おへそや睾丸、股の付け根が膨らむ赤ちゃんのヘルニア

2016年7月22日

生後2ヶ月の息子のおへそが、ぷっくりと膨らみながら飛び出している。

初めて見たときの、あの驚きと心配は今でも忘れられません。赤ちゃんが、泣いたり、排便時に力が入ったり、咳をしたりするたびに、おへそが飛び出てくるのです。

これが、本来腹部にあるはずの臓器が飛び出す病気「ヘルニア」の一種であることを知ったのは、心配で受診したときのことでした。

幸い、息子の臍(さい)ヘルニアは、ハイハイを始めた頃(生後5、6ヶ月頃)から徐々に腹筋がついて自然治癒しましたが、赤ちゃんのヘルニアは、場合によって手術が行われることもあります。

ときには、飛び出た臓器が元に戻らなくなって壊死したり、女の子の場合は、ひどくなると卵巣を切除するケースもあるからです。そのため、親は、正しい知識を知り、医師と連携して上手に対処する必要があります。

ここでは、ヘルニアの原因や症状、家での対処法、病院での治療について、「自立した子供の育て方/Raisinga Self-Reliant Child」の著者でもある医学博士(Alanna Levine,M.D.)によるアドバイスを中心に、実体験もあわせて紹介します。

赤ちゃんのヘルニアとは

一般的に、ヘルニアは、おなかの内臓系に多くみられますが、赤ちゃんの場合は、股の付け根に起こる鼠径(そけい)ヘルニアとおへそが膨らむ臍(さい)ヘルニアの2つが主です。

おへそや睾丸、股の付け根が膨らむ症状が見られたら、まずは医師に受診し、赤ちゃんの症状を正しく認識しておきましょう。

臍(さい)ヘルニアの原因と症状

臍ヘルニアとは、何らかの理由で出産までに、赤ちゃんのおへそ周辺の筋肉がうまく閉じなかったため、腸が飛びだした状態をいいます。

よく「へその緒の切り方や新生児期のケア方法が悪かったのではないか」と疑う人もいるようですが、これらは直接的な原因ではありません。

赤ちゃんは、おなかの中にいるときに、母親とへその緒でつながっていますが、産後もへその緒の穴をふさぐ筋肉の膜の成長がスムーズに行われず、それが完全に閉じなかったことが原因となります。

臍ヘルニアは、生後数週間で症状が表れ始め、治り方には個人差があります。そのままでべそになる子もいますが、うつぶせやハイハイによっておなか周りの筋肉が発達していくにつれて、ほとんどが自然に治るといわれています。

そのため、臍ヘルニアと診断されても、手術や治療は行われずに、2歳までは経過を見守ることが多いようです。

注意

一昔前は、五円玉やテープをおへそに貼るなど迷信めいた治療がされたようですが、それでは効果が無いどころか、かえって赤ちゃんの肌がかぶれる原因になるのでやめましょう。

鼠径ヘルニア/脱腸

鼠径ヘルニアとは、本来ならおなかの中にある腸や精巣、卵巣や卵管などの一部が、腹膜ごと股の付け根部分(鼠径部)からはみ出した状態をいい、脱腸とも呼ばれています。

子供の20人に1人と発生率は高く、特に未熟児や早生児にみられやすいといわれています。

一般的に、男の胎児の精巣は陰嚢ではなくお腹の中にあり、生まれる前に、股の付け根にある鼠径管を通って陰嚢に下がって筋膜が閉じるようになっています。

ところが、鼠径ヘルニアは、筋膜が閉鎖しないで開いたままで生まれたことにより、腹膜や腸の一部が隙間から飛び出してしまったことが原因で起こります。女の子の場合は、卵巣が飛び出すこともあります。

症状としては、股の付け根部分が膨らみ、手でやさしく押すと元に戻ります。

1歳までに治らない場合は、手術の他に治療方法がないため、体力がついた1歳前後で手術が行われることが多いようですが、病院によっては、症状をみて生後4ヶ月くらいから半年の間に行われることもあります。ほとんどの手術は短時間で終わるもので、終わったらすぐにいつも通りの生活に戻れます。

術後も再発することはあるようですが、それはまれなケースだといわれています。

嵌頓(かんとん)ヘルニア

鼠径ヘルニアの場合、赤ちゃんに傷みはありませんが、もし、痛がって泣くようなら嵌頓(かんとん)ヘルニアの疑いがあるので注意が必要です。

嵌頓(かんとん)ヘルニアとは、体内からはみだした腸や卵巣などが押しても元に戻らなくなる状態で、根本部分で締め付けられることで、放置しておくと、血の巡りが悪くなって、ふくらみが黒っぽくよどんできたり、とびでた部分が硬くなり、臓器が壊死したりする可能性があるので、早急に受診しなければなりません。

女の子の場合は、卵巣がねじれて腐ると切除しなければならないこともあります。

最後に

一般的にヘルニアは、大人の病気のイメージが強いようですが、実のところ、赤ちゃんの外科手術では最も多いといわれる病気です。

先天的な要因が大きく、放っておくと赤ちゃんが危険な状況に陥ることもあるため、様子がおかしいなど、なんらかの異変が見られたら、すぐに受診しましょう。