ブラックホールに落ちたらどうなるの?

2021年10月21日

ブラックホール。

もしあなたが落ちたらどうなるのでしょうか?

残念ながら一つもいいことはありません。

あなたの体は、「スパゲッティ化現象」と呼ばれるプロセスによって細長く引き延ばされて、バラバラに引き裂かれてしまいます。

もちろんこのスパゲッティは、おいしくはありません。

今回は、未知なるブラックホールの世界について、飛び込むと一体何が起こるのか、ブラックホールの性質や種類、引き返せなくなる境界線などを中心に紹介します。

「スパゲッティ化現象」とは

スパゲッティ化現象とは、天体物理学と呼ばれる分野で使われている言葉。

少し難しく聞こえるかもしれませんが、要するにスパゲッティのように細長く引き延ばされてしまうことです。

ブラックホールに入ると、あなたの体は、頭からつま先まで不均一にかかる巨大な重力によって、ある方向には引き伸ばされ、ある方向には押しつぶされて奇妙な形になります。

詳しくは、垂直方向には引っ張られ、水平方向に押しつぶされるので、あなたの体はまさにスパゲッティ状態。

ラーメンでもいいです。とにかく麺のように細長い形状になるのでヌードル効果とも呼ばれます。

もし、足からブラックホールに入った場合は足、頭から入った場合は頭の方が受ける重力は当然大きくなります。

ブラックホールでのできごとを観測

実のところ、このシナリオは、ただ理論や憶測に基づいているだけではありません。

天文学者たちは、2014年、望遠鏡で、ブラックホールに近づきすぎてさまよっている星をとらえ、この現象を目撃しているのです。

星は引き伸ばされてスパゲティ状になり、その一部は事象の地平線を越えて落下し、残りは宇宙空間に投げ出されたといいます。

ブラックホールの重力に耐えられるものはない

自分がスパゲッティになるなんて、穏やかな気持ちではいられないでしょうが心配はありません。

なぜなら、始まって1秒もしないうちに命を落としているから。

どのような強固な物体も、このブラックホールの重力に耐えることはできません

映画「インタ-ステラ―」のマシュー・マコノヒーのように、ブラックホールに飛び込もうとしても、向こう側に何があるのかを知るずっと前に、引き裂かれてしまうでしょう。

ブラックホールとは

そもそも、なぜブラックホールにダイブしたり、中で宇宙船を操縦したりすることができないのでしょうか?

それを理解するためには、まず、この重力の塊の基本的な性質を理解する必要があります。

簡単にいうと、ブラックホールとは、重力が強すぎて、光やその他のものが逃げられない場所

ブラックホールには引き返せなくなる境界線がある

ブラックホールは、光さえも吸い込むため、光を反射したり放出したりはしません。その名の通り真っ暗な世界なのです。

そして、ブラックホールが目に見えるのは、「事象の地平線」と呼ばれる境界線に近づきすぎた星やガス雲が吸い込まれているときだけです。

ブラックホールには、ある境界線を境に、それ以上先に進むと二度と帰ってはこれない領域が存在します。

まさに「お別れの線」。

事象の地平線の先には「特異点」と呼ばれる未知なる極小の点があり、そこはあまりに高温で、重力やエネルギーが強すぎるために、時空そのものが無限に曲がってしまうのです。

ここでは、私たちなどは原子以上のレベルに一瞬にしてばらばらに分解されてしまうでしょう。よく知られている物理学の法則は崩れてしまうので、その先にあるものについての理論はすべて推測に過ぎません。

ブラックホールは多数存在する

ブラックホールは、私たちにはどこかエキゾチックな存在ですが、実は科学者にとっては当たり前の存在でした。

物理学者たちは、アインシュタインの理論(一般相対性理論)によってブラックホールの存在が予測されるようになる何十年も前から、同様の物体に関する理論を考えていたのです。

今日では、ブラックホールは恒星の進化の一部であると考えられており、天文学者は天の川銀河に数百万個のブラックホールが存在すると考えています。

ブラックホールをめぐる冒険

ブラックホールにはさまざまな種類があり、回転しているかどうか、電荷を持っているかどうかなど、さまざまなレベルの複雑なモデルを作ることができます。

そのため、もしブラックホールに飛び込んだとしても、あなたの運命は、正確にはどの種類のブラックホールを選ぶかによって決まるようです。

最も単純なものとして、小さい順に恒星級ブラックホール、中間質量ブラックホール、超大質量ブラックホールの3種類があります。

恒星級ブラックホールは、非常に大きな星が燃料を燃やし終わった後、自分自身を崩壊することで形成されると考えられています。

超大質量ブラックホールは、ほとんどの銀河の中心部に存在し、星を消費したり、他のブラックホールと合体したりして、太陽の数百億倍にもなる巨大なサイズに成長すると考えられています。

中質量ブラックホールはまだその多くが謎に包まれています。

意外にも小さなブラックホールの方が重力の影響を受けやすい

恒星級ブラックホールは、大きなブラックホールと比べるとちっぽけな存在ですが、事象の地平線の向こう側では、それらに比べてより強力な潮汐力(引っ張たり、押したりして物の形を変形させる重力)を発揮しています。

小さなブラックホールは、超巨大ブラックホールよりも重力の変化の程度が大きいのです。

つまり、ごく短い距離を落下するだけで、極めて大きな重力の違いを感じることができることになります。

それが、映画「インタ-ステラ―」のマシュー・マコノヒーが、ブラックホールに入ってもスパゲッティー状にならなかった理由かもしれません。

彼が入ったブラックホールは、太陽の10億倍にもおよぶ巨大な物だったがゆえに、それほど大きな力を受けなかったのでしょう。

事象の地平線を越えてしまうとどうなるのか?

超大質量や中質量のブラックホールに落ちるのは、恒星級のブラックホールに落ちるほど悪夢のような体験ではありません。

最終的には悲惨な死を迎えることにはなるかもしれませんが、もしかしたら事象の地平線までたどり着き、生きたまま特異点の中に落ちることができるかもしれないのです。

この場合、少なくとも理論的には、周囲の宇宙空間を見ることができます。

しかし、事象の地平線を越えてしまうと、誰からも見えなくなってしまうので、仮に懐中電灯を持って外を照らそうとしても、その光は自分と一緒に特異点の中に落ちてしまうのです。

もちろん、どんな種類のブラックホールに落ちても、最終的には極度の重力によって引き裂かれる結果にはなってしまうでしょう。

一度、事象の地平線を越えてしまうと、もう終わりなのです。誰一人として逃げられません。

仮に生きていたとしても、脱出するためには光速以上の速度で移動しなければならず、それは既知の宇宙ではできません。

太陽系にブラックホールはあるのか?

そうはいっても、心配する必要はありません。

地球に最も近いブラックホールは、まだ1000光年の距離にあると言われています。

しかし、天文学者たちは、地球からわずか数十光年の距離に、もっと多くのブラックホールが潜んでいるのではないかとも考えています。

実は、太陽系の奥深くにあるとされる姿の見えない未知の惑星「プラネット・ナイン」は、野球ボールほどの大きさの原始的なブラックホールではないかと考えている研究者もいます。

そう考えると、可能性は低いかもしれませんがもし人類が生き残って高度な宇宙旅行技術を開発すれば、ブラックホールを間近に見ることができるかもしれません。

そうなれば、私たちの子孫は、ブラックホールの中にいくつかの探査機を放り込んで、事象の地平線で何が起こるかを調べ始めるでしょう。

しかし、残念ながら、事象の地平線からは情報も含めて何も逃れることができないため、物質が帰らざる場所に到達したときに何が起こるのかをはっきりと知ることはできません。

たとえ、ブラックホールに飛び込む機会があったとしても、安全のためにその衝動は抑えるべきといえそうですが。

ブラックホールは「無」の世界

大きなブラックホールの中には、実際には他のブラックホールよりも力が弱いものもあり、それらは理論上中心に近づくことが可能なようです。

ここでは、さまざまなブラックホールについて紹介しましたが、すべてのブラックホールには1つの共通点があります。

「無」の世界であること。

情報も光も、そしてもちろん生きているものは何も入ってこれませんし、そこから出てくるものもありません。