実はブラックホールの近では時間そのものが遅く流れています(アインシュタインの一般相対性理論)。
しかし、それは一体なぜなのでしょうか?
答えは「重力」に関係しています。
重力による「時間の遅れ」
簡単に言えば、重力とは2つの物体が互いに引っ張り合う力のことです。
一般相対性理論によれば、ブラックホールの近くでは、重力による「時間の遅れ」という現象があります。
これは、重力場がその周りの時間の流れや空間の計測に与える影響です。
ブラックホールは非常に強い重力場を持っているので、重力が時空を曲げ、ラックホールの近くにある時計は、遠く離れた時計に比べて時間が遅くなります。
これは、ブラックホールの近くにいる人は、ブラックホールから遠くにいる人に比べて、年をとるのが遅くなることを意味します。
宇宙共通の時間というものは存在しない
そもそも、アインシュタインは相対性理論で、絶対的な時間というものは存在しないと述べています。
時間は単なる座標でしかなく、時間の進み方は重力源から異なる距離にある観測者によって違ってくることを示しています。
ここでいう座標時間とは、ブラックホールの近くにいる観測者が、遠くにいる別の観測者によって測定された時間のこと。
つまり、外から見た時間の流れ。
ブラックホールに近い観測者自身は、自分の時間の流れが遅くなっているようには見えませんが、遠い観測者は、このもう一人の観測者の時間の流れが遅くなっているように見えるだけなのです。
ブラックホールに落ちたら、時間が止まったように見えるといわれますが、実際に落ちた人にはそれは経験できません。
正しい時間とは?
では、どちらの時間が正しいのでしょうか?
実は、どちらの時間も正しいのです。そもそも(相対論的には)、この質問自体が意味をなさないからです。
時空は4次元であり、宇宙では、全てのものに共通の現在が存在しません。
「普遍的に」どれだけの時間が経過したかを言うことは不可能なことで、ただ2人の観測者の違いを比較するしかないのです。
たしかなのは、2人の観測者には時間の流れに差があり、お互いに物理的に異なるペースで歳をとっていく様子が見られること。
このようにブラックホールは、宇宙で最も興味深い、しかし、まだあまりよく理解されていない物体のひとつです。