ハトはなぜ嫌われ者なの?実は特殊能力で人間を助けてきたハト

2020年8月26日

ハトの糞は、金属を腐食させ、寄生虫や細菌の主な感染経路だといわれています。

今では、鳴き声すらも騒音とされ、「翼のあるネズミ」として都会の嫌われ者となってしまいました。

しかしその反面、ハトは、記憶力、視覚処理力、磁場感知力、方向感覚に優れ、渡り鳥でもないのに、はるか遠く1000キロ離れたところからでも迷わずに巣に戻れる(帰巣性)ことで知られ、人類と密接に絡み合ってきた歴史があります。

過去には、英雄として名誉勲章を授与された有名な伝書鳩もいます。

戦火の中を、自らが被弾しながらも、ドイツ軍から200人近くのアメリカ軍を救ったシェール・アミ(Cher Ami)や、時速60キロもの速さでメッセージを届けて爆撃を阻止したGIジョーなどの軍バトたちです。

チャールズ・ダーウィンが世界を変える理論を発表した「種の起源」の中で、最初に選ばれた例も「ハト」でした。

ダーウィンが、カメでもナマケモノでも、巨大な化石アルマジロでさえもなく、ハトを選んだのには、それなりの理由があったのです。

ここでは、ハトの興味深い生態と並外れた特殊能力について紹介します。

なぜハトは都市部で大量にみられるのか?

ハトは、何千年も前に、海辺の崖の上で見つけられましたが、都市が誕生するとすぐに都市部に移住しました。

ハトにとって人間がつくった建物は、崖のような居心地のよい住処となり、すぐに都会での生活に馴染んだのです。

実のところ、彼らが都会で大繁殖できたのは、繁殖能力の高さだけでなく、人間の果たした役割が大きいようです。

人間の食料としてのハト

エジプト文明を経て、ローマ文明、そして、20世紀初頭まで、ハトの主な役割は夕食の材料でした。

なかには、金持ちの趣味として品種改良されたものもいますが、もともと乾燥地帯の崖などに生育していたハトを、人が食料源として家禽(きん)化するために持ち帰ったのです。

これらのうち数羽が、時間が経つにつれてあちこちで逃げ出して、野生に戻りましたが、多産な種で、人間の食べ残しでもなんでも食べるハトは、飢える心配のない街から出ることはなく、都市で大繁殖に成功しました。

そのうち、人々は、ハトの特殊な能力を見つけ出し、活用しはじめたのです。

ハトの特殊な能力とは

ハトは、カラスのようにパズルを解くことができません。
オウムのように話すこともできません。

実のところ、ハトの脳は、指先ほどの大きさしかありませんが、彼らには、並外れたナビゲーションシステム5つもの色受容器をもつ優れた識別能力があると考えられています。

5つの色受容器をもつハト

ハトの頭蓋骨の大部分は眼球です。

もし彼らが人間の大きさであれば、彼らの目は、グレープフルーツにも及ぶ大きさに相当します。

その巨大な目は5つの色受容器をもち、人間がもつ3つの色受容器では想像もつかないような世界を認識できます。

例えば、ライナスと名づけられたハトは、1000枚近くの写真を記憶するように訓練された結果、ピカソとモネを見分けたり、子供の絵の上手下手を言い当てたりすることもできるようになりました。

なかには、誤字脱字を見つけて、正しい綴りを伝えることができるハトや、サルと同じように物を数の大きい順番に並べられるハトもいます。

爆弾にされたハト

人間によって、兵器にされたハトもいます。

第二次世界大戦中、心理学者のB.F.スキナーは、ハトを武器に変えようとしました。

彼はハトを訓練して、画面の中心に小さな画像を保てるようにし、これをナビゲーションシステムに接続して、爆弾の中に搭載しました。

それは、文字通り、日本の神風特別攻撃隊のように、ハトが操縦するミサイルです。

実際に、シリアル会社からの資金援助を受けて、いくつかの試作品を成功させましたが、陸軍はそれを決行しませんでした。

大活躍した伝書鳩

人間の都市生活者と同じように、ハトは通勤者です。

朝になったら餌を探しに飛び立って、夜になると家に戻ってきます。

彼らは家との絆が強く、この帰巣本能は、何世紀にもわたってメッセンジャーとして使われてきました。

通信業の先駆者であるポール・ロイターが、世界的なニュースサービスを始める前、電話や電信機能の普及以前は、ニュースの配信にもハト(報道用伝書鳩)が使われていたのです。

特に、まだ無線が発達していない第一次世界大戦から第二次世界大戦にかけては、軍隊の重要な情報通信手段として何十万羽もの軍鳩(ぐんきゅう)が活躍しました。

それではハトはどうやって初めて訪れる場所から、家に帰る道を見つけるのでしょうか?

ハトの優れたナビゲーション機能

様々な実験により、ハトは視覚的な地図、地球の磁場の感知、太陽の角度や匂いでさえも識別材料に使って、判断できることが分かってきました。

しかし、科学者がこれらの感覚を破壊してもなお、一部の鳥は家に帰る道を見つけることができたのです。

今、分かっていることは、ハトが多くの感覚を使って識別していることです。

もしかしたら、私たちがまだ知らない感覚もあるのかもしれません。

ハトに関するナゾはまだ残されている

ハトはどこにでもいますが、赤ちゃんに関しては実在しているのか疑ってしまうほど、人の目に触れません。

それは、ハトのひなが巣立つまでの期間は約1ヶ月と短く、巣立つ頃には栄養豊富なピジョンミルクのおかげで親と区別がつかないほどの大きさになっていることなどが理由です。

ダーウィンの自然選択(自然淘汰)に関する考えは 世界一周の航海中に生まれました。

しかし、進化のすごさを実感するために、わざわざエキゾチックな場所に行く必要はありません。

ダーウィンはそれを知っていたからこそ、自分の理論を世界に紹介するためにハトを選んだのです。

ハトは、身近で観察できる珍しい野生動物です。

観察したければ、どこにでもいます。

ぜひ好奇心を持ち続けて、これまで見つけることができなかった都市の野生生物に関する新たな発見を見つけてみてください。