地球が逆回転すると、夕日が東に沈むだけではなく、大気の流れと海流が変化し、たくさんの変化が地球に起こるでしょう。
数千年後には北米は砂漠に覆われ、南米の熱帯雨林にも乾燥した地帯が広がります。
逆にサハラ砂漠には、緑の風景が広がると考えられているのです。
さて、私たちは、赤道の上に立ったとき、(地球の自転によって)時速1,670 キロメートルで移動していることになります。
これは音速よりも速い速度です。
そこで、ちょっとした実験をしてみましょう。
地球の自転を逆向きにするとどうなるでしょうか?
以下に、地球の自転を逆回転したときのシミュレーションを紹介します。
大気の流れが変化
欧州地球科学連合( The European Geosciences Union)の科学者たちは実際に、逆回転する地球のシミュレーションを実行しました。
まず、地球が速度を落として逆方向に向かうと、地上にあるすべてのもの(回転する地球の表面を移動する物体)は東に飛んでいき、逆回転になるためのプロセスの過程で大きな混乱を残すことになります。
さぁ、地球が逆回転開始後、正常なスピードに戻ったところで、赤道から見てみましょう。
通常、赤道付近では貿易風が、(地球の自転により)東から西に向かって吹いています。
つまり、逆回転中の地球では、それらの貿易風も向きが逆転し、大気や海流の流れの変化とともに、世界中にさまざまな気候パターンを生みます。
最初の変化は、比較的小さいものになります。
たとえば、ハリケーンは大西洋を東から西に移動できなくなり、西行きの飛行時間は東行きに比べて突然に短くなるでしょう。
ここまでは、それほどに問題ではないですよね?
では、逆回転から数千年後の未来に早送りしてみましょう。
数千年にわたって地球の気候システムが変化
変化は、地球全体の雨のパターンに影響を与えます。
現在の中央アフリカから中東にかけての乾燥した砂漠地帯は、緑が生い茂った森林地帯に近い状態になるでしょう。
実際、あるシミュレーションでは、世界の砂漠が 4,200万平方キロメートルから 3,100万平方キロメートルに縮小し、新たに森林や草原に置き換わって、植物は大気中からより多くの二酸化炭素を吸収・貯蔵するようになると考えられています。
これなら、地球の自転を逆転させるべきかもしれませんね。
しかし、ちょっと待ってください。
ヨーロッパ北西部は冬が厳しくなる
貿易風の方向が逆になると、通常は北大西洋をに西から東に吹いて海からの暖かい風を北西ヨーロッパにもたらしていた偏西風も変化します。
冬を穏やかに保つ偏西風の向きが逆転し、代わりにヨーロッパにはロシアからの冷たい風が吹き込むようになります。
その結果、科学者らはヨーロッパ北西部では、冬の気温が最大で10℃低下し、極めて厳しい冬になると推定。
実際、北大西洋の大部分はさらに寒くなるでしょう。
大西洋の主要海流が消え、太平洋に新たに海流が発生
暖かい水を南から北に運び、大西洋の気候をコントロールする重要な海流「メキシコ湾流を含む大西洋南北熱塩循環(AMOC)」は縮小していき、消滅するでしょう。
代わりに、北太平洋で新たな主要海流が生まれる可能性があります。
アフリカと中東の砂漠が縮小する一方で、アメリカ大陸に新たな砂漠が形成されるため、北米では風景が大きく変わるでしょう。
たとえば、アメリカでは現在南西部にある象徴的な砂漠は消滅し、代わりに南東部に広大な砂漠地帯が形成されるでしょう。
ブラジルやアルゼンチンの南部、中国の北部などこれまでなかった場所にも新たな砂漠が生まれます。
地球を逆回転させる結果
現在の地球の自転方向は西から東で、北極上空から見ると反時計回りに見えます。
これは、金星と天王星を除く太陽系のすべての惑星に共通しています。
この地球の自転を逆転させると、大陸や海洋の地形の特徴はそのまま残されるかもしれませんが、世界中に全く新しい気候条件が生み出され、より緑の地球になるようです。