髪の毛はあなたの多くを知ることができる

2017年5月 9日

人の髪の毛には多くの秘密があり、私たちは、髪から多くのことを知ることができます。

実際に、犯罪現場では、毛髪を使って、DNAサンプルを採取し、犯人を見つけ出すこともできます。しかし、映画では、簡単に見えるこのDNA採取ですが、細胞レベルで見てみると、見た目以上に難しいようです。

ここでは、髪の毛の秘密をもとに、髪の毛1本から私たちの健康やDNA情報だけにとどまらず、先祖の系譜、食べたものまでもが分かる理由を分かりやすく紹介します。

髪の毛は死んだ細胞だった

実は、髪の毛は死んだ細胞からできています。

細胞は活動期を終えた後、死んで角質化していきます。皮膚の場合は、垢としてそのまま剥がれ落ちていくのですが、髪の毛の場合は、お互いにギュッと押し付けられて結びつき、ケラチンと呼ばれるタンパク質を形成します。これが髪の毛の正体です。

髪の毛の下では、頭皮で新しい細胞が生成されるので、それによって押し上げられて伸びていきます。

髪の毛でのDNA採取が難しい理由

細胞は、死ぬ過程で、細胞内の遺伝情報をもつ核も破壊されてしまうので、自然に抜け落ちた髪から核DNAサンプルを採取するのは、ほとんど不可能だといわれています。有用なサンプルを得るには、必ず髪の毛の根本(毛球部分)が付いてないといけません。

ごく一部のDNAは死んだ後も生存することがありますが、それは非常にまれなケースで、犯罪現場では明白な証拠とはなりにくいようです。

核DNAはなくとも、細胞内に存在するミトコンドリアDNAが採取できた場合は、母方の家系なら知ることができます。

人のDNAは核の染色体にある核DNAの他に、細胞質にあるミトコンドリアにもDNAが存在していることが分かっています。

ミトコンドリアDNAとは、母親だけから受け継がれる遺伝子情報をもち、コピーが多数存在するので数が核DNAよりも何千倍も豊富にあるため、サンプルとしての入手が簡単だといわれています。実際に、このミトコンドリアDNAの採取をして、先祖の系譜を調べる人もおり、生物の進化や人類のルーツを知る研究にも役立てられています。

髪の毛で薬物歴が分かる

もし、毛根がなくても、髪の毛からその人の秘密を暴くことができます。それは、麻薬やマリファナ、覚せい剤、アンフェタミンなどの薬物の使用歴です。

実は、髪の毛は、人が生活の中で、体内に取り込んだ有害物質(食品添加物や薬、重金属類、大気中の汚染物質など)を汗や尿と同じように体外に排泄する役割があります。

そのため、髪が長いほど、過去の薬物履歴が残っていることになります。

それは体毛も同じですが、体毛の場合は、髪の毛ほど成長が早くないので、薬物検査では、最長で1年分の薬物使用歴の検査ができる可能性があります。

おもしろいことに、髪は頭皮から突き出るまでに5日から7日はかかるので、薬物を使用した当日の検査結果では陰性となることもあります。常習している場合は別ですが。

髪の毛で食べたものが分かる

髪の毛は、人や動物の食事を知る手がかりにもなります。

実際に、最近の研究では、1本のクマの毛をレーザーによって気化させた後、発生したガスを質量分析計で分析することで食べたものが分かる技術が開発されています。

一昔前までは計測には、クマの毛束が必要でしたが、現在は、1本の毛から、クマの食の変化や魚から摂取した水銀量などを監視できるようになりました。