鼻の下の溝の名前|役割はないのに存在するくぼみの正体とは

2017年4月21日

人間には、なぜ鼻の下に小さな溝、くぼみがあるのか不思議に思ったことはありませんか?

この溝の名前は、人中(じんちゅう)。実質的には、人が生きていくうえでなんの役にも立ちません

それではなぜ不要な物が存在しているのでしょうか。

実は、これには胎児の成長過程で顔が形成されることに関係しています。

そこで今回は、人中と呼ばれる鼻の下の溝、くぼみの部分がどのようにしてできるのかについて、胎内で顔が形成されていく様子や人中の役割を中心に分かりやすく紹介します。

どうやらもともとおなかの中の赤ちゃんの顔は、鼻が左右に離れており、それが次第に中心に移動してひっついたという痕跡(こんせき)が溝として残されているようです。

鼻の溝は胎児の顔の形成と関係している

マイケル・モズレー博士は、人中と呼ばれる鼻の溝についてBBCの番組「Inside the Human Body」の中で次のように言っています。

人中は、人間の顔というパズルが最終的にすべて揃う場所です。

そこから顔を構成するパズルの3つの主要部分が上唇のところで合流し、唇の溝ができ、徐々に人間の顔らしく変わっていくのです。

顔の形成は、胎児の2ヶ月目から3ヶ月目の間に行われます。遺伝的または環境的な理由で、この時期に顔が形成されなければ、一生形成されないことになります。

鼻の下の溝、くぼみができるまで


初めの頃は、胎児の目や鼻の孔は左右に離れ、口は大きな亀裂のようにもみえます。

まず、鼻孔と口が形成され、それらが鼻と唇の道を作るために少しずつ中心に移動していきます。


そして、鼻と唇が所定の位置におさまるときに、溝があらわれるのです。

ときにはこの工程で、赤ちゃんの鼻と唇がうまくひっつかずに、上唇がめくれあがったり、縦に裂けたように見えたりといった状態で産まれることもあります。これが口唇裂(こうしんれつ)や口蓋裂(こうがいれつ)と呼ばれる先天性異常です。

動物の鼻の下にも存在する溝


鼻の下にくぼみがあるのは、人間だけではなく、豚やトラ、サル、ライオン、ウサギ、ネズミをはじめ、ほとんどのほ乳類でみられます。

霊長類に関しては、人間同様に何の役割もないようです。

しかし、猫や犬など霊長類以外の動物は別で、鼻を湿らせて匂いの元をキャッチしやすくするための水分の通り道だと考えられています。

私たち人間は、進化の過程で視覚を頼るようになり、嗅覚を鋭くする必要がなくなったため、名残として残っているようです。