実は、私たちが歌う方法は、風船から空気が出るときに口を引っ張って広げたり、縮ませたりすると「ピュー」と高い音や低い音が出る仕組みによく似ています。
今回は、私たちがどうやって歌っているのか、声の出る仕組みをもとに分かりやすく紹介します。
風船の空気の出口の隙間を狭くすると高い音が、そして、大きく広げると低い音になるよ。
声はどうやって出るのか
まずは、高音で歌ってみてください。
高い音、例えばドの音で「ハー」。
高音を出すときに、喉や首の中の何かを締め付けたのが分かりますか?
これは声帯と呼ばれるもので、空気の通り道を開けたり閉めたりする膜のようなものです。
しかし、「声帯を締めたでしょ?」なんていわれても分かりませんよね。
それは、私たちが何も考えずに声を出しているからです。
声帯を締めて高い音を、声帯を緩めて低い音をなどと自分で考える必要はなく、ただ高音で歌えば、体は何をすべきかを理解してくれているのです。
声帯は空気が出るときに振動する
風船には空気が入っています。
先程、風船から抜ける空気の量をコントロールしたのを覚えていますか?
風船の口を強く握ると、あまり空気は出ませんでした。
そして、風船の口を閉じた手を少し緩めると、より多くの空気が出てきました。
そして、空気が出るとき、風船の口のゴムは振動します。
この振動は、空気の入り口が狭いほど速く振動して高い音になり、手を少し緩めて持つと、振動が遅くなって低い音になります。
声帯は、通常の会話では1秒間に100回近くも開閉する耐久性のある小さな吸盤のようなものです。
肺は風船のようなもの
私たちが歌うときの肺と喉はこの風船のようなものです。
肺は体の真ん中、胸のあたりにあり、私たちはそこに空気を入れて、その空気を吐き出します。
これが私たちの呼吸の仕組みです。空気を吸って、それを吐き出す。
話したり、歌ったりするときにも空気を出し入れします。
まず肺は、喉の真ん中にある喉頭と呼ばれる部分に空気を送ります。
声帯は喉頭の上部にあり、空気は、その道を通って口に入ります。声帯に空気の圧力がかかると、膜(皮膚のひだ)が開いて音が発生します。
風船から出てくる空気が、風船の口を振動させて音を出すのと同じように、私たちが話したり歌ったりするときには、喉を通る空気が皮膚のヒダのような声帯を振動させるのです。
呼吸をコントロールすることで歌が上手になる理由
プロの歌手は実際に呼吸を訓練することを知っていますか?
呼吸をコントロールするというよりも、声帯にかける空気の圧力を変化させ、音を出すトレーニングです。
いわば、呼吸のコントロールは、歌う機械をつくる蒸気機関のようなものだと考えるとよいでしょう。
息が切れると、声帯は再び閉じてしまいます。
横隔膜(胸郭の下部に沿って伸びるドーム状の筋肉)と肋骨(ろっこつ)周りの筋肉を使って息を吸い込み、腹筋や背筋、肺、肺を覆う空間(胸郭)、口の開き方(口腔)、喉、舌、唇、鼻腔すべてを使って音を響かせることで、柔らかい音を出し、ときには大胆な音も出せるのです。
彼らの声帯は他の人と違いはありませんが、そのコントロールが違いを生むのです。
声帯は輪ゴムのようなもの
輪ゴムを弾くと音がするでしょう?
でもあまり大きな音ではありませんね。
それでは、箱の中で輪ゴムを弾くとどうなるかな?
より深く大きく、より豊かな音が響きます。
声帯は輪ゴムのようなものだと思ってください。
輪ゴムや風船の口のように、弾くと振動します。
声帯自体は、「ブーン」という音を出すだけなので、喉や口のような音を共鳴する箱が必要なのです。そして、これらをどのように使うかが、声をより豊かに、より大きくするのに役立ちます。
最後に
いかがでしたか?
私たちの素晴らしい身体と音の世界について、少しは理解が深まったのなら幸いです。
これからは、歌うときに声が出る仕組みを思い出して、のどの開き方や呼吸などを意識してみるとうまく歌えるようになるかもしれませんね。