【ヤギの目の仕組み】知られざるヤギの生態ベスト3

2017年4月21日

ヤギの目をじっと見たことはありますか?

なんだかとても奇妙な目をしていますよね。

それもそのはず、瞳孔が水平(横向き)に細長いのです。

実は、ヤギの目は、丸い瞳孔をもつ人間が嫉妬してしまうようなをもっています。

常に視界はパノラマ映像で広く、地面の草を食べている間も目をぐるりと回転させて立ったときの視界を確保

さらには、サングラスをしなくても、太陽の光を吸収しにくい

ここでは、カリフォルニア大学バークレー校とダラム大学が、数多くの動物の眼球を研究して分かったヤギの目についての非常におもしろい瞳孔の特徴と役割を紹介します。

山羊と他213種の陸上種の瞳孔形状を調べた結果、自然界での「食う食われるの関係」や「目線の高さ」によって、瞳孔の形や大きさがそれぞれに異なって進化し、それが生物学的に重要な役割を果たすことが分かってきたのです。

横長のヤギの目(瞳孔)は視野が広い


どうしてヤギの目は、横に細長いスリット状の瞳孔をもつのでしょうか?

少し怖いような奇妙なその目は、一言でいうと、食う・食われるの関係で結ばれる弱肉強食の自然界で生き抜くためです。

細長い瞳孔は、ヤギに広い視野を与えるため、様々な方向から接近してくる捕食者を素早く見つける役割があります。

たとえば、私たち人間の視界がこのような場合でも、


ヤギがもつパノラマ映像の視界では、端のオオカミが見事に映っているため、外敵を警戒し、捕食者に近づかれないうちに素早く逃げる助けとなっているのです。


また、真正面にある物体の画質を向上させる効果もあり、それが逃げようとするときに周囲の地形を見渡すのを助けて、荒れた地形でもすばやく移動できるのです。

ヤギの眼球は回転できる

細長さに加えて、ヤギの眼球は、約50度近くも回転できるため、これが広い視野の確保に役立っています。回転角度は、なんと人間の10倍にも相当。

これは、捕食者に狙われやすい食事中にとても便利に働くのです。

基本的に、地面の草を食べるときの頭を下げた姿勢は、目線が低くなってしまうため、どうしても視野が狭くなってしまい、捕食者に気付きにくくなります。


しかし、ヤギは、眼球を回転させて、細長い瞳孔の角度を地面とほぼ水平に保つことで、立っているときと同じような視界をキープしたまま食事ができると考えられています。

太陽のまぶしさを遮って広い視野を確保

ヤギの細くて平らな瞳孔は、薄暗い環境でより多くの光を取り込むことを可能にしています。

また、頭上からの光をあまり吸収しないため、人間のように太陽の光で目がくらんで周囲の草むらが見えなくなるのを防ぎ、網膜を守ることもできます。

ゆえに、夜行性、または、ネコのように昼夜を問わず活動する種には、この細長いスリット状の瞳孔が多いといわれています。

それでは、細長い瞳孔の向きが垂直、または、水平のどちらかで、斜めの種がいないのはなぜなのでしょうか?スリットの角度には一体どのような意味があるのでしょうか?

肉食動物と捕食される動物の目の違い

水平(横長)に細長いスリット状の瞳孔をもつ眼球は、ヤギだけでなく、馬やヒツジ、シカなど、捕食される草食動物に多く見られます。

対照的に、捕食動物の目は、イリエワニやヘビのような垂直方向にスリット状(割れ目のような)な瞳孔、または、ライオンのような丸い瞳孔が多いといわれてます。

そして、この垂直に細長い瞳孔をもつ動物は、地を這うように歩くワニやヘビ、トカゲ、ネコ、キツネのように比較的地面に近い位置で活動する傾向があることが分かってきました。

縦長の瞳孔は、捕食動物が獲物との距離を把握するときの知覚能力を高めるのに役立つ(カメラでいうとピントがあう奥行の距離の幅が広い状態)と考えられています。

一方で、研究者の計算によると、この奥行の認識能力は、地面から遠く離れてしまうと低下してしまいます。

これは、ネコのような小型の肉食動物が身を低くして獲物を待ち伏せる姿を思い浮かべると分かりやすいですね。

そのため、トラやオオカミのように目線が高い(脚が長くて背が高い)捕食者は、丸い瞳孔を持つ傾向があると科学者は考えています。

一般的に、垂直に長いスリット状の瞳孔は、細い瞳孔を広げる幅が大きく、光をたくさん集められるため夜行性のハンターに多く、夜間の狩りに有利に働くのです。

それに対して、人間の丸い瞳孔は、小さな丸から大きな丸になるだけであまり広げることができないので、残念ながら夜行性動物ほど夜間の視界はよくないようです。

動物の目の形は生き残るための適応進化の結果

いかがでしたか?

動物の特徴のなかでも、今回は「目」をクローズアップしてみるだけでとてもおもしろい進化的な目の役割が分かりました。

動物には、水平に細長い瞳孔(横長)、垂直に細長い瞳孔(縦長)、丸い瞳孔をもつ種がいて、それぞれに「食う食われるの関係」から、光の集め方やピンとの合わせ方、視野の広さなどにおいてメリットを得ています。

今まで、「ちょっと不気味で怖い」とさえ感じていたヤギの水平に細長い瞳孔は、太陽の光から目を保護しつつ、捕食者から逃げるために視野を広くするという理にかなった役割があったのですね。

同じネコ科でも、縦長の瞳孔をもつネコがいる一方で、ライオンやチーター、ヒョウなど目線の高い肉食動物は丸い瞳孔をもつなど、それぞれの動物の生態に合わせて、生物学的に適した機能をもつ目に進化してきたのです。

このように、動物の他とは違う特徴を見つけ、それがどのような機能をはたしているのかを考えてみるのも、また新たな発見ができて楽しいものですね。

ちなみに、タコは光を見るのに目を必要せず、皮膚にセンサーを備えているそうです。

進化の歴史は、知れば知るほど興味深いものです。