風力タービン(風車)の羽根は、2枚でも5枚でも、1枚でも作れますが、現代の風車のほとんどは3枚羽根です。
それには主に3つの理由があります。
3枚羽根ローターは、物理学的には最も効率的で、工学的には同コストで2枚羽根より壊れにくいと示され、そして人間の快適性から言えば、騒音と見た目の問題で軍配が上がります。
以下に、その3つの理由についてよりわかりやすくみていきましょう。
物理学的な理由
羽根の数が3枚である第一の理由は物理学にあります。
他の条件が同じであれば、風車は、羽根の数が多いほどより大きなトルク(回転させる力)を発生できます。
しかし同時に、羽根を追加するほどに空気抵抗も増大してしまいます。
これは、追加される羽根一つひとつが風を受けるためで、風車の回転速度が速くなるほど空気抵抗は急激に増加するのです。
したがって、一般的に、多くの羽根をもつ風車は、風速に比べて回転速度が低いほど効率的に作動します。
一方、羽根の数が少ない風車は、トルクは小さくなりますが、空気抵抗も小さくなります。
そのため、羽根の数が少ない風車は、高い回転速度でより良く機能する傾向があります。
以下は、異なる羽根数のタービンの効率を示すグラフです。
x軸は風に対するタービンの回転速度、y軸はタービンの効率を示しています。
5枚羽根のタービンの効率は低速で最高値を示し、
一方1枚羽根タービンは高速回転でより良く機能します。
この曲線上では、あらゆるタービンの最高効率が中間速度域で達成されることがわかります。
これは、ご想像の通り、3枚羽根のブレードに相当します。
しかしタービンの重要性は効率だけではありません。
超高効率の風車が短期間で破損しては意味がありません。
風車が3枚羽根を採用する2つめは、工学的な理由にあります。
工学的な理由
問題は、風車が動作に必要な様々な曲げ力(曲げる方向に働く力)・回転力(回転させる方向に働く力)・振動力(振動を引き起こす力)に耐えられるほど強くなければならない点です。
たとえば、二枚羽根の風力タービンでは、羽根が支柱と同一方向、または、反対方向に向いた際、不適切な風況下で不均衡なねじれ力が生じ得ます。
これによって、支柱を前後に曲げたり左右にねじったりする大きな力が生じます。
羽根が偶数の場合にも同様の問題があります。1枚羽根ローターも例外ではなく、反対側にカウンターウェイトしかなく、不均等な風の力のバランスをとる要素がないためです。
ローターが3枚や5枚といった奇数枚ブレードの場合、羽根が対になっていないため、風圧がローターの表面全体でより均等に分散され、曲げ力やねじれ力が大幅に軽減されます。
したがって、2枚羽根を使用するには、タワー、ハブ、羽根の材料と設計がより頑丈である必要があり、それではコストがかさみ、羽根の枚数を減らすことで得られる他の多くのコスト上のメリットが打ち消されてしまいます。
また、3枚羽根や5枚羽根の設計と2枚羽根設計を比較すると、羽根枚数が多いタービンは回転速度が低いため、可動部品の経時的な摩耗が少なくなります。
そのため、風による望ましくないねじれ力を最小限に抑えるには、奇数枚の羽根が必要です。
摩耗は減りますが、羽根の枚数が増えるとコストは高くなります。
5枚羽根のタービン2基から羽根(10枚)を取り外した場合、3枚羽根タービン3基分と余り1枚分になります。
こうした工学的要因を総合的に考慮すると、3枚羽根が最適となるのです。
風車が三枚羽根である三つ目の理由は、人間の快適性のためです。
人間の快適性のため
風車を建設するには、それに同意してくれる人々が必要です。
ゆえに、外観と音は重要です。
一般的に、3枚羽根のローターは、2枚のものより視覚的に好ましいと考えられています。
その理由の一つは、3枚羽根のローターが水平方向と垂直方向に占める空間が、時間の経とともにわずかにしか変化しないのに対して、2枚羽根は、ほぼ水平と垂直の間を行ったり来たりしてとぎれとぎれに切り替わり、全体的にぎこちなく見える点にあります。
静止時でさえ、人々は2枚よりも3枚の対称性を好みます。
3枚は美しく見えますが、2枚になるとタワーに対する向きによってはバランスが悪く見えたり、不自然に見えることがあります。
風力タービンも騒音も発生しますが、基本的にその騒音はすべてブレードが空気を切り裂くときに形成される乱流から発生します。
したがって、最も騒音が少ない風車は最も回転速度が遅いものです。
効率グラフをもう一度見てみると、3枚羽根は2枚羽根ローターよりも低い回転速度で、同等か、それ以上の効率を達成していることがわかります。
つまり、特定の風速条件下では、3枚羽根の風車は、完全に無音ではありませんが、より静かに稼働できます。
いくつかの詳細は省略しましたが、本質的には、これが風車に3枚の羽根がある3つの理由です。
物理学的には3枚羽根ローターが最も効率的で、工学は同コストで3枚が2枚羽根より壊れにくいと示し、そして人間の快適性から言えば、騒がしさと見た目で軍配が上がります。
風車の羽根が3枚である理由については、以下の動画で見ることができます。
