なぜ辛い食べ物は、温度が高いわけではないのに「熱い」と感じるのか?

2018年6月29日

唐辛子などの辛い物を食べると、熱さやひどい痛みを感じることがありますが、このとき、脳や体には何が起こっているのでしょうか?

辛い食べ物は、あなたの脳に、口の中が燃えていると錯覚させるように仕掛けてきます。

しかし、実際には、唐辛子に熱はなく、ましてや口に火がついているわけでもありません。

一体なにがどうなっているのでしょうか?

どうやらその秘密は、唐辛子に含まれているカプサイシンと呼ばれる化合物にあるようです。

ここでは、唐辛子など辛いものを食べたときに、脳や体で起こる不思議な現象について、科学的に分かりやすく紹介します。

実は、ミント味のものを食べると冷たく感じるのもこれと似た現象で、だまされやすい脳の仕組みによって引き起こされているのです。

辛い物を食べると熱さを感じる理由

唐辛子に含まれている「カプサイシン」は、感覚神経にある「TRPV1」と呼ばれる受容体と結合します。

通常、TRPV1と呼ばれる受容体は、熱や痛みなどの刺激に反応して、脳に警告信号を送るところです。

カプサイシンには、このTRPV1を強力に活性化させて、それらと同じ信号を送らせ、脳をだまして、口の中に何か熱いものがあるかのように反応させる力があります。

それによって、実際には刺激が起きていないにも関わらず、まるで顔から火を噴くような感覚「灼熱痛」に襲われることもあります。

すると、体は自らを冷やそうとするため、汗をかき始め、顔は赤くなっていきます。同時に、目からは涙が、そして、鼻水も出るかもしれません。これらは体が「脅威」とみなしたものを取り除こうとして行われているのです。

カプサイシンは、飲み込まれて移動するうちに、より多くの受容体と結合していきます。

その過程で、最悪なケースでは、嘔吐を起こしたり、喉に水疱を発生させたり、アナフィラキシーショックに至る症状を引き起こすことさえあります。

それではなぜ、辛い食べ物を好んで食べる人がたくさんいるのでしょうか?

辛い物がやみつきになる理由

辛い物を食べると、脳は、痛みに反応して、エンドルフィンとドーパミンを放出します。これらの化学物質を組み合わせると、「ランナーズ・ハイ」に似た陶酔感が生まれます。

つまり、快感や多幸感を求めて、また欲するようになっていくのです。

実のところ、辛い物に対する反応の出方は、それぞれの許容範囲の差によって決まります。もしあなたが唐辛子食べると涙が出るのなら、あまり汗は出ないタイプでしょう。

辛い物に対する許容範囲は、食べていくうちに鍛えられ、繰り返し食べることで体は慣れてくるといわれています。

ミントを冷たいと感じる理由

辛い物を食べると熱いと感じるのとよく似たもので、ミントを口に入れると、まるでウィンターワンダーランドのような冷たさを瞬時に感じることがあります。

これは、ミントに含まれているメンソールと呼ばれる化合物が、感覚神経にあるTRPM8と呼ばれる冷たさを感じる受容体と結合し、低温の信号を送らせることで脳をだまして、まるで氷を口に含んだときのように体を反応させていくためです。

TRPM8は、人の舌や皮膚の表面にあり、通常「冷たい」刺激を感じるところですが、メンソールは、それを活性化させて、脳に舌や皮膚の表面温度を下げさせることができます。

よくメンソールキャンディーをなめるだけで、口の中が冷たく感じるのは、これらの化合物が脳に錯覚を起こさせるためなのです。

結論

私たちが、食べ物を口に入れたときに、実際の温度とは関係なく感じる「熱さ」や「冷たさ」は、ただ温度で味を例えているというわけではなく、まんまとだまされたおろかな脳による報告をそのまま感じているだけだったのです。

この化合物による効果を利用して、夏に冷たいアイスクリームの上に、さらにミントをのせて食べると、実際には温度が下がったわけではないにも関わらず、冷たさや清涼感を感じる効果は期待できそうです。

その他の参照元:
Why Does Spicy Taste 'Hot' and Minty Taste 'Cool'?