インフルエンザになるとどうして頭痛や関節痛が起こるのか?

2017年1月12日

インフルエンザに感染すると、発熱や頭痛、喉の痛み、鼻水、筋肉や関節の痛みなどがあります。

実は、これらの症状のほとんどは、ウィルスによって直接引き起こされているのではなく、ウィルスの侵入に対して私たちの体の免疫(防衛)反応が引き起こしているものです。

「自分の体が自らつらい症状を引き起こしているの?」と驚く人もいるかもしれませんが、私たちの免疫システムは、ウィルスへの防御における最後のとりでのようなものであって、その場しのぎのものではないため、それほど影響も大きいようです。

ここでは、なぜインフルエンザにかかると、頭や喉、筋肉や関節などに痛みが起きるのかについて、原因となるメカニズムや対処法を分かりやすく紹介します。

なぜ、インフルエンザは寒い時期に流行するのか?

インフルエンザが冬に流行するのは、色々な要因が絡み合っています。

  • インフルエンザウィルスは、寒さや乾燥した空気を好み、活動を活発化させます。
  • 冬になると、日照不足によって私たちの免疫システムが弱くなったり、のどや皮膚が乾燥して防御機能が低下する傾向があります。
  • 寒くなると、人が集まる屋内で多くの時間を過ごすようになるため、それがウィルスの拡散を容易にしています。

インフルエンザによる症状はどのようにして引き起こされるのか?

インフルエンザに感染すると、体は、ウイルスに対抗するために、熱を発し、免疫システムが活発化します。それによって、様々な影響が体に引き起こされます。

発熱・頭痛

ウィルスは熱に弱いため、インフルエンザにかかると、脳の視床下部が体温を上げてウイルスを退治しようとしたり、白血球を増やして全身に送り出そうとして血流を増やします。

熱が上がり、血流が増えると、脳内の血管が膨張し、周囲の脳神経に圧力が加わって頭痛が生じます。

そのため、頭痛を和らげるには、頭を冷やしたり、圧迫したりするのが有効です。

また、体温を上げると、ヒトの免疫力は上がります。

鼻水・くしゃみ・咳

ウィルスが侵入すると、鼻は、粘液(鼻水)を出して、体外に病原体を押し出そうとします。くしゃみや咳も同様に、ウィルスを体外に出すために起こります。

喉の炎症や痛み

ウィルスは、喉の後ろの方で繁殖しやすいので、体の免疫細胞はその領域を集中的に攻撃します。その結果、炎症が起こり、赤く腫れたり痛みが引き起こされます。

特にのどの奥の扁桃腺(へんとうせん)と呼ばれるところが腫れることがよくあります。

そのため、喉が痛いときの対処法としては、首元を温めたり、マスクや加湿器で保湿したりして、ウィルスの活動を抑えるのが有効です。

興味深いことに、喉の痛みの90%は細菌ではなくウイルスによるものですが、抗生物質(薬)は、残りのわずか10%の細菌性の咽頭痛のみにしか効きません。

筋肉や関節の痛み

インフルエンザになった人の94%が筋肉痛になるといわれています。

ウィルスによる筋肉痛は、運動によるものとは全く違ったメカニズムで引き起こされます。

ヒスタミンの分泌
ウイルスが筋肉に侵入すると、免疫体が登場し、ウィルスに結合して攻撃を始め、他の細胞に感染が広がるのを防ぎます。
免疫体がウィルスと接触すると、ヒスタミンと呼ばれる筋肉痛のもととなる物質が放出されます。これは、身体のアレルギー反応の一種で、ヒスタミンは、血管を拡張します。
マクロファージの分泌
マクロファージと呼ばれる白血球の一種が、ウィルスを攻撃し、感染した細胞を食べ始めます。マクロファージについては、関節炎の患者の研究によって、痛みや不快感を引き起こす化学物質を残すことが分かっています。
サイトカインの分泌
白血球は、ウイルスを攻撃するために、サイトカイン(インターロイキン6)と呼ばれるタンパク質の仲間を分泌しますが、これも炎症や痛みを引き起こす要因となります。

熱が出るとウィルスと闘うことにエネルギーを集中させるため、体は、副交感神経を優位にして、筋肉の働きを制御して体力を温存しようとします。

筋肉や関節の痛みがあるときは、寝て十分な休養を取るのが一番の治療法です。痛みのある患部を温めるのもよいでしょう。

ちなみに筋肉量が多い方が免疫力は高くなるので、筋肉をつけるのも有効です。

最後に

免疫システムの活動は、あなたに炎症や痛みを作りだすかもしれませんが、体の細胞に感染が広がるのを防ぐには避けられないことです。

ちなみに、インフルエンザは、昔から繰り返されてきた病気で、書物に最初に登場したのは、なんと紀元前412年の西洋医学の父と呼ばれたヒポクラテスによる記述です。