地球の自転速度が酸素量に影響するといわれる理由

2021年8月 7日

酸素は、現在の私たちの生活に欠かせないものです。

しかし、地球の大気中に酸素が十分に蓄積されるまでには、果てしなく長い年月がかかりました。

実は、地球がどのように大気中に酸素を増やしていったのかについては長年の疑問でした。

今回、国際的な科学者チームが、酸素がどのようにして蓄積されたかについて、新たなメカニズムの可能性を考えたことで、その疑問への理解が進み始めました。

以下に、Nature Geoscience誌に掲載された内容をもとに、酸素の蓄積が、地球の回転速度に依存しているといわれる理由を紹介します。

地球誕生時は酸素がほとんどなかった

数十億年前の地球の大気には、ほとんど酸素が含まれていませんでした

約24億年前に、比較的急激に酸素が増加し、その後、6から8億年前に再び酸素が増加しました。

なぜこのように酸素の増加が段階的に連続して起こるのか、科学者たちは長年にわたって説明に苦しんできました。

光合成を行う藍藻(シアノバクテリア)が繁殖して、環境中の二酸化炭素を取り込み、酸素を生成したのではないかと考えられています。

しかし、光合成を行うためには、どうしても太陽光が必要です。

何十億年も前に遡ると、その頃は日照時間がものすごく短く、6時間くらいだったはずです。それは、当時の地球の自転速度が速かったからで、それが、14億年になると18時間まで長くなります。

地球の自転速度が遅くなり、一日が長くなる

まず、太陽と月が地球を引っ張ることで、地球の形にわずかな膨らみができます。それによって時間とともに自転速度は徐々に遅くなります。


それにともなって、一日の長さも長くなっていきます。

そのため、現在の地球が自転するのにかかる時間は、数十億年前の4倍だといわれています。

また、日照時間が短くなると、太陽の光が最大限に当たる時間も短くなります。

よって、シアノバクテリアが光合成を行う時間も短くなります。

日照時間が長くなると藍藻が光合成によってたくさんの酸素を作り出す

そこで研究チームはまず、1日の日照時間の長さが、光合成による酸素の生産量に影響を与えるかどうかを、まずコンピューターモデルを使って調べました。

次に、ヒューロン湖にある約25メートルの陥没穴でモデルの予測を検証しました。

このシンクホールには硫黄が多く含まれており、酸素はあまり多くありません。

そのため、このシンクホールとそこに生息する微生物は、数十億年前の地球の生態系を研究するのに有効なモデルとなっています。

この陥没穴の藍藻は、太陽光を主なエネルギー源とし、硫黄を燃料とする他のバクテリアと一緒にマット状のコロニーを形成しています。

朝と夕方になると、硫黄を食べるバクテリアがシアノバクテリアを覆うため、太陽の光が遮られて、藍藻は光合成ができなくなります。

しかし、午後になって日差しが強くなると、硫黄を食べるバクテリアは下に移動し始めるので、藍藻は日光を浴びることができ、光合成を始めることができます。

そこで人工的に光を調節して、藍藻が放出する酸素量を調べたところ、日照時間が長くなるほど、放出される酸素量が増えることが分かりました。

だからこそ、1日の長さが重要だったのでしょう。

つまり、1日の日照時間が長くなることで、光合成による酸素放出量が増加したのではないかと考えられています。