時間や光をも引き寄せる「重力」って何?

重力、引力ってなに?宇宙・航空科学

ここでは「重力や引力とはどのような力か」について、できるだけ簡単に分かりやすく紹介します。

実のところ、あなたの犬、地球、そして250万光年先のアンドロメダ銀河のブラックホールもすべてあなたの引力に引き寄せられていて、あなたも彼らに引き寄せられているのです。

それは一体どういうことでしょうか?

私たちは「物体が落下する理由」として重力が原因であることをよく知っています。

しかし、実際の重力にはそれ以上のものがあります。

重力とは、質量を持つ全ての離れた物体の間にある魅力的な力引力(引き寄せる力)」と、地球をはじめとする惑星や月、太陽などの自転による遠心力(遠ざかろうとする力)」を合わせた力。

とはいえ、遠心力はわずかなので、実質上は、引力とほとんど変わりません。

重力は、私たちが地球から落ちないようにするものであり、地球が太陽の周りの軌道を維持するものでもあります。

そして、その太陽が約45億年前に形成されたのも重力のおかげです。

すべての巨大な物体が、周囲にある宇宙のすべてのものを引き寄せると考えるととても驚くべきことですね。

以下に詳しくみていきましょう。

太陽や惑星誕生にも重力の影響があった

今から45億年前、水素を中心としたガスの雲が重力によって、収縮しながら回転し始めたことで、内部が高温となり、中心に原始太陽ができました。

原始太陽の周囲にあるガスや塵も、重力によって質量の大きなものに取り込まれながら大きい微惑星に成長していきます。

これらの微惑星は、太陽の周りを回りながら、それぞれがお互いの重力の影響を受けて衝突と合体を繰り返し、巨大なエネルギーをもつ惑星となっていきます。

このように、宇宙ならどこでも、質量をもつ物体は全て、互いに引き合う力が働いていることを発見したのがニュートンによる「万有引力の法則」です。

つまり、リンゴが木から落ちるときに働く力は、地球だけでなく、宇宙の世界でも引き起こされているのです。

すべての物質が互いに引き合う引力をもつ「万有引力の法則」

17世紀にアイザック・ニュートンは、引力の強さは2つの物体間の距離の2乗によって減少する(反比例)ことを発見しました。

重力が大きいほど、物の落下スピードは速くなります。

ニュートンはまた、引力の強さは物体の質量に比例することも発見しました。

そのため、私たちは、地球が私たちに引っ張られているのを感じることはできますが、大きさが地球の4分の1で、質量が約80分の1しかない「月」の引っ張りにはあまり気づかないのです。

しかし、月の重力は、地球の6分の1と、ほとんど大気を引き留めることができないくらいの大きさですが、地球に潮の満ち引きを引き起こすのには十分な強さを持っています。

海の満ち引きは、液体である海水が地球の重力の影響を受けて下側に引っ張られる力と、月の引力の影響で起こります。

同時に地球は、太陽の重力の影響も受けているため、海水が太陽と月という2つの物質の引力に(同方向に同時に)引かれた場合、液体が盛り上がるように膨らみ、大潮となります。

重力は、質量がないものも引き寄せる

先程、引力は、質量を持つ物体間で引き合う力だと言いましたが、それは少し誤解を生じる可能性があるので訂正します。

なぜなら、重力は質量のある物体に加えて、光や他の質量のない(しかしエネルギーのある)粒子をも引き寄せるので、光の光子が太陽を通過してわずかに曲がったり、ブラックホールに完全に閉じ込められたりすることがあるからです。

重力による時間の遅れ

ニュートンは、時間というものが外部の影響を受けず、地球でも宇宙でもどこでも一律の早さで流れる「絶対時間」を示しました。

しかし、アインシュタインが「光の速さだけが絶対的で常に一定」であることを示した相対性理論によって、時間は絶対的(不変)ではなく相対的(他との関係において変わる)であることが分かりました。

なんと、光が重力によって曲がるのと同様に、重力が大きいところでは、時間の流れも遅くなるというのです。

つまり、地球での1年間は、地球よりも重力が小さい月や火星では、1年以上経過したことになります

同じ地球でも、赤道に近い(地球の中心から遠くなるため遠心力が大きくなる)ほど遠心力が地球の引力を打ち消すので、南極や北極に比べると重力は小さくなるため、わずかですが時間に誤差が生じます。

この重力の違いによる時刻のずれを自動的に修正するためにアインシュタインの相対性理論を利用したものに、GPS衛星による電波時計やカーナビなどがあります。

参照元:What is Gravity?