実は、海がなければ、大陸は存在しませんでした。
なぜなら、大陸のもととなる岩石は、海水が海底にもぐりこむことで生まれるからです。
まず、大陸をなす地殻はほとんどが花こう岩(かこうがん)と呼ばれる岩石からなります。
そして、この岩は、海水が海底から侵入し、マントルに化学反応を起こすことで生まれます。
つまり、水がない他の惑星には花こう岩は存在しません。
今回は、海のおかげで、私たちは大陸を手に入れることができたといわれる理由について、花こう岩が高く積み重なった大陸のでき方とともに紹介します。
花こう岩は水資源の豊かな地球ならではの産物
大陸をなす地殻(地球の表面の層)にはさまざまな岩石の層がありますが、大部分は、比較的軽量の花こう岩(かこうがん)でできています。
花こう岩とは、地下でとけたマグマが上昇し、地下や地表で冷えて固まってできた岩石で「みかげ石」とも呼ばれます。
そして、
しかし、実のところ、この軽い岩石がこれほど多く存在するのはちょっと驚きです。
なぜなら、花こう岩はマグマが固まったものですが、地球の奥深くにある岩石は花崗岩とはまったく異なり、はるかに密度が高いからです。
では、なぜ花こう岩はこんなにも軽いのでしょうか?
それを知るために、まずは花こう岩のでき方を見ていきましょう。
海洋プレートが沈み込むときに水分ももぐり込む
左の海の黒く連なった部分は深海の海溝で、2つの地殻変動プレートが衝突し、一方のプレートが地球の中に沈み込んでいるところです。
海の中で海洋プレートが沈み込み始めると、海水も一緒にもぐり込みます。
水分がマントル(玄武岩)を溶かしてマグマを生む
海水の水分が、地球の奥深くにあるマントル(玄武岩質)に運ばれると、岩を溶かしてマグマを生みます。
「火山はどうやってできるのか?噴火の仕組み」で紹介したように、基本的にマントルは、温度が上がるか圧力が下がると溶けてマグマになります。
しかし、ここでは、ある物質(ここではマントル)に他の物質(水)が混ざると融点(溶ける温度)下がる原理によって、マントルが溶けてマグマが生まれるのです。
玄武岩が溶けて花こう岩が生まれる
しだいに、岩石に含まれる水分は、地下数百キロメートルの強烈な熱と圧力によって岩石から上方に押し出され始めます。
こうして水を含んだ浮力のあるマグマが地表に向かって上昇すると、最終的に花こう岩の山脈を形成するのです。
つまり、大陸の大部分を占める花こう岩は、大昔に海水が海底にもぐり込み、岩石の鉱物構造の一部となって上昇してできたものだったのです。
海のおかげで花こう岩の大陸が存在している
環太平洋火山帯を走ると、マリアナ諸島、日本、アリューシャン列島など、新大陸の地殻の山を見ることができます。
もちろん、これらの山脈はまだ大陸ではなく、大陸地殻のスクラップに過ぎません。
しかし、これらの山脈がのっているプレートが、はるかに長い年月をかけて、より大きな大陸の塊をのせている別のプレートに衝突すると、上に乗り上げて大陸の一部となることができます。
そのとき、これらの島々が乗っている重たい(高密度の)海底は地球の内部に突入しますが、花こう岩の山は比較的軽い(低密度の)ため、ぶつかった大陸に削り取られながらもその上に積み重なっていくだけです。
つまり、海のおかげで、私たちは花こう岩の大陸を手に入れることができたのです。
参照元:Why Continents Are High