人が死んだ後の体には何が起こり、どうなっていくのか?死後100年後の体とは

人が死んだ後の体には何が起こり、どうなっていくのか?人体の不思議

人にとって死は悲しいものであり、かつ、避けられないものです。

さて、人が死んだ後の体は、一体どうなっていくのでしょうか?

どうして、青白くなったり、腐敗臭や筋肉の硬直(死後硬直)が起こるのか不思議に思ったことはありませんか?

人間の体は、200本以上の骨、数兆もの微生物、さらには37兆を超える細胞でできています。

そして、「死」は、こうした体の終結だと考えられていますが、実のところ、私たちの死後の体にはまだ長い道のりが存在していたのです。

ここでは、人が死んでしまった時点から身体に起こり始める、いくつかの奇妙で少し不気味なできごとについて、死後100年後までの体をもとに、時間の経過を追って科学的に解明されていることを紹介します。

死後に身体に起こる現象

あなたの体を形作っているものを死後に失い始めるまでには、それほど時間は要しません。

死後わずか1、2分で、最初のできごとがで起こります。

心臓が鼓動をやめたとき、それは、体じゅうの臓器や組織への酸素を送っていた血流の停止を意味します。

体が冷たくなる

人は、死んだ後、室温に達するまで、1時間ごとに、体温が0.8度ずつ下がり始めます。

細胞が死んでいく

肺や心臓の働きが停止してしまうと、体中の細胞が、酸素不足によって徐々に死滅していきます。

体の細胞は、 心臓が動かなくなってもすぐに死ぬわけではなく、数分間は生きて二酸化炭素を排出し続けるため、体は徐々に酸性化していきます。

そして、細胞内にある酵素が、細胞膜を分解して、徐々に破れた箇所からあふれ出ていき、周囲の細胞の細胞膜をどんどん破壊していきます。

臓器や組織を構成する細胞は、70%が水分なので、それらが自己破壊すると、棺桶の床をしっとりと湿らせていきます。

筋肉がゆるむ

体中の筋肉のハリが無くなり、緩んでいくため、それが排便や排尿につながります。(死ぬ間際に、トイレに行くのを我慢していた場合、あまり想像したくはない情景になってしまうかもしれません。)

血液があふれ出る

血管が壊れて、血液がこぼれ始め、体中に流れ出します。

これによって、顔や体が変色し始め、仰向けになっている場合は、重力によって、血液が背中側にどんどん移動していくので最終的に青白くなります。

死後硬直が起こる

心肺機能が停止した後、約2時間から6時間後に死後硬直が起こります。

生きている間は、自分の意思で筋肉を収縮、弛緩(ゆるむこと)させられますが、細胞がエネルギーを全て使い切ってしまった時点から、タンパク質の繊維が筋肉をこわばらせるため、遺体が硬くなります。この筋肉のこわばりは、約3日間続きます。

腸内の微生物たちが逃げ出す

約10時間後には、胃腸(消化管)の中で厄介なプロセスが開始。

体内の免疫システムは働かず、もはやお腹をすかせた100兆にもおよぶ腸内細菌を制御できなくなるからです。

お腹をすかせたこれらの微生物たちは、通常は食べ物の消化を手伝いますが、死後は腸から組織、静脈、動脈を通じて逃げ出し、数時間以内には、肝臓と胆嚢に到達して臓器を食べ始めます(分解)。

すると、そこで脂肪を分解していた黄緑色の胆汁があふれ出し、体を黄緑色に染めていきます。

腐敗が始まる

死後、2、3日後から腐敗が始まります。

2日目から4日目には、微生物は体内のいたるところにいます。

胃腸内にいた微生物が、体中の脂肪や細胞組織を分解し、液化していくときに出される化学物質やメタン、硫黄水素のようなガスが、強烈な腐敗臭の原因です。

また、発生したガスでおなかは膨れ上がります。

3、4ヶ月後、黄緑色の肌は茶色がかった黒色に変わります。

なぜなら、崩壊した血管からあふれ出た血液中の鉄分が酸化して茶褐色になるためです。

そして、同じ時期に、細胞の分子構造も壊れ、水っぽくどろどろになります。

うじ虫やバクテリアが体を侵食していく

腐敗臭に惹き寄せられて、ハエがたかり、体内に卵を産み付けます。

エの卵は1日で孵化し、うじ虫が身体を侵食し始めます。うじ虫をエサに他の昆虫や生き物も寄ってきます。

酪酸発酵が起こる

死後20日から50日が経過した頃から、酪酸発酵が起こり始め、骨から肉が離れて乾燥していきます。

1年あまり経たないうちに、酸性の体液や毒素によって着ていた綿素材の衣類が分解され、残すところは、ポリエステルやナイロンなどの合成繊維が使われた縫い目やウエストのベルトのみとなります。

環境条件によって体の保存状態が変わる

仮に、体が湿気のある低酸素状態の環境(水中や湿度の高い地中など)にあれば、10年後には、太ももやお尻などの脂肪に化学変化が起こされて、屍蝋(しろう)と呼ばれる蝋状のワックスのような物質になります。

一方で、乾燥した環境条件では、ミイラ化をもたらします。この分解プロセスにおいて体内の水分は、耳や鼻、まぶたなどの薄い皮を通して蒸発し、体を乾燥させて黒っぽく変化させます。これが別名「ミイラ化」です。

死後80年から100年後の体

50年後までには、体内の組織はバクテリアや生き物たちによる分解によって液化して消え、ミイラ化した皮膚と腱を残します。

やがてこれらも崩壊し、80年経った後、骨は内部の柔らかいコラーゲンによってひび割れを起こして劣化します。この段階で、脆い骨のミネラルフレーム以外は何も残っていません。

その骨の殻でさえ永遠に続くことはありません。100年後には、骨も崩れて塵と化し、そこには、体の中で最も耐久性のある部位「歯」と屍蝋、衣類にあったナイロン製の糸だけを残すでしょう。

参照元:
What Happens After You Die?
100 Years Inside A Coffin