「出産 vs 睾丸を蹴られた」どちらの方が痛い?

2016年11月26日

硬貨程度の穴からメロンを出すといわれる出産の痛みと、男性が睾丸を蹴られたときの痛み。

これは、古くから男女ともに、最悪の痛みだと主張されているものですが、果たして実際のところでは、どちらの方が痛みが強いのでしょうか?

ここでは、女性も男性も、双方がお互いに想像することができないレベルに達する2つの痛みの種類について、「痛みとは何か」という根本的な問題をもとに科学的に分かりやすく紹介します。

痛みを数値で比較

一般的に、人それぞれに痛みの感じ方は異なるので、客観的に痛みを計測することは非常に難しいといわれています。

それでもあえて、痛みを無理やり「del」という単位の数値で表した場合、人間の体が耐えることができる痛みを45delだとすると、出産時は、57delに達します。これは、20本の骨が一度に折れるのと同等の痛みです。

そして、男性の主張によると、睾丸を蹴られたときの痛みは、9000delだそうです。

しかし、delという単位を使うと、人間の限界を超える痛みになること自体が理論的に考えてあまり説得力がありません。

本当の意味でこの2つの痛みを評価するには、まずは痛みとは何かを理解する必要がありそうです。

痛みとは何か?

痛みは、触感や熱を感じる神経とは異なり、「侵害受容器」と呼ばれる特殊な神経細胞によって感じさせられる感覚です。

これらの神経細胞は、特定の疼痛(とうつう)レベルを超えたときにのみ活性化され、ここで受けた刺激に素早く反応し、神経を通じて、脊髄や脳に信号(痛みの情報)が送られることで起こる急性の感覚が痛みなのです。

侵害受容器は、身体に異常が発生した時に、危険から身を守る警告信号としての役割があります。

睾丸が蹴られた時の強い痛みの原因

男性の睾丸は、もともとは内臓器官です。胎児の頃に腹部にあったものが、生まれる前に下りてきたもので、ほとんど保護されていないため、痛みをより深刻に感じやすい部位でもあります。

実のところ、睾丸の周囲には、たくさんの侵害受容器が張り巡らされており、痛みへの感覚が非常に敏感になっています。

さらに、睾丸は、脳の嘔吐中枢と直接つながっているため、痛みの刺激を受けた時に、心拍や血圧の上昇、発汗、吐き気を伴うこともあります。また、たくさんの神経によって腹部と繋がれているため、睾丸が衝撃を受けると、おなかにまで痛みが広がることがよくあります。

出産の痛みの原因

出産は、外部からの打撃による痛みではありませんが、睾丸が受ける内臓痛と同じように侵害受容器が刺激されて起こる急性の痛みです。

出産時には、子宮の収縮による局所的で鋭い痛みが平均して8時間続き、吐き気や疲労、および、緊張を伴うをこともよくあります。

進化的には、女性のお尻は小さくなっているにも関わらず、赤ちゃんの頭は大きくなっているのも痛みを強める要因となっているようです。

結論

痛みは非常に主観的な経験です。つまり、誰もが痛みを異なる方法で認識しています。

痛みの感じ方は、人それぞれで異なり、その時の雰囲気や警戒心、過去の経験などの精神的な要因の影響を受ける可能性もあるため、それが痛みの測定をさらに困難にものにしているのです。

そのため、出産によるものと睾丸を蹴られたときの痛みではどちらの方が強いかという議論は、明確な勝者を持たない議論のひとつだといえるでしょう。

実際に、上肢切断手術を受けた人の80パーセント近くは、過去の記憶から幻肢痛と呼ばれる実在しない手や腕の痛みを感じることがあるといわれるほど、痛みとは不確かなものなのです。

いずれにしても、男性と女性それぞれが経験した痛みの強さを議論すること自体がナンセンスなのかもしれません。その結果が、あなたの性別をより優れたものにするわけではないのですから。

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