なぜ足の指をぶつけるとすごく痛いのか?

2019年2月26日

「つま先をタンスの角にぶつけてしまった」「足の指に物が落ちてきた」、これらはおそらく、誰もがする経験でしょう。

そして、このふいに訪れる打撃は、まさに声にならない相当な痛みを引き起こします。

実のところ、足の指をぶつけると、実際には軽いけがであるにもかかわらず、体重の2倍から3倍におよぶはるかに強い力でつま先が打ち付けられた痛みを生じるといわれています。

それは、空手のパンチを受けるときの衝撃に相当します。

さらに、つま先の表面積は小さいため、その力を分散させることはできません。

そのため、痛みは、衝撃を受けた部分に集中してしまうのです。

そして、衝撃的な鋭い痛みの波の後には、ズキズキした鈍い痛みが襲い掛かります。それには、特殊な痛みのメカニズムが関係しています。

ここでは、なぜ足の指をぶつけると強い痛みが生じるのかについて、その理由を痛みのメカニズムをもとに分かりやすく紹介します。

実のところ、足の痛みは決して楽しいことではありませんが、私たちの先祖が、怪我や感染を避ける手助けとなっていた可能性があるようです。

鋭い痛みの後に鈍い痛みが襲う理由

つま先をぶつけると、実際には「侵害受容器」と呼ばれる特別な神経の束を打ちつけています。

侵害受容器とは、皮膚や内臓などに張り巡らされた末梢神経の先っぽにある痛みの受け皿で、異変や身体を脅かす危険を感知して、脳に知らせる役割があります。

痛みの刺激を感知すると、侵害受容器たちは興奮して、みんなで一斉に、警告をうながす電気信号を末梢神経に発します。

この危険信号は、末梢神経を介して脳に伝わるわけですが、実のところ、痛みの刺激を伝えるスピードは同じではありません。

なかでも極めて早いのがA-delta線維と呼ばれる末梢神経繊維で、毎秒20メートルともいわれる盲スピードで、何千もの密に束ねられた神経線維の間を駆けめぐり、痛みの信号の最初の波を脳に向けて届けます。

それが、足の指をぶつけた衝撃の瞬間に感じる鋭い痛みを引き起こします。

しかし、神経線維の中にはC線維と呼ばれる遅い信号を送信するものもあります。彼らは、毎秒2メートルの遅さで走り、ちょっと遅れて痛みの信号の第二波を脳に届けます。

それが、鋭い痛みの後に長く続くズキズキした鈍い痛みです。

侵害受容器が多いと痛みを感じやすい

侵害受容器は、皮膚や内臓、目、膀胱にいたるまで、あなたの体中いたるところで見ることができます。

そして、それらは、指先や口唇(こうしん)のように、外部環境を調べたり、異変を敏感に感じ取ったりするために使われる部位に最も高い密度で集中しています。手を紙で切ったり、唇がひび割れたりした場合、軽いけがであるにもかかわらず、本来の損傷よりも強い痛みを生じるのはそのためです。

詳しくはこちらを参照:
なぜ紙で手を切ると痛みが鋭いのか?

つま先の侵害受容器は、手の指先ほど多くはありませんが、しかし、足の指には衝撃を和らげるためのクッションとなるようなものがほとんど無いので、侵害受容器に衝撃がもろに伝わってしまいます。

実は、つま先に緩衝材がほとんど無く、痛みや異変に敏感な構造をしているのには意味があるようです。

つま先が痛みに敏感なのには理由があった

研究者たちは、足の指をぶつけたときの痛みのように、つま先が痛みに敏感なことが、私たちの祖先の命を守ってきた可能性があると考えています。

抗生物質がこの世に存在する前にさかのぼって考えてみましょう。ほんのわずかな切り傷でさえ、致命的な感染症を引き起こす可能性があるうえ、そういった感染症を引き起こすバクテリアや汚れに満ちた地面に常にさらされていた足は、特に損傷を受けやすい場所でした。

そのため、祖先たちは、痛みに敏感な足を使って周囲の異変を察知しながら、踏み入れる場所に注意を払っていたのかもしれません。

その結果、怪我や感染率が低下し、彼らの遺伝子を今日まで受け継ぐことができたとも考えられます。

もし次に、足の指をぶつけることがあれば、痛みに敏感な理由を思い出してみてください。あなたの偉大な祖先に感謝することができるかもしれませんね。

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