが様々な研究によって分かっています。

詳しくはこちら:
注意すべき魚介類と食べ方

妊娠中に必要な栄養素と食品

妊娠中は、精神を安定させるセラトニンの生成を促すビタミンB6(一日にじゃがいも1個分、または、バナナ1個分)や亜鉛(牛肉や鶏肉、マッシュルーム、豆類、かぼちゃの種、ゴマ)、カルシウム(ブロッコリーやホウレンソウ)、胎児の脳の記憶力に関する部位の発達に関係するコリン(卵)、DHA(牛乳、野生の鮭、マヒマヒ)の摂取や、一日3リットルを目安に水を十分に飲むことをおすすめします。

特に、たんぱく質は、妊婦の健康維持に必要なだけでなく、胎児の細胞の生成や脳の発達における重要な栄養源となります。

その他にも、特に摂取を心がけたい2つの栄養素とそれが比較的多くふくまれる食品について下記で紹介します。

葉酸

葉酸は、妊娠初期から必要とされる栄養素で、かつ、妊娠中に限らず、女性が生涯にわたって摂取しておきたい栄養のひとつでもあります。

葉酸を多く含む食品には、ほうれん草、葉野菜、ブロッコリー、春菊、アスパラガス、菜の花やイチゴ、大豆(納豆)、肉類があります。

特に受胎前後から、胎児の脳や神経系の発達が著しい妊娠10週目までの葉酸の摂取が推奨されています(一日400mg)。

葉酸は、胎児の脳や脊椎、神経系統の発育に欠かせない栄養素で、神経管奇形の赤ちゃんの予防、妊娠中の血液障害の予防(貧血予防)に欠かせないビタミンのひとつだといわれていますが、逆に取りすぎも、胎児に悪影響を与えるので摂取量には注意してください。

豆乳と小麦の胚芽をジューサーにかけたシェイクなら、一日に必要とする葉酸の20パーセントを摂取できるうえ、オメガ3脂肪酸も同時に取り入れられます。

鉄分

妊娠中は子宮や胎盤に多くの血液が必要になるので、血液量が増加します。それにともなって赤血球を作るための鉄分が不足しがちになる傾向があります。

妊娠中の鉄分が不足すると、赤ちゃんへ栄養や酸素が十分に送ることができなくなったり、出産時の大量出血、母乳の出などに影響を及ぼす可能性があります。

妊婦に必要な鉄分は一日20mgです。赤ちゃんに十分な血液を送り届け、妊娠中の貧血を予防するためにも、鉄分を多く含むほうれん草や葉野菜、牛肉、大豆、ひじき、ごま、卵黄、あさりなどの食品を積極的に食べましょう。

また、ビタミンCや酢、香辛料を一緒に摂取すると、鉄分の吸収率が上がり、逆に、緑茶やコーヒーのタンニンは鉄分の吸収を悪くするので注意しましょう。

妊婦には減塩が必要?

妊娠すると妊婦は、減塩を心がけなければならないイメージが強いのですが、実際には少し異なります。

塩の成分であるナトリウムはミネラルの一種で、五大栄養素の一つです。

塩には、高血圧の原因になるといった悪いイメージがあるかもしれませんが、実は、新陳代謝に必要なもので、極端な減塩は血液量を減らす原因にもなるため、適度な量(一日7、5g以内)を摂ることを心がけなければなりません。

特に妊娠20週目以降は、ホルモンの関係で、余分なナトリウムを排出する機能が活発になるので、汗をかきやすくなったり、尿が近くなります。

基本的に、妊娠高血圧症候群を予防するために、極端な減塩料理に挑戦したり、塩分摂取を過剰に心配する必要はありません。

真っ白な食塩よりも、岩塩や海の塩など天然の塩を選ぶなどの工夫をして、適切な量を摂取しましょう。