バイリンガルの脳の仕組みはどのように違うのか?言語は世界観を変える

2017年6月13日

バイリンガルが、複数の言語を流暢に話すとき、脳はどのように働いているのでしょうか?

この興味深い疑問の研究において、科学者は、近年、バイリンガルと一言語のみを使う人の脳の働きに違いがあることを発見しました。

実のところ、バイリンガルは、その時々に使う言語に応じて、脳を異なる方法で活性化させており、脳で2つ以上の言語体系の切り替えを行う「コードスイッチング」と呼ばれる現象を信じられないほど柔軟に行っていることが分かりました。

さらに新しい研究によって、言語が、人の時間への感覚や世界観に大きな影響を与えている可能性も出てきました。

ここでは、一言語を話す人と二言語を自由に使いこなすバイリンガルの脳の違いについて、また、言語が感情や考え方に与える影響について、近年の研究によって分かってきたことを紹介します。

言語と時間感覚の関係

近年行われた新しい研究によって、言語と時間の間に興味深いリンク(つながり)があることが分かりました。

それは、あなたが使用している言語が、あなたの時間のとらえ方に影響を与えていることを示すものでした。

どのような言語でも、身の周りの世界をうまく体系化するために、独自のボキャブラリー(語録)を持っていますが、特に時間のとらえ方に関しては、使用言語による2つの世界観の違いが顕著に表れています。

一つは「距離」としての時間の考え方、そして、もう一方は「空間がいっぱいに満たされるまでの容積」として時間をとらえる方法です。

2通り(「距離」と「容積」)の時間のとらえ方

スウェーデン語と英語は、双方とも時間を測定するために物理的な距離を使用して表現します。

たとえば、英語では、小休止のことを「short break(短い休憩)」というように距離を示すボキャブラリーを使って、時間の経過を表現しています。

一方で、ギリシャ語とスペイン語は、時間を「大きい」や「小さい」といった容積を表すボキャブラリーで表現します。たとえば、スペイン語で小休止は「small break(小さい休憩)」といった表現方法になります。

それでは、時間のとらえ方が異なる二言語を話すバイリンガルは、どのように時間をとらえているのでしょうか?

バイリンガルは言語によって思考を切り替える

これを測定するために、研究者は、スウェーデン語とスペイン語の両方を流暢に話すバイリンガルに参加してもらい、彼らの時間のとらえ方について調査しました。

実験で参加者は、2つの言語のうちどちらか一方(時の流れを示す「スペイン語のduracion」か、または、「スウェーデン語のtid」)の言語が与えられました。

結果は、スペイン語が与えられた場合、被験者は容積に基づいて時間を認識しました。つまり入れ物を満たす要量は小さいか、それとも大きいかに基づいて時間の経過を考えていたのです。

しかし、スウェーデン語が与えられた場合は、ペンを使って線を描き、短いや長いといった距離で考えた方が、時間をより正しく見積もることができました。

つまり、バイリンガルは、使用言語に応じて、頭の思考をたくみに切り替えていることが分かりました。このことから、バイリンガルは、ものごとを柔軟に考える能力や複数の作業を同時にこなす能力に優れていると考える専門家もいます。

言語が脳に与える影響

近年、使用言語が、その人の時間のとらえ方だけでなく、一般的な生活の行動様式や感情、世界観などに潜在的な影響を与えている可能性があることが、複数の調査で示されています。

たとえば、「big wedding」について考えるとき、スペイン語と英語を話すバイリンガルは、たくさんの人を招待した夜遅くまで続く長い結婚式と考えますが、英語だけを話す人は、招待客の人数だけで考える傾向があります。

このことからも、話している対象は「大きな結婚式」と共通していますが、実際には、使用言語によって、それぞれがイメージする結婚式が異なったものであることが分かります。

これはつまり、新しい言語を学ぶことは、あなたをとりまく世界の感じ方を変えたり、ものごとへの考え方を変えたりする可能性を秘めているということを意味します。