地球から5,000光年離れた「ケンタウルス座」の方向をみてみると、ブーメラン星雲(原始惑星状星雲)を見つけられます。
このブーメラン星雲は、冷たい宇宙で最も温度の低い天体です。
ブーメラン星雲の中心には、太陽より数倍重い「赤色巨星」と呼ばれる死にかけの恒星がありました。
恒星から両極方向に細く伸びたガスの柱は、-273℃と宇宙よりも冷たく、深宇宙(地球からの距離が200万キロメートル以上の宇宙)よりも15℃も低いといわれます。
では、なぜこの天体は、これほどまでに極低温なのでしょうか?
22年の年月をかけて解明されたその理由を以下にみていきましょう。
低温な天体の謎
NASAによる新しいデーターは、ブーメラン星雲のガスが異常に速いスピードで膨張していることを示しています。
なんと時速335,541kmで移動しているというのです。
これは、地球を4.5分で一周するほどの速さ。
この急成長が温度を下げていると専門家はいいます。
ガスがその速度を増したのは、およそ2,000年前のこと。
星雲の中心にある赤色巨星が別の星と衝突したのです。
その衝突のエネルギー(2つの星の重力エネルギー)によって、ガスが外に向かって飛び出し、ブーメラン星雲の特異な形が形成されました。
赤色巨星は今後は温度を上昇させていき、周囲のガスを暖めると考えられています。いずれ、ここは宇宙で最も寒い場所ではなくなるでしょう。
この宇宙の冷凍庫の動きを見ることができるのは、なんと幸運なことでしょう。
参照元:
・Where Is The Coldest Place In The Universe?
・https://www.nasa.gov/centers/jpl/multimedia/pia17551.html