皮膚についた危険生物「マダニ」の安全な取り方

2017年5月31日

梅雨の時期や、夏のキャンプ、バーベキューシーズンになると、心配なのが「マダニの被害」です。

マダニは、皮膚につくとかさぶたやイボのようにも見えるため、正しい対処法を知らないがゆえに、ほとんどの人が「なんだこれは?」と無理やり引っ張って取ってしまいます。

しかし、これは感染症を引き起こすリスクを高めるとても危険な行為なのです。

マダニは、人間や動物の血液をえさとしているため、吸血行為によって、様々な病原体を伝染させる有害な生き物として知られています。

ここでは、マダニに刺されたときの安全な取り方について、獣医学と昆虫学の専門家キャサリン・ローション博士(Kateryn Rochon, Ph.D. )によるアドバイスを紹介します。

マダニの吸血行為

ダニというと、家の中に潜む目には見えないほどの小さな生き物をイメージするかもしれませんが、マダニは、山や公園などの草むらにも存在し、肉眼でも確認できるほどの大きさの吸血生物です。

人間や動物をえさとしており、皮膚に噛みついたまま、数日間血液を吸い続けます。メスのマダニなら、1週間以上も吸い続けることがあり、吸血後の胴部は、驚くほどパンパンに膨れ上がります。

実は、マダニは、蚊のように針を刺すのではなく、皮膚に噛みついて血液を吸います。

まず、皮膚を切り裂いた後、歯を奥までさし込んで、頭を皮膚の中にうずめるようにして血液を吸い始めます。吸血中は、皮膚から落ちないようにするために、唾液が分泌されています。

この唾液には、抗凝固剤のような作用を持つ成分だけでなく、細菌やウィルスといった様々な病原菌が含まれている可能性があります。また、この唾液がアレルゲンとなり、痛みやかゆみなどを生じることもあります。

マダニの取り方

安全にマダニを取るには、まず、可能な限り皮膚に近い位置をピンセットで挟み、まっすぐに引き上げます。

このとき、ゆっくりと、できる限り動かさないようにしてください。ねじったり、急に強く引っ張ったりすると、マダニの口の一部が皮膚に残ったり、唾液腺から病原菌を含んだ体液が人間の皮膚の中に逆流し、感染症を引き起こしたりする恐れがあります。

また、吸血中に胴部分を挟んで圧迫すると、体液が皮膚の中に逆流する恐れがあるので挟む位置には十分注意してください。

取った後に、マダニの頭の部分が肌に埋もれているのではないかと心配する人もいますが、実際に、皮膚に残っている部分があるとするなら、それは口の一部(歯など)です。

刺された後の対処法

マダニに血を吸われたら、患部を石鹸で洗い流すか、アルコール消毒してください。

マダニは、野生に住み、ある種の細菌やウィルスを保有している可能性があります。

特にシカや野ネズミなどからボレリア菌を媒介して引き起こす「ライム病」や死亡事例まででているSFTSウイルスによる感染症「重症熱性血小板減少症候群」には注意が必要です。

これらのウィルスに感染すると発疹ができたり、神経症状、関節炎、心筋炎、発熱、嘔吐などといった様々な症状が現れたりすることがあります。

そのため、処置後数日間は、傷口の悪化や感染症の症状が現れていないかを注意して見守りましょう。

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