太陽の熱で風車を回すというクールなプロジェクト「ソーラ―・アップドラフト・タワー(太陽の熱や光を利用し上昇気流タワー)」の作り方や太陽が風を起こす仕組みなどおもしろくて勉強になる科学の実験を分かりやすく紹介します。
夏休みの工作や科学研究にもおすすめです。
太陽光の暖かさは、ただ気持ち良いだけでなく、一種のエネルギーなのです。
太陽エネルギーの活用
太陽のエネルギーを使うことをソーラーパワーといいます。
建物の上に、大きくて平らな四角形がたくさん乗っているのを見たことがありますか?
あれは太陽光発電に使われているソーラーパネルです。
ソーラーパネルは、太陽の光を受けて、電気に変えているのです。中には、太陽光の熱を集めて家を暖めたり、お湯を沸かしたりする人もいるんですよ。
「ソーラ―・アップドラフト・タワー」の仕組み
それでは、さっそくソーラ―・アップドラフト・タワーについて紹介します。
「ソーラー(太陽)」という言葉がついているので、太陽に関係があることはもうおわかりですね。
「アップドラフト(上昇気流)」とは、空気が上に向かって移動する風のことです。
そして、タワーとは、ご存知の通り、塔のような高い構造物。
では、このソーラー・アップドラフト・タワー(上昇気流塔)が何をするかわかりますか?
これは、太陽エネルギーのみを利用した発電システム。
太陽の熱を集めて、それによって温められた空気が煙突をつたって上昇気流を発生させ、上の風車を回す仕組み。実際に世界では、煙突の上部にタービン(回転式の原動機)を置き、この仕組みを発電に利用した風力電動機があります。
今回の実験もこれと同じ仕組み。太陽の光を使って、煙突の先についた紙製の風車を回すプロジェクト。
これなら、家でも手軽に科学の世界を体験できます。
さっそくやってみたいですか?
以下の作り方を参考にぜひ作ってみてください。
材料と作り方
テープ、ペーパークリップ、押しピン、そして、同じくらいの厚さの大き目の本を2冊、一辺15cmの正方形に切った紙を用意します。
まず、上部(蓋)と下部(底)を切り落としたきれいなブリキ缶を3つ用意します。
缶を積み上げて、テープでしっかりと固定します。
次に、クリップをアーチ型に曲げて、缶のタワーの上部に貼り付けます(持ち手を作る)。
クリップで作った持ちての上に画鋲を先が上になるように(後でここに風車を突き刺します)テープで貼り付けます。
さて、次は風車を折ります。
正方形の紙を用意して、4つの角から中心に向けて斜めに切り込みを入れます。ただし、紙を中心まで全部切らずに少し残しておきましょう。
すべての角が切れたら、それぞれを中心に向けて折り、中央にテープで貼り付けます。
あとは、押しピンの先に風車を突き刺すとタワーの完成です。
本の上に缶タワーを置いて、下に隙間ができるようにして、直射日光の当たる窓際にセットします。
プロジェクトを行う日は、晴れた日であることが大切です。
できた缶タワーを本の上に置き、下に隙間ができるようにして置きます。
これからは待つだけです。
気温や日照時間によっては時間がかかるかもしれないので、気長に待ちましょう。時々、タワーの様子を見に行ってみてください。
しばらくすると、とても素敵なことが起こりますよ。
家の中なので風が無いはずなのに、かざぐるまが回っているのです。
これは魔法ではありません、科学です。
太陽熱が上向きの風を起こす仕組み
太陽が缶を照らすと、缶は熱くなります。
その熱の一部が金属を伝わるので、タワーの中には熱い空気があるのです。
そして、熱い空気は上昇します。
これは熱気球の仕組みと同じようなものです。
空気は何もないように見えるかもしれませんが、実は目に見えないほどの小さな小さな粒子がたくさん集まってできています。
太陽の光でタワー内の空気が温められると、その熱で小さな粒子が活発になり、スピードアップしながら跳ね回って広がり始めます。
このように広がっている暖かい空気は(体積が膨らんで密度が小さくなるため軽くなる)上に移動し、広がっていない冷たい空気の上に乗ります。
プラスティック製のスプーンが水よりも軽いので浮くのと同じですね。
すると塔の底の隙間から冷たい空気が入ってきて、それが熱せられて上昇するので、常に暖かい空気の流れがあり、風車が回り続けるのです。
「ソーラ―・アップドラフト・タワー」を作り終えて
世界には、砂漠地帯など、巨大な太陽熱上昇塔を使って発電しているところもあるんですよ。
今度、暖かい太陽の光を顔に感じたら、それは単に気持ちがいいだけのものではないことを思い出してみてください。
太陽の光は、強力で有用なエネルギー源なのです。