言葉は、脳でどのように生み出され、どう理解されているのか?

2018年1月16日

言葉を聞く、見る、感じる、誰かが伝えようとしていることを理解できる。これらは全て本当にすばらしいことだと思いませんか?

言葉は、「言語」と呼ばれる記号体系の一部にすぎませんが、非常に興味深いもので、そのような言葉を話し、理解できるのは人間だけです。

私たちは、誕生後からあたりまえのように言葉を話すようになり、コミュニケーションのためだけでなく、頭で考えているときにも、言葉を使用しています。

それでは、私たちの脳は、どのように言葉を生み出し、使用し、実際に機能させているのでしょうか?

ここでは、脳科学や遺伝学の研究によって分かってきた脳と言語の興味深い関係について分かりやすく紹介します。

言語とは

言語は、コミュニケーションにおいて、気持ちや考えをお互いに表現し合う手段であり、それを通して、人は、信念や行動(ふるまい)、知識の共有、説明、または、経験することができます。

私たちは、昔から、一定の決まりに従った標識記号や音声、ジェスチャー、記号(洞窟壁画や文字)などのシステムに基づいて、ある種のグループ、または、コミュニティ内で、言葉の意味を伝え合っているのです。

それでは、言語が、脳からどのように生み出されているのかを知るために、耳にした言葉を、実際に口に出すときに、脳では何が起きているのかを見ていきましょう。

脳は、どのように言葉を生み出しているのか?

実のところ、脳は、言葉を「理解すること」と「話すこと」を、それぞれ別の領域で行っています。

一般的に、聞いた言葉を話すには、まず、情報を「聴覚野(ちょうかくや)」と呼ばれる(音に関する情報の処理を行う)脳の領域に届なければなりません。

すると、脳の側面(側頭葉)にあって、言葉を理解する働きのある「感覚性言語中枢(ウェルニッケ中枢を含む)」が活発になり、情報は、ブローカ野(運動性言語中枢)と呼ばれる脳の前側の領域(前頭葉)に伝わり、最終的に、自分自身の言葉で話せるようになります。

ちなみに、言葉を「読む」のは「話す」のと似てはいますが、脳の視覚野(後頭葉)が主に関わってきます。

言葉を理解することを担う脳の領域「ウェルニッケ野」

脳にあるウェルニッケと呼ばれている領域は、音と言語の理解に非常に重要なところで、ここが傷ついてしまうと、ウェルニッケ失語症につながる可能性があります。

ウェルニッケ失語症とは、発声はできるが、言葉を理解する能力が失われる病気です。

ときには多弁で、流暢(りゅうちょう)に話すのに、話の内容がめちゃくちゃで内容がなかったり、言い間違いが多かったりするので、聞き手をしばしば混乱させてしまうために、「ワードサラダ」と呼ばれることもあります。

「ワードサラダ」とは、文法や言葉自体は正しくても、言葉をただ並べただけで、意味が通らない文章のことです。

言葉を話すことを担う脳の領域「ブローカ野」

脳のブローカと呼ばれる領域もまた、言語と深いかかわりがあります。ここは、喉や舌を使って、言葉をはっきりと発声するためにはなくてはならないところです。

そして、ブローカ野が傷ついた場合もまた、失語症につながる可能性があります。

そうなると、人が話す言葉は理解できても、自分の考えを言葉で表現するのが困難になります。

そして、近年の研究によって、言語は、これらの脳の領域を越えて、遺伝子ともかかわりがあることが分かってきました。

言語と関係がある遺伝子「FOXP2」

遺伝学の研究では、「FOXP2」と呼ばれる遺伝子が、言語、および、言語領域の発達に不可欠で、大きな影響を与えていると考えられています。

この遺伝子は、言語をつかさどる脳の領域の形成に深く関わっているため、突然変異が起こると、言語障害につながることさえあります。

また、最近の研究では、言語が、脳の時間の捉え方を形づくっていることも分かってきました。2か国語を流暢に話すバイリンガルは、話している言語の文脈によって、時間の捉え方が異なるというのです。

これは、言語が、私たちの感覚にも侵入している証拠です。

世界には、たくさんの種類の言語がありますが、あなたがどの言葉を話すかが、脳になんらかの影響を与えている可能性があるようです。

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