指を開くとクロールを速く泳げるのはなぜか?

2017年10月27日

クロールを泳ぐときに、手のひらを閉じてはいけないのはなぜでしょうか?

確かに20年前までは、クロールでより多くの水をかくために、「肘を高く上げて、手の指を硬く閉じたまま水をつかみ、後方に押し出す」ようなストロークが指導されていたかもしれません。

しかし、オリンピック選手をのぞき、ほとんどの水泳選手は、指を閉じた状態で、肘をできるだけ高く上げたまま1時間もクロールを泳ぎ続けると、首や肩を痛めてしまいます。その結果、水泳がつらいものに感じたり、怪我をしたりして挫折する人が少なくはありませんでした。

速く泳ぎたいという気持ちは重要かもしれませんが、関節を損傷してしまっては意味がありません。

そこで、「Swim WEST」スイミングクラブが、ストロークの手の指導方法を変えたところ、本来の体を保護する目的以上に、クロールの泳ぎが劇的に改善されたのです。

ここでは、「Swim WEST」スイミングクラブが、1997年からクロールの指導で取り入れている「指を柔軟に軽く開いた状態でのストローク」について、得られるメリットを中心に分かりやすく紹介します。

クロールのストロークの手の使い方

まず最初の試みは、指をゆるく開いた状態で入水し、水の中で硬く閉じてみるというものでした。

すると、ほとんどの人が、指を開閉するタイミングに混乱してしまい、結果的にそれは失敗に終わりました。

そこで、1997年から、このスイミングクラブでは、今までどのクラブでも類のない「指を開いたまま」泳ぐという方法を試み始めました。

すると、手の指の力を抜いたやわらかなストロークをするほど、指はまっすぐに伸び、そして、力を入れた柔軟性のないストロークをするほどほど、手が折れ曲がりやすいことが分かったのです。

そして、さらに驚くべきことが分かってきました。

指の力を緩めて泳ぐことによるメリット

試行錯誤を繰り返した結果、手の力を緩めて、指を広げて泳いだ方が、たとえ指間からわずかに水は抜けたとしても、より速く泳げることが分かったのです。

また、肩の力を抜いて泳ぐことで、酸化による筋肉の損傷を防ぐことができます。一般的に、運動をすれば大量の酸素を消費するため、多くの活性酸素が生じてしまい、筋肉細胞を酸化させてしまいます。

さらに、指を柔軟にするほど(特に水の上で)、ストロークのプルが力強くなります。水面上で筋肉を休ませることができるので、長距離でより多くのパワーを維持できるというメリットもあります。

つまり、指の力を抜いたよりやわらかいストロークなら、速く泳げるだけでなく、肩や首、腰の怪我を防いで保護することもできるというのです。

実際に、指を閉じた泳ぎよりも、開いた方が優れていることを示す研究結果はありませが、このテクニックは、特に2004年のオリンピックメダリスト、イアン・クロッカー選手の泳ぎをきっかけに世界中で広まり、今日多くのスイミングクラブで取り入れられています。